人見氏のおすすめというか、常連客の人気が高いボトルは次の3つ。シングルモルトの山崎18年(¥1,600)、バルヴェニー15年(¥1,400)、カネマラ・カスク・ストレングス(¥1,400)。ジャパニーズ、スコッチ、アイリッシュと見事に分かれていて、なんだか気持ちいい。 山崎18年のおいしさを私に教えてくれたのは人見氏だ。山崎のシリーズはいろいろあるが、スタンダードの12年がいちばんだと思い込んでいた。最も飲み慣れている香味だから安定感があったのだろう。
はじめてAWに出かけた時、山崎シリーズは18年しか置いていなくて、「どうして18年なの」と聞いた。すると彼女は、「私、18年がいちばんおいしいと思うんですよ」と答えた。 そこで改めて18年を飲んでみると、たしかに旨いのだ。シェリー樽での後熟期間をたっぷりと取って生まれたその香味は、まろやかでありながら重厚感がしっかりと溶け込んでいる。飲み慣れた12年とは異なる円熟味を知った。
時に、思い込みを捨ててみよう。
飲み手というのは、時に安心感というものに埋もれてしまい、別の世界へ入り込むことにためらいがちになる。 スタンダードなバーの多くはよく似た品揃えだ。そして山崎12年はほとんどの店にある。だからつい12年を飲んでしまうのだが、これでは遊びがない。広がりがない。飲み慣れた香味の世界に浸りすぎた私に、広く愉しむことを改めて目覚めさせてくれたバーテンダーが人見氏だった。そして山崎18年って、こんなに素晴らしかったっけと、改めて気づかせてもくれた。それ以来、山崎18年をしばしば飲むようになった。
バルヴェニー15年はシングル・バレルの限定品だが、これも私の大好きな1本だ。ただしアルコール分50.4度と高い。 またカネマラ・カスク・ストレングスは現代のアイリッシュでは珍しい、ほのかにピート香をとけ込ませた佳品。これはカスク・ストレングスだから59.3度と強い酒である。
AWでのおすすめのウイスキーを紹介したが、私がほんとうに言いたかったのは次の文である。 とにかく、新規オープンしたAWへ、そして人見氏へ会いに出かけて欲しい、ということだけである。カクテルもおいしいよ。
『おすすめのバー・東京』もご覧いただきたい。
AW
東京都渋谷区道玄坂2-25-5 3F Tel.03-5458-9066
19:00~2:00(土~0:00)日祝休
チャージ¥1,000、ウイスキー¥1,000、カクテル¥1,000~
地図:Yahoo!地図情報