アンクルトリスが帰ってきた。私より年齢の方々には懐かしいCMの復活だ。
高度成長期の企業戦士たちはトリスやレッドを飲みながら、給料がアップしたらホワイト、課長になったら角、部長になったらオールドを飲んでやるぜ、と頑張った。
現在の酒税法となる、はるか昔のことで、ウイスキーの格付けが明確な時代だった。
それとともに欲する地位とブランドが極めて明快な時代があった。
いまといえば、不況といいながら二十代から高価なモルトを飲んでいるし、業種によっては管理職に就きたがらない人がたくさんいる。
昔はよかったといいたい訳ではない。ただなんとも贅沢になったものだと思う。
原宿のBar Medakaでトリハイ(トリスのハイボール=ソーダ割り)を飲みながら、復活したアンクルトリスのCMを思い出し、そんな感慨に浸った。
『メダカ』とはヘンな名前だが、レトロな感じがしていい。“やたらメダカは群れたがる”なんてことを言うが、いいじゃないか。
『メダカ』はいたってスタンダードなつくりのバーで、カウンター7席、小さな丸テーブルに2席と小ぢんまりとしている。そこに酒呑童たちが群れて、チビリチビリとグラスを傾けている姿はほのぼのとしている。
ここのバックバーのボトル棚には、シングルモルトや高価なブレンデッドに混じってトリスがポツンとある。
この絵がなんとも素敵だ。いまは従来のトリスに、22年ぶりにアンクルトリスが伴ってきたトリスウイスキー スクエアが並んでいる。
スタンダードなバーで、大衆ウイスキー、トリスを飲ませるところなんぞ多くはないから、ちょくちょく出かける。
土曜日は夕方4時から営業という酒飲童には喜ばしい店で、4月26日の土曜日なんぞ、4時きっかりに店に行き、ジン&ライムで口を潤しトリスのスクエアのソーダ割りを2杯飲んで帰った。