孫共育家事分離のプラン
ご紹介するのは共働きの息子夫婦同居を想定した玄関以外はすべて分離した共用二世帯のプランです。1階を親世帯、2階を子世帯として、玄関ゾーンを1階の左端に置き、両世帯の家事動線を明確に分ける共用二世帯としてはオーソドックスな構成です。2階の左側1/3、つまり子世帯の中では一番親世帯に近い部分を孫共育ゾーンとしていることが一番の特徴で、孫共育家事分離のプランとして親世帯と子世帯で孫共育ゾーンを挟む構成となっています。このことによって、2階の残り2/3を占める子世帯専用ゾーンには一切立入ることなく、親世帯が孫の世話を2階で行うことができます。(図3)孫は帰宅すると玄関周りのシュークロゼットに置かれた孫ロッカーに荷物を置き、親世帯のLDKへと帰宅します。LDの入口を開けたままにしておけば、玄関周りは親世帯の LDKから目が届きやすいように配慮されています。親世帯のLDには床上げタタミのコーナーを設け、ここに座って勉強ができるようなカウンターが設けられています。調査の結果では子世帯がフルタイムの共働きで、親世帯子世帯両方に玄関があった場合でも孫の8割以上が親世帯の玄関に帰宅し、約7割が親世帯で勉強しています。ここでは親世帯で孫が勉強する機会が多いことを想定して、子世帯のみならず親世帯にもその空間を設けています。
このようなLDKに隣接して目の届きやすい勉強コーナーを当社では+NEST(プラスネスト)空間と呼んでいます。小学生の85%がLDで勉強している実態を踏まえ、その場所をダイニングテーブルではなく専用の空間として机となるカウンターを設け、安心感と共に自立感こもり感を演出する、というのが子育て期の+NEST空間の基本的な考え方です。
子世帯の帰宅後は、親世帯が2階へ上がる必要はなくなり、2階全体が子世帯のゾーンとして機能します。子供部屋は子世帯のLDKと隣接して、引き戸で開放できるように造られているので、子世帯のLDKから目が届きやすく、+NEST空間の特徴を備えています。また、子ども部屋は間仕切り収納で将来仕切るように考えられていますが、現在はふとんで川の字就寝ができるワンルームとして使うことを想定し、可動間仕切り収納でふとんの収納場所を形作っています。将来の主寝室は、現在は夜、室内干しのための空間として、親世帯の目に触れることなく、使うことができるようになっています。(図4)
以上、孫共育・家事分離の二世帯プランをご紹介しました。二世帯の暮らし方のスタイルに合わせてプランニングを考えると、今まで当たり前だと思っていたプランが変わっていき、より暮らしにフィットするプランになっていくのですが、その様子を少しでも感じていただけたのではないかと思います。