若さの基本は血管にあり!
全身に酸素と栄養を送る血管はアンチエイジングの基本となる存在 |
体の中心から離れた皮膚に栄養と酸素を送り込んで、汚れを排出してくれるのも血管とリンパ管で、肌のアンチエイジングにも欠かせない要です。
血管を役割で分類すると動脈、静脈、毛細血管の3種類。私たちが食べた物の栄養は内臓で消化・分解・吸収され、内臓近くの血管(動脈)に運び込まれ、さらに微小な毛細血管を経由して全身の細胞に配達されます。最後に栄養は「血しょう」として毛細血管から染み出して細胞に取り込まれてエネルギーとして使われます。
使い終わったエネルギーの燃えかすや細胞から排出された老廃物は、血管(静脈)が80%を吸収し、リンパ管が残りの20%を吸収して体外に排出されたり再取り込みされたりします。3つの血管の役割と特徴を次のようにまとめました。
動脈は筋肉が厚く、静脈は逆流防止弁がある |
全身の細胞に栄養や酸素を配る血管で、水道でいう上水道(きれいな水を家庭に送る管)のような役割をしています。内側から内膜・中膜・外膜からなる三層構造で、内膜は血液をスムーズに流すために滑らかな内皮細胞に覆われています。中膜は平滑筋という筋肉があり、この筋肉が血管の収縮運動を展開。動脈は栄養豊富な血液を全身に送り出すために、分厚い平滑筋が活躍して収縮運動を行っています。外膜は弾力性に富んだ繊維質でできています。
■静脈
細胞から排出される老廃物や疲労物質などを体の外に運び出す血管で、水道でいう下水道(汚れた排水を送り出す管)のような役割をしています。動脈と同様に三層構造ですが、中膜の平滑筋が少なく、血管の収縮運動は動脈ほど激しくないため、血圧も低くて流れもゆっくりしています。その代わりに静脈の内側には逆流を防ぐ弁があります。
■毛細血管
動脈から運ばれた栄養や酸素を細胞に届ける微小な血管。わずか0.005mm~0.01mmほどしかない小さな血管で、滑らかな内皮細胞だけの一層構造。平滑筋がなく、収縮運動をすることができないため、細胞とのやり取りはもっぱら血流の量と浸透圧に頼っています。
動脈の老化とその原因
動脈は老化は血管壁が固くなることから始まる |
■血管が固くなる老化
動脈はしなやかなゴムホースのようなもの。ゴムホースが古くなると劣化して固くなり、折れたり破れたりします。同様に動脈のしなやかさのもとになるエラスチンや筋肉が減ったり、内皮細胞のターンオーバーが遅くなって内膜がガサガサと石灰化したり、血管の外側を覆う繊維質がうまく作れなくなることで固くなります。またストレスが多い生活や高血圧の人は、常に血管が収縮して固くなった状態が続いているので、健康な人よりも早く動脈が固くなるリスクが高まります。血管が病的に固くなった状態を「動脈硬化」と呼び、すべての血管の病気の原因になります。
■血管が厚くなる老化
動脈を流れる血液には脂肪、コレステロール、糖などの栄養がいっぱい含まれていますが、これらの量が多くなりすぎて血管の内側の壁にこびりついて汚れの膜になると、血管の壁がどんどん分厚くなります。ちょうど水道管に水垢がついた状態です。
■血管が狭くなる老化
血管がどんどん分厚くなり汚れが溜まると、汚れを退治しようとしてマクロファージという細胞が汚れを食べるのですが、汚れを食べて大きくなったマクロファージが血管のこぶとなります。このこぶがどんどん大きくなると血栓(血の固まり)ができて、血管を詰まらせてしまいます。また血栓が剥がれて血流に乗って細い血管に運ばれると、そこで血管を詰まらせることもありますし、剥がれた部分では血管が破れて出血することもあります。