仙台の『ル・バール・カワゴエ』ではシガーをつい口にしたくなる。
ピアノの塗装の黒く照り輝くカウンター、黒いハイスツール。黒に統一してあるが、サーモンピンクなのか柿色なのか判然としない天井の色とのコントラストがなかなか素敵だ。大人の店なのだ。

店主の川越正人氏は口髭の似合う愛嬌のある男で、柔らかい接客が内装の持つ緊張感をうまく解きほぐしている。とはいっても、ここもじっくりと腰を据えて飲みたくなるバーだ。
酒を満たすグラスが実にいい。アンティークの美しいグラスがその酒の色に染まっていく。飲み干すと、光に照らして骨董品でも手にしたかのように眺め入る。
ウイスキーやスピリッツのレアものも置いてある。ただし川越氏は嫌みったらしいオタク系のコレクターではない。自慢する訳でもなく、飄々と我が道を行く。客に変な期待を抱かせない、それでいてその気にさせる、これが彼のいいところだ。
私も彼の術中にはまり、レアものの古いブレンデッドウイスキーを飲んでしまった。銘柄はふせるが、なかなか興味深い、レア・オールドの味とだけ告げておく。

ここでの人気はやはりアイラモルトだった。ボトラーズものもよく飲まれてもいた。私は最後を正統派で締めた。シガーとともにマッカランのシェリーの香味を味わった。大満足。(写真/佐藤慎吾『日本のグッドBAR』新潮OH!文庫より)

LE BAR KAWAGOE
宮城県仙台市青葉区国分町2-10-30 FOX-B・2階
Tel.022-213-2425 19:00~3:00 月休

チャージ¥600、ウイスキー¥800~、カクテル¥800~

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