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ジャパニーズは世界のウイスキーとなるか2(2ページ目)

シリーズ2回目は、スコッチはどんな流れで世界の酒となったかを述べる。視点をあえてアイリッシュウイスキーに向けて、アイリッシュの動きからスコッチを語ってみた。面白い歴史だよ。

協力:サントリー
達磨 信

執筆者:達磨 信

ウイスキー&バーガイド

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輸出品として生産されるスコッチ

スコットランドをはじめて訪ねた人の多くは、酒場でウイスキーを飲む姿をあまり目にしないことに驚く。食事の時はよくワインを飲むし、パブではビールやジントニック、意外とブラッディメアリーなんてのも飲まれてたりする。「ありゃ、ウイスキーは飲まないの」と誰しもが思う。
第2次世界大戦中、ヨーロッパ戦線がようやく終結しようとする頃、チャーチル首相が“いかなることがあってもウイスキー用の大麦を減らしてはならない。熟成に何年もかかるし、ウイスキーは得難い輸出品であり、ドルの稼ぎ手である”といった内容の覚え書きを残す。
戦後はスコッチウイスキーの生産供給は、輸出目標と大幅に切り下げられた国内消費とをにらみ合わせながらおこなわれた。こうして政府の政策のもと、スコッチウイスキーは海外市場を拡大するとともに重要輸出品として生産されるようになった。いまではおそらく生産の8割は輸出にまわっているはずだ。
だからスコットランドへいってもグィグィとウイスキーを飲んでいる姿を見かけないし、見かけてもほんとに安価なブレンデッドを飲んでいる。これぞという店にいけばいいのだが、そういう店でシングルモルトを飲んでいる人間というのは海外からの観光客が多かったりする。

舶来盲信を相手にすることはない

山崎12年
海外ではいま、山崎12年を中心にジャパニーズへの興味が広がろうとしている(撮影/川田雅宏)
以前にも書いたが、いまスコッチは絶好調だ。とりわけBRICsと呼ばれる経済新興国のブラジル、ロシア、インド、中国での需要は凄い。数字的にはやはりブレンデッドが主体だが、そのうちシングルモルトの数字も上がっていくことだろう。
こうした流れの中で、いま海外で注目を浴びつつあるシングルモルト山崎がもっと数字を伸ばし、そこからジャパニーズ全体に興味が広がっていけば世界へと羽ばたいていける。
よほどのことがない限り、極東の島国の人々が舶来盲信から目覚めることはないだろう。日本で売り上げがどうのこうのと頑張るより、いまこそ海外で実績をあげる時だ。わたしは今後のジャパニーズウイスキーに期待している。

このシリーズ、3回までを予定している。9月中に発信する予定だが、3回はアメリカ禁酒法時代のスコッチ、カナディアン、ジャパニーズの様子を伝えようと思う。

前回『ジャパニーズは世界のウイスキーとなるか1』も是非お読みいただきたい。

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