静かで穏やかなマティーニ
いつも温厚な古田土氏。 |
ずっとカクテルばかりつくっていた男が自分の店をもっても、仕事ぶりはそうは変わらない。「モルトが人気ですから、やはりウイスキーも出ます。でも7~8割はカクテルですね」と話す古田土氏にマティーニをつくってもらう。
まろやかなマティーニだ。ジンとベルモットの比率は5対1。どちらの香味も立ちすぎることなくほどよくステアされ、静かに穏やかにグラスに収まっている。
これが5対1のマティーニ。 |
温厚な古田土氏の人柄と同じく、カクテルもまた優しい味わいだ。以前から、彼は割烹でも、寿司屋でもどんなカウンターでも似合ってしまうのではと感じていた。
職人的なサービス業が、彼にとって天職なのだろう。いつも穏やかな笑みがある。客に安心感を与え、カクテルには安定感がある。
ハードシェークと温厚さ
ハードシェークから生まれるギムレット。 |
ハードシェークはアルコールに気泡を送り込んで、まるく膨らませるという理論だ。細かく滑らかな気泡をカクテルに抱かせ、アルコールの強さを柔らかく感じさせるようにする。
マティーニの次にハードシェークのギムレットを飲んだ。シェーク法とともに
古田土氏の温厚さが相まって、まるく口当たりの良い一杯を愉しんだ。まるいがキレもある。ジンが苦手な人でも味わえる佳品といえる。
次のページではウイスキーについて語る。
(次頁へつづく)