大阪はキタ新地のダイニング&バー『ベッソ』はちょっと面白い。いたってスタンダードなバーなのだが、カウンター右端上部に換気の大きなダクトがあるのだ。
なんと備長炭による炭火焼きの料理を出している。さすがに煙がモウモウと立ちのぼる焼き鳥はないのだが、旬の魚介類がここで焼かれる。
30代半ばの佐藤章喜氏はオーナーバーテンダーでありながら、備長炭料理の焼き方にもなる。バーマンのベストを着て焼くのだから、これは見ていて飽きることがない。通常、バーでは目にすることのない光景だから愉快だ。
バーテンダーとしては一昨年のサントリーカクテルコンペティションで『アル・カポネ』という作品でカクテル・オブ・ザ・イヤーに輝いている。その時の競技ぶりを見たが、ステージ上での安定感には目を見張るものがあった。
その佐藤氏が熱に打たれながら焼いているのだ。
佐藤氏は神戸で生まれ育ったが、小学校の途中から奄美大島に移った。だから『ベッソ』は奄美から直送のフレッシュフルーツの宝庫でもある。マンゴ、バナナ、ゴールデンパイナップル、ピンクグァバ、スターフルーツなどの旬の果実が揃っていて、それらを巧みにカクテルに仕上げる。
お気に入りは『美ら』。「きょら」と読むが、沖縄では「ちゅら」となる。さて、これは何のフルーツを使うか。パッションフルーツである。だが詳しいレシピは教えない。情報ばかりに頼らないで、とりあえず出かけて、飲んでみること。