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ウイスキー&バー/この店の、この一杯

この店の、この一杯 第51回 南青山『BAR RAGE』

北添智之氏の新しい店。アンティークボトルの圧倒的な数に驚かされるが、ミクソロジストとして、フルーツカクテルや料理にも力を入れており、すべてに充実した店内だ。小部屋も4部屋あり、大人数にも対応する。

協力:サントリー
達磨 信

執筆者:達磨 信

ウイスキー&バーガイド

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北添智之氏がいい店をつくった。店名は『BAR RAGE』。住所は南青山だが七丁目だから西麻布や広尾に接する場所にある。目立つ看板などないから見つけにくいかもしれない。日赤病院通りの、その日赤の入り口の斜め前あたりのビルの3階と伝えておく。


エレベーターで3階に上がり、店内に入ってすぐそばにたくさんの旬のフルーツを入れたショーケースがある。フルーツショップと勘違いしそうなその出迎えはバーらしくはないが、他はバーらしい寛ぎの空間がたっぷりと広がっている。

長いカウンターの客が座る背後にはスコッチとバーボンのアンティークボトルがディスプレイされている。その数は凄いのなんのって、とにかく圧倒される。実は北添氏に本数を聞くのを忘れたのだが、おそらく200以上はあるはずだ。

圧倒されるのは数ではない。100年以上前のボトルがあったりして、歴史的価値が非常に高い。驚くのは20世紀初頭のマッカラン・グレンリベットがトイレに飾ってあるのだ。私はコレクターではないからどれくらいの額で売買されるのかわからないが、高価なんてものではないだろう。それよりもやはり歴史的価値だ。

余談だが、スコッチの産地区分としてスペイサイドがあるが、この呼び方は非常に新しい。かつてあの地方はグレンリベットと呼ばれていた。スコッチのブレンダーたちがスペイサイドと呼び出しはじめたのは1970年代に入ってからのことなのだ。

だから私にとってはラベルから歴史的背景や変遷を読み取る面白さがあり、20世紀初頭のマッカラン・グレンリベットを眺めるだけでいろいろな想像が働く。

独立した部屋が4つもある。

このアンティークボトルはイタリアのコレクターの遺産を北添氏が受け継いだものだ。おそらくかなりの投資をしているはずだ。ショット売りもするそうだが、サービスできるものとそうでないものがある。つまり、まだすべてのボトルの相場を調べきれてなかったり、あまりにも高価すぎて、バーという空間では売るに売れない価格だったりするからだ。私は多くがサービスできないのではと読んでいる。

さてもう少し店内のことを話そう。なんと小部屋が4つもある。4人利用がふたつ。あとは7人と8人の部屋。奥の2部屋は開け放して1部屋にできるから、詰めれば14~15人ぐらいはいけるか。

カウンターはひとりかふたりでじっくりと。そして大人数の時は小部屋でと色分けがしっかりとなされている。(次頁へつづく)
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