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ジャパニーズは世界のウイスキーとなるか4(2ページ目)

今回は10月に発売されたばかりのザ・マッカランとグレンモーレンジの2品を紹介しながら、世界のウイスキーになるための革新の必要性を語ってみた。ウイスキーはゆっくり、じっくりと進化している。

協力:サントリー
達磨 信

執筆者:達磨 信

ウイスキー&バーガイド

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チョコレートモルトとは

グレンモーレンジ シグネット
ボトルも斬新なグレンモーレンジ シグネット
グレンモーレンジ シグネットの特長は主要原酒の原料がチョコレートモルトであることだ。シングルモルトの主力に使用されるのは史上初ということだが、
これにグレンモーレンジの最も古く稀少な原酒をヴァッティングしている。希望小売価格は¥26,250(46度、700ml)。
チョコレートモルトといってもチョコレート味になる訳ではない。深焙りしたローステッドモルトのことで、ビールでいう濃色麦芽(黒麦芽)。日本の地ビールでもチョコレート・スタウトといったものが最近話題を呼んでいる。ウイスキーの場合、わかりやすくいえば、乱暴な表現になるがギネスビールを蒸溜するといった理屈ではなかろうかと思う。
このあたりは今月中にグレンモーレンジ蒸溜・製造責任者のビル・ラムズデン氏とお会いできるようなので詳しく聞いてみるつもりだ。

ウイスキーの場合、ビールよりも上等な大麦を使う。単一の最優良品種を使っているはずだが、ローステッドモルトは酵素力も弱く、糖の収率も低いはずだ。
わたしは効率の悪さを承知の上で使用する英断、またノンエイジングの製品をいまの時代に開発する勇気に敬服する。そしてこのあたりのこともラムズデン氏にうかがってみたい。

ジャパニーズ独自の香味品質の向上

シグネットの香味は濃厚で繊細。コーヒーやビスケットに加え、バターのようなクリーミーさもある。フィニッシュには柑橘系の爽やかさもあり、ザ・マッカラン グランレゼルバのコモンオークの特長をとらえてまもなくにテイスティングしたため、ああこれはホワイトオークだとあらためて実感した。この飲み比べはとても興味深いものがあった。

2製品を紹介したが、このように新しい香味、官能的な味わいを求めてウイスキーは革新していく。ジャパニーズウイスキーではシングルモルト山崎が世界に通じる日本の香味を追求しながら品質を高め、海外での売れ行きを伸ばしてきている。日本の香味の原点ともいえる角瓶が誕生してこの10月で71年になったが、結局は長年にわたる山崎蒸溜所でのモルト原酒のさまざまなつくり分けがいま実を結んだといえる。
ジャパニーズウイスキーが世界にどこまで浸透するかは、日本の独自の香味をどこまで高められ、ユニークさをアピールできるかにあるだろう。そのためには伝統や技の継承をつづけながらも、どう革新を加えるかにかかっている。
ある意味、踏み止まってはいられない時代になりつつある。

前回の『ジャパニーズは世界のウイスキーとなるか3』も是非お読みいただきたい。

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