オオトカゲの魅力とは?
ようやく、このグループに関して書くことができるようになりました!
今まで、その魅力に触れたい、ご紹介したいと思っていたのですが、相手が相手なだけに、そう無責任なことを書けませんでした。
そう、今回はトカゲの中の一大グループ・オオトカゲの魅力について迫ってみました!!
<目次>
ガイドの家にもオオトカゲ(モニター)登場!
スタンダードなトカゲが好きな方なら、一度は誰でも憧れるのがオオトカゲですが、大きさ、性格、それに起因する飼育設備の規模から、飼育を始めるために相応の覚悟が必要なグループです。ですから、オオトカゲ飼育未経験の私はご紹介するのに慎重を期していたのです。
もちろん宮崎のような地方都市では、ショップでも見る機会が少ないわけで、実物を見ることさえ困難なわけですし。
しかし、そんな私の家にも、ついにモニターと呼べる生き物がやってきました。
そして、まだまだわずか数ヶ月ではありますが彼と暮らしてみて、あらためてモニターの魅力を感じることができました。
私とモニターとの生活に関しては、あとでちょこちょこご紹介するとして、モニター飼育一般のお話をしていきましょう。
幻だったイザベルオオトカゲ |
オオトカゲという動物、またその魅力
さて、今回ご紹介するモニターつまりオオトカゲの仲間たちですが、生物学的そしてペットとしてどのような生き物なのか、簡単にご紹介しましょう。オオトカゲの仲間はすべてオオトカゲ科に属していて、現在は東南アジアからオセアニア、アフリカに現生として70種足らずであるとされています。
3mに達するコモドオオトカゲや、長さだけなら4m以上の最長種であるハナブトオオトカゲから、最大20cm前後にしかならないのショートテールモニターなど、オオトカゲの名前が似つかわしい種類から、とてもそう呼ぶことができない種類まで大きさだけを見てもさまざまな種類から構成されています。しかし、興味深いのは、現在はとりあえずオオトカゲ科に属する種類はすべてオオトカゲ属Varanus とされていることでしょう。
外見の特徴として、他のトカゲたちと比較すると、イグアナやアガマの仲間のように背中線に棘状や鋸歯状のクレストが発達しないことやスキンクの仲間のように鱗1枚ずつがハッキリとしていないというイメージです。
また四肢や尾が発達していてがっしりした体躯であり、舌がヘビのように長く二股に分かれています。
どちらかというと外見は「無駄がない」という見方をすれば「機能美」が魅力と言えるかもしれません。
非常に四肢や尾が頑強・写真はスナオオトカゲ |
体色もそういう意味では、極端に派手であったりする種類は少なく、どちらかというと地味な中にも、それぞれの種が主張をしているような体色のイメージが強い仲間たちです。
オオトカゲの生息環境によるタイプ分け
一見、どの種類も似たような外見のオオトカゲたちですが、生息環境や分布域など、さまざまな視点から、趣味の中でタイプ分けされています。あくまでも私の主観ではありますが。オオトカゲのタイプ1:ツリーモニター
樹上性が強く、細身の体躯とやや細長い尾を持ったグループです。一般的にはマングローブモニター亜属とされるグループです。全長1-1.5mほどに成長する中型の種類が多く、主に東南アジアの熱帯雨林に生息しています。コガネオオトカゲであります。
コバルトモニター | |
画像提供:Endless Zone |
もっとも有名な例として、青いオオトカゲ「蒼龍」・コバルトモニターや、エメラルドツリーモニターを代表とした黄緑色の種類は人気があります。また黒一色であるクロホソオオトカゲなどもこのグループですし、微妙なグラデーションや金属光沢が美しいブルーテールモニターやトリカラーモニターなども魅力的です。
飼育に当たっては、性格に落ち着きがない個体が多いようです。特に立体活動ができるような広い空間と多湿ではあるが蒸れない環境、という設定にコツがいる場合が多いようです。
特別な種類をのぞき、特にインドネシアからはコンスタントに輸入されているので、それほど入手に困ることはありません。ただし、ほぼ完全にWCあるいはWC個体がストック中に産卵した卵から孵化させたFHが多く、近い将来、保護の対象になる可能性を持っているグループでもあります。
ちなみに、私が今回飼育を始めたのもこちらのグループです。
我が家に来たツリーモニターは、頭部の黄色が美しく、性格もおとなしいと言われているコガネオオトカゲであります。
我が家に来たコガネオオトカゲ |
オオトカゲのタイプ2:ミズオオトカゲ
ミズオオトカゲは東南アジアの水辺に広く分布するやや大型のオオトカゲです。別名をサルバトールモニターと呼ばれ、ペットとして広く世界中で人気がある種類です。非常に多くの亜種に分かれており、特にカミンギィと呼ばれる黄色みが強い亜種は人気が高く高価です。比較的神経が太く、人なれもしやすいようなので、大型になることを覚悟して飼育設備を確保できれば思ったよりも飼育はしやすくペットに向いている種類です。
画像提供:野毛山動物園
ミズオオトカゲ |
オオトカゲのタイプ3:サバンナモニター
サバンナモニターはアフリカに広く分布する、地表性の中型のオオトカゲです。いわゆるナイルオオトカゲ亜属に属していて、他に似ている種類にアフリカンロックモニターが国内で流通します。
吻端が他のモニター類のように細くならず、やや頭部が丸い印象を受けます。
いわゆる砂色で地味な印象がありますが、安価で大量に流通することも手伝って、国内でもっとも多く流通し、飼育されているモニターであると思われます。
サバンナモニター | |
画像提供:aLive |
ただし、近縁のナイルモニターは気が荒い個体も多いようですから、要注意です。
オオトカゲのタイプ4:グールドモニター
グールドモニターはナイルモニターと並んで、いわゆるやんちゃな性格の地表性モニターの代表種です。コモドオオトカゲやオーストラリアの最大種ペレンティを含むオニオオトカゲ亜属の一種ですが、分類が混沌としていて、オーストラリアのサンドモニターと東南アジアにも分布するヒャクメオオトカゲの区別が難しいことも本種を語る上で忘れてはいけない情報です。もちろん比較的安価に流通するのはオーストラリア外の個体群であることは間違いありません。
グールドモニター | |
画像提供:レプタイルストア ガラパゴス |
なお、オーストラリア外から流通するグールドモニター以外のこのグループの種類は、野生動物の輸出が禁止されているオーストラリア固有種が多く非常に高価であるため、発せられる特別なオーラが魅力であるとも言えます。
オオトカゲのタイプ5:ドワーフモニター
文字通り、成長しても大きくならないオオトカゲの仲間です。全長がある程度あっても、尾の長さを差し引くと20cm程度だったりするグループなので、まさしく小型のオオトカゲです。
大きくなることが魅力でもあり、飼うための障壁でもあるのがオオトカゲですから、小型である、というのはそれだけで貴重であるのかもしれません。
もちろん小さい種類は、一見ただのトカゲですからオオトカゲに迫力を求めるファンには向いていないかもしれません。しかし小型ながらも頑強な四肢はオオトカゲのソレですし、大きさ以外はオオトカゲそのものです。
オーストラリアのドワーフモニター・ピグミーマルガモニター |
比較的安価で流通するのはチモールモニター種群でしょう。ピーコックモニター等も含むグループで分類も混沌としていますが、オーストラリア外に分布するために流通もしやすく目にする機会も多いモニターです。ドワーフモニターの魅力を気軽に楽しむのにちょうどいいかもしれません。ちなみにうちにも1匹だけ飼育中ですが、顔つきもかわいらしく飼っていて楽しい種類です。
オーストラリアンドワーフモニターとしてもっともポピュラーなのはリッジテールモニターが挙げられます。こちらは古くから欧米を中心にCB化されていますので、高価ではありますがコンスタントに流通します。その他のオーストラリアンドワーフモニターたちは、まだまだ安価はおろかコンスタントな流通もままならない種類も多く、格別なオーラを放っています。
オオトカゲ(モニター)の魅力
さて、このように多様なモニターたちですので、魅力もそれぞれでありますが、やはり最大の魅力は「大きさ」でしょう。大きいということは、つまり「存在感」につながります。私のように小さかったり、ヘビのようにあまり手間のかからない生き物をこまごまとたくさん飼っていると、特に「存在感」がある生き物には魅力を感じてしまいます。
コガネオオトカゲを飼ってみて、一番感じるのは、大きいが故にその表情を感じることです。全長で1mにも満たない我が家のモニターでさえそうなんですから、大きくてボリュームのあるミズオオトカゲを飼われている方などはなおさらでしょう。
何よりも表情を感じることができる、というのは生命力をひしひしと感じることでもあり、極端に言うと、犬や猫を飼育するのに似ているかもしれません。しかもそれが野生を失っていないわけですから、迫力もあります。
エサを与えるときにも、ロケットのように直線的に飛びついてくる彼にはいつも緊張を強いられますから、生き物飼育の醍醐味満点です。
生き物飼育の魅力としては、賛否両論あることは承知で言うと、「貴重さ」というのもモニター飼育の魅力かもしれません。オーストラリアンモニターに代表されるように、流通しにくく「憧れ」の対象、あるいは「いつかは」という目標になる種類も多く、それを自分の家で飼育できる喜びは否定できるものではありません。
しかし、一方で多くの両爬飼育の魅力である「繁殖の楽しみ」というのがモニター飼育のネックであることも否定できません。
まだまだモニター飼育1年生の私ですので、どうしてモニターが日本の飼育下でコンスタントな繁殖につながらないのかわからないのですが、ブリーダーズイベントやショップでもモニターの国内CBというのはなかなか、目にすることができません。
モニターはすべてCITES II以上に掲載される種であり、いつ流通が止まってしまうかわからないグループですので、国内でもコンスタントにCB化されるようになってほしいものです。
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