心に残る、デザート
コース料理のお楽しみといえば、やはり最後に供される「デザート」! この一年間、ホントに様々なデザート(デセール・ドルチェ)をいただいてきましたが、やはり「オテル・ド・ヨシノ」で堪能した成田一世シェフ渾身の3皿構成のデザートが、今でも忘れられないデザートになりました。・青柚子のグラニテ カシャーサの香りを添えて カイピリーニャ風に
Le Yuzu vert granite avec une gelee a la verveine et un voile au cachaca ambre |
・桃のコンポートとソルベ、カネルカシアのシブーストを添えて
桃のコンポートとソルベ、カネルカシアのシブーストを添えて |
地元和歌山県産の桃は、溶けてしまいそうなほど柔らかい食感で、噛むほどに濃縮された甘味と、芳醇な滋味(テロワール)が、まろやかで生命力に溢れた拡がりを感じさせ、桃の主役としての存在感をいかんなく発揮してくれます。桃のコンポートが持つ優しい甘さが口全体に満ち、ふくよかな口当たりと共に深く静かに、夏に吹く涼風のような澄んだ余韻を残していく……そんな仕上がり。
また、ぽってりとした食感のシブーストは女性の唇のようなウットリしてしまう舌触り。カネルカシアのブーケを伴い、繊細な甘美を堪能しているとホントに夢心地。全部食べたい! だけど食べ終わるのもったいない! というジレンマさえ与えてくれる一皿でした。
・シュクル バラとフランボワーズのクリーム
シュクル バラとフランボワーズのクリーム |
見た目のルックスもフランス的な華やかさとエスプリが漂い、まるで一枚の抽象画を想起させる一皿。味わいだけではなく、見た目においても精妙で妥協のない料理世界を作り上げています。本当に素晴らしいデザートというのは、食べ手を幸福にしてくれるものですが、食べていて、ここまで幸福感・至福感に浸れるというのは、本当に凄いの一言。
今回は特別に成田シェフによるデザート3皿という構成でしたが、甘い物(スウィーツ)を食べるのが好きな人には夢のような時間ですし、こういった「甘い幸せ」を深く味わえることこそが、フランス料理(コース)における「贅沢」というものなのでしょうね。
☆目次☆
・大阪のイタリアン編
・京のイタリアン編
・兵庫のイタリアン編
・中華の新星店編
・心に残る、デザート編
・心に残る、スイーツ編
次ページでは、スイーツ編を御紹介します