ゲリラ豪雨や台風などでの水害、火災保険の補償対象になる?

床上浸水の水害で火災保険の補償は?

床上浸水の水害で火災保険は補償は?

集中豪雨(ゲリラ豪雨)や大雨、台風などによる水害の被害は全国各地で増えています。地球温暖化による気候変動による影響が大きいのでしょう。

火災保険では、一般的に台風、暴風雨、豪雨等による洪水、高潮、土砂崩れ等による被害が補償の対象とされています。洪水や高潮などは想像がつくでしょうが、土砂崩れもその範疇に入っているのは意外と思う人もいるでしょう。

火災保険の補償では、台風による強風による損害は「風災」の補償対象、台風で大雨が降り、床上浸水・洪水、土砂崩れなどは「水災」で補償されます。この記事では、集中豪雨や台風などによる水害(水災)と火災保険の補償について解説します。なお、火災保険の補償上は「水災」というので、この記事では水災という言葉で統一して記載します。

加入している火災保険のプランが水害(水災)に対応しているか

現在の損保各社の火災保険は、それぞれ独自の商品を販売していますので、同じ補償内容ではありません。火災保険商品の中にいくつかプランがあって水災を補償するプランとしないプランがあります。

また火災保険によっては補償を自分で選択するタイプもあります。こうしたケースでは水災の補償を選択して除外することができる商品もあります。これから火災保険に加入するのであれば、自分の意思で水災補償を外す、あるいは水災補償のないプランを選択しない限りは、通常火災保険で水災は補償されていると考えてください。

なお火災保険を35年などの長期契約で契約していて、以前の業界共通商品だった火災保険(住宅火災保険、普通火災保険)に契約している人は水災の補償はありません(住宅総合保険、店舗総合保険は水災補償あり)。

いずれにしても火災保険のタイプにより、水害が補償されるものと補償されないものがあります。自分が加入している火災保険の水災の補償内容を確認してください。
 

住まいの地域の水災リスクも確認を

自分が住む地域の水災に対するリスクがどの程度あるのか、把握しておくことも重要です。もともと水災が多い地域もあれば、昨今の集中豪雨等で初めて水害に遭ったという場所もあるでしょう。

自宅の周囲のハザードマップを見たり、過去の周囲の水災の被害状況を火災保険の加入以前に水災に関する危険度も知っておいてください。

冒頭に解説したように水災の補償で洪水などだけでなく、土砂崩れも対象です。過去の災害の有無に関わらず、河川の近くはもちろん山や崖があるなら水害や土砂崩れなどの災害リスクはあるものと認識してください。

(参考) 国土交通省 ハザードマップポータルサイト

但し、ハザードマップも絶対ではありません。浸水想定地域に入っていなくても浸水の被害を受けることもあります。すぐ近くではないにせよ河川や山などがあるような地域であれば被害に遭う可能性はゼロではありません
 

床上・床下浸水と火災保険の水災補償の対象と支払い要件

ここからは、床下浸水と床上浸水などの水害による被害と火災保険との関係についてお話しします。記事のはじめにも書きましたが火災保険の水災補償の対象は一般的に次のとおりです。

「台風、暴風雨、豪雨等による洪水・融雪洪水・高潮・土砂崩れ・落石等」

水災という名称ではありますが、土砂崩れや落石、融雪洪水なども通常は含まれます。その上で
火災保険における水災の保険金の支払いには、一般的に次のような要件があります。
 
  1. 建物または家財それぞれの再調達価額の30%以上の損害
  2. 床上浸水または地盤面から45cmを超える浸水による損害

火災保険によってこれらの全部または一部が基準になっています。このような違いによって、水災のときの火災保険金の支払いは異なります。床下浸水のみだと保険金の支払い基準を満たしませんので対象外となります。

上記の基準が損害保険会社で共通とは言い切れませんが、水災補償の支払いになるかどうかの見極めの一つの目安になるので覚えておきましょう。

水災は保険金支払いの条件がこのように細かいことが特徴です。なお、水災で保険金を請求する場合、通常は罹災(りさい)証明が必要になります。罹災証明は風水災の場合には市区町村で発行されます。
 

火災保険商品の「水災」の補償の保険金

保険金の支払いの条件が細かい他に保険金の支払い方もいくつかパターンがあるのが水災の特徴です。

現在ではどこの損害保険会社も火災保険の販売の中心は自社のオリジナル商品です。水災の補償といってもいくつかパターンがあって、実際の損害を支払うタイプもあれば、一定割合を支払う定率の補償のケースもあります。

この定率で支払うタイプが結構複雑ですが、以前の共通商品である住宅総合保険を例にとってみます。
  • 損害額が時価の30%以上 損害額×70%など
  • 損害額が時価の15%以上30%未満 契約金額×10%(200万円限度)
  • 損害額が時価の15%未満 契約金額×5%(100万円限度)
分かりやすいように少し簡素化して書いている点はご了解ください。住宅総合保険などだと水害があった際、実は自宅を建て直せるほど保険金が支払われるわけではありません。

火災保険によっては水災の補償はこの定率タイプの支払いになっているところがありますので確認しておきましょう。今の火災保険でもこれに近い定率の支払いをする商品はあります。逆に保険料は高くなりますが、実際の損害を100%支払う商品もあります。

実際の損害額-自己負担額=損害保険金(保険金額が限度)

最近は上記のように自己負担額を設定している場合は、それを差し引いて実際の損害額を保険金額(契約金額)を上限に支払うタイプが増えています。水災のリスクが高い場合はこのようなタイプの方が被災した際に説明を受けるにしても分かりやすいでしょう。

火災保険によっては選択することで定率払いを選べるケースもあります。保険料の負担にもよるでしょうが、自宅の立地を考慮して火災商品選びをしてください。
 

保険目的にも注意

住宅の保険については、火災保険の目的を建物と家財(状況によって明記物件)に設定し、それぞれに地震保険までつければほぼフル装備です。

しかし、保険料が理由で、持ち家の人なら補償対象を建物だけとしているケースもあるでしょう。水災の場合は、家財道具にも相当な被害が出ますから、保険料と補償のバランスを見ながら検討することが大切です。

水災と言っても、必ずしもきれいな真水が浸水してくるわけではありませんから、汚水や泥、油など汚れや匂いなどで家の中がぐちゃぐちゃになります。状況に応じて必要なものに火災保険を付帯するようにしましょう。
 

マンションなら水害の心配はない?

分譲マンションなどでマンションを所有している場合、マンションの高層に住んでいるから水災は関係ないと考えている人も少なくないでしょう。

しかし、マンションは専用部分だけでなく共用部分も自分の持ち物です。共用部分にかける保険にも確認が必要です。

最近のマンション管理組合で加入する保険であればほとんど心配ありませんが、何十年も経っていて、管理組合などもなく、共用部分も含めて自分で保険を付けなければならない場合は要注意です。新しいマンションなら管理組合で加入する共用部分の火災保険に水災を付帯すればいいでしょうが、もし自主管理のマンションなら注意してください。

また専有部分であっても1階や低層に居住している、山や川が近いなどの場合は改めてリスクの確認はしてください。
 

水害(水災)の補償を火災保険から削除する手も

水災をテーマに、主なポイントなどを中心に解説してきました。しかし、なかには水災の補償など不要な人もいます。

各社独自の火災保険であれば、最近のものは水災補償を外せるものがほとんどです。水災は他の補償より「要・不要」が明確です。水災補償を外すことで保険料を節約することができますので検討してみてください。実際に水災の火災保険に占める保険料は大きいので結構な削減効果があります。

なかには単に保険料が安くなるという理由だけで水災補償を除外する人がいますがこれは論外。その住まいの立地や建物構造などでかかるリスクは個別に違います。住まいの地盤や周辺の河川や山、水害の際の排水の状況など色々チェックして判断しましょう。
 

水災で被災したらしておくこと

床上浸水などで被災してしまった場合、火災保険の保険金請求にあたりしておくことを覚えておきましょう。
  • 被災建物の写真を撮る(四方から全体像と被害箇所が分かるような写真)
  • 使えなくなった家財も破棄する前に写真に撮る
自分の被災した家を記録に残すのはつらいでしょうが、写真があった方が保険金の請求がスムーズです。記憶はどうしても薄れていくので絶対ではありませんがなるべく写真に撮っておきましょう。スマホの写真でOKです。

なお、被害状況によっては火災保険証券を紛失する場合もあるでしょうが、保険証券がなくても保険金の請求は可能です。加入先の損保が分かれば最寄りの支社などに連絡してみてください。本人確認が取れれば契約内容は確認できます。

加入先の損保が不明な場合は日本損害保険協会の「自然災害等損保契約照会制度」で照会することができます。

各災害ごとに「●●●●による災害により被害を受けられた皆様へ」という個別ページが設置されるので該当するところから内容を確認してください。

(参考)一般社団法人日本損害保険協会

※火災保険は各商品とも規定が一律ではない点は考慮してください。また共済は取り扱いが異なります(下記の関連記事を参考にしてください)。

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