土砂崩れの被害は、火災保険で補償される?

土砂崩れなどの土砂災害は火災保険で補償される?

土砂崩れなどの土砂災害は火災保険で補償される?

台風や集中豪雨などがあると、これらが原因で土砂崩れなどの災害が発生することがあります。家が潰されたり、家の中に土砂が入ったりと大きな被害がある土砂災害ですが、実は火災保険で補償をつけることができます。

意外と知られていない土砂崩れの火災保険における補償について、契約の際のポイントや注意点とともに解説していきます。
   

火災保険の補償内容、土砂崩れは水災

最初に、火災保険の主な補償内容について確認しましょう。一般的に火災保険の補償内容は、主に次の通りです。なお、損害保険会社ごとに火災保険商品やプランによって違いがある点を考慮して読み進めてください。
 
  1. 火災
  2. 落雷
  3. 破裂・爆発
  4. 風災・雹災・雪災
  5. 建物外部からの物体の飛来・落下・衝突
  6. 給排水設備の不備による水濡れ
  7. 騒じょう・集団行動・労働争議に伴う暴行
  8. 盗難
  9. 水災
  10. 偶然な事故による破損など

最近の火災保険は1~3(もしくは4)までを基本補償などにして、残りの補償を自分で選んだり、補償の異なるプランを選択するようになっていて多様化しています(落雷の補償を選択できるものもある)。詳しくは「補償が選べる火災保険とは?」も参考にしてください。

いまは多くの火災保険で上記の「9.水災」を付けるかどうか選択することができ、土砂崩れはこの水災で補償します。

水災というと大雨や台風、ゲリラ豪雨(集中豪雨)などによる洪水や高潮、床上浸水などをイメージする人が多いでしょう。しかし火災保険でいうところの水災とは、「台風や暴風雨、豪雨等による洪水、融雪洪水、高潮、土砂崩れ、落石等」による損害をいい、台風や豪雨などから起こる土砂崩れ等も水災の補償でカバーするので覚えておいてください。

これらの災害に備えるには、火災保険に水災補償が付いていないと保険金が支払われません。なお、水災補償には水濡れ(漏水など)や津波による損害は含まないということも知っておきたいポイントです。これらの損害はそれぞれ火災保険の「水濡れ」の補償や「地震保険」が必要です。
 

土砂崩れと水災の補償、各社の火災保険商品の状況は?

現在、損保各社が取り扱っている火災保険は、水災の補償を自分で除外したり、水災が除外されているプランを選ばない限り、通常は補償されているものです。

すでに発売されていない旧来損保各社の共通商品であった専用住宅の火災保険のうち、「住宅火災保険」では水災の補償はありません。補償されているのは「住宅総合保険」です。

仮にこれらの契約が残っているとすれば、保険期間20年、30年などの長期契約でしょうが、保険金額(契約金額)の設定や保険金の支払いなどは、現在のものとは異なります。

これらの水災の補償もかなり細かく支払い基準があり、3段階程度となっています。また定率方式となっており、住まいが土砂災害で全壊しても、損害額の70%までしか補償されません。

また現在も住宅総合保険の契約がある場合、保険金額(契約金額)の設定が時価になっている可能性が高いため、洪水などで全壊・流失した際、その時点での時価が補償の上限になるので注意が必要です。旧タイプの火災保険の水災の補償はこうした点に注意してください。
 

土砂崩れを火災保険で補償する際のポイント

火災保険も以前とはかなり状況が変わってきており、安い商品に目が行きがちになるでしょう。

実際、住居が高台にある、もしくはマンションの高層階に住んでいるのであれば、水災の補償はいらない=その分保険料は安いという判断で、補償設計するケースはよくあります。

しかし、近くに川などもなく、床上浸水の心配はないと思っても、自宅の後ろに崖や山があって土砂崩れの可能性があるなら、安易に水災の補償がないタイプにするのはリスクが大きいのです。

自然災害や事故は何があるか分かりません。どんなことに不安があって、自分の住まいの周辺の環境がどうなっているのか、自分に必要な補償、負担する保険料など、さまざまな角度から火災保険のプランを検討してください。

自宅の周辺に山があるが、長年住んでいて土砂災害はこれまでなかった、ということが今後も土砂崩れがないとは言えません。火災保険の補償の前に自宅がどこにあるかの立地や建物構造をよく考えてください。

そのためにはじめに解説した水災補償で何を補償するのか知っておくことが大切なのです。
 

土砂崩れと火災保険金の支払い

土砂崩れを補償する「水災」と、火災保険の損害保険金の支払い条件について解説します。

まず、水災が付いていれば、必ず保険金が支払われるわけではないことを知っておきましょう。水災補償は、通常「床上浸水もしくは地盤面から45センチ超の浸水」「損害割合30%以上の場合」など条件があります(損保会社によって異なることがあります)。

一般的に、単に床下浸水が起きただけで火災保険は補償されません。水災の補償があるから安心というのではなく、災害にあった場合の保険金支払いにこうした規定や自己負担などがないかも、契約のときに確認しておきましょう。

実際の水災の保険金の支払いは、火災商品によって細かく規定されています。実際の損害を支払う「実損払い」や、損害割合に応じて支払う「定率払い」があります。

旧タイプの住宅総合保険は、水災の支払いは下記の基準になります。

<定率払いの例>
  • 損害額が新価額の30%以上……損害額
  • 損害額が新価額の15%以上30%未満……保険金額×10%
  • 損害額が新価額の15%未満……保険金額×5%
仮に全壊して30%以上損害があっても、損害額の全額ではなく70%までの補償で抑えているタイプの商品もあります。分かりやすいものだと、例えば、数万円程度の自己負担額を差し引いて損害額を全額支払う商品などです。

最もシンプルなのは、支払い条件を満たせば契約金額を上限に損害額の全額を支払うタイプです。住宅の所在地が明確に水災の補償が必要ないケースはいいのですが、そうでない場合には、詳細を必ずチェックしておきましょう。

主なチェック項目は下記の3つです。
  • 水災の支払い条件
  • 水災の保険金の支払われ方
  • 自己負担額の有無
予算もあるでしょうが、水災および土砂崩れなどの危険が高そうなら、実損払い(実際の損害を契約金額を上限に支払うタイプ、水災補償も同様)の火災保険を優先して検討してみましょう。

※火災保険によって規定が異なることがあるので、契約先の損保に必ず確認してください。

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