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ウイスキー&バー/この店の、この一杯

第36回 渋谷『バー石の華』。名店の予感(2ページ目)

昨年末、期待の若手バーテンダー、石垣忍氏が独立して渋谷に『バー石の華』をオープンした。30歳にしては渋いつくりの店に仕上げた感があるが、彼の爽やかな接客によって、将来名店の予感がある。

協力:サントリー
達磨 信

執筆者:達磨 信

ウイスキー&バーガイド

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偏ることのない、バランスのよさ。

バー石の華』は渋谷駅からそう遠くない。渋谷警察のある246号線を六本木方面へ向かってすぐの坂の途中、ビルの地下1階にある。隣のビルの1階は日本旅行なのですぐ見つけられるはずだ。
店内はその名の通り石が随所にあしらわれている。大理石や玉砂利がすぐ目に入る。はじめて訪ねた時、30歳にしては随分と渋いつくりにしたものだと驚いた。でも渋谷の名店を目指して、彼なりの設計意図があるんだろうと妙に納得もした。

そして何よりも好感を抱き、安心したのはボトル棚のウイスキーの品揃えだった。モルトに偏ることなく、ブレンデッドも上手く揃え、アイリッシュやカナディアン、アメリカンとバランスよく置かれている。
石垣氏のよさはこのバランスにある。シングルモルトがブームで、モルト勝負を強調し過ぎて、酒に負けてしまっているような若手バーテンダーを見かけることが多くなったいま、彼の姿勢は祝福されるべきだ。
幅広くウイスキーのよさ、酒のよさを伝え、客を心地よく酔わせる。バーテンダーが本来持つべきこの姿を石垣氏は追い求めようとしているように感じ取れる。

昨年末、独立開店してはじめて訪ねた夜、彼とウイスキー談議をしながら飲んだ。スコッチのティーチャーズ12年、カナディアンのブラック・べルベット、アイリッシュのミドルトン・ヴェリー・レアといったブレンデッドを彼はすすめてくれ、それらをゆっくりと愉しんだ。こちらの好みを察知した、素晴らしい選択だった。
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