まだまだ健在、パリのニセジャポ
![]() |
ニセジャポ店の天ぷら(?)うどん。 約1,270円 |
ここ数年、グルメ大国フランスでも日本食の人気は相当なもの。日本人が出す店も多く、定番の寿司だけでなく、庶民的な定食から割烹料理まで様々な日本の味を楽しめるようになった。一方で「ニセジャポ」と呼ばれる、なんちゃって日本食を出す店も増えている。
そんな状況を憂いて、2006年にジェトロ・パリ・センターが創設したのが、「日本食レストラン推奨制度」。ただし、これはニセジャポレストランにダメ出しをするものではなく、一定の基準をクリアした店にお墨付きを与えるのが目的。とはいえ、本当の日本食の味を知る人が増えれば、ニセジャポが自然と淘汰されることも期待できる。……かと思われたが、現実はそう甘くなかった。パリのニセジャポはまだまだ元気いっぱいだ。
寿司と焼き鳥が定番メニュー
2009年5月、パリ左岸にあるメトロのオデオン駅界隈に足を運んでみた。このあたりには日本食レストランが多い。もちろんなかには日本人が腕を振るう本格的な店もあるが、ニセジャポが多いのも事実。ランチタイムともなれば、そんなニセジャポレストランも満員御礼だ。ニセジャポレストランは日本人以外のアジア人が経営していることが多く、微妙な店名のセンスからソレとわかることも多い。メニューの定番は寿司と焼き鳥で、価格は店によって違うが握りのセットが10~15ユーロ(約1,340~2,000円/2009年6月17日現在 1ユーロ=133.6円)、焼き鳥にライスやスープが付いたセットが8ユーロ前後(約1,070円/同)がボリュームゾーン。日本の感覚からすると高めだが、現地では比較的リーズナブルであり、それも人気の理由になっている。
「天ぷらうどん」ならぬ「エビフライうどん」!?
肝心の味はどんなレベルか? 特に賑わっていた一軒に入ってみた。厨房を仕切るのは中国人。珍しく天ぷらうどんがあったのでオーダーすると、大きなエビが2尾も入っていたのはよいが、食感や味わいは天ぷらというよりエビフライに近い。ほかに頼んだ焼き鳥セットのつくねは悲しくなるほどパサパサで、餃子のタレには焼き鳥のたれのような甘い醤油が付いてくる始末。ちなみご飯の米はジャポニカ米ではなく、細長いインディカ米だった。だが、周りのフランス人はおかしな顔ひとつせず、器用に箸を使いこなし、楽しそうに食事をしている。まあ、日本にも現地の味にアレンジを加えた日本風の各国料理を出す店もたくさんある。現地の嗜好や食材に合わせて多少の変更はやむをえない部分もあるだろう。ただ、さすがにここまで違うと「日本食」と呼ぶには抵抗があるのだが……。とりあえず、話のネタに一度は食べてみるのも面白いかも。
<関連情報>
世界トップ10の名店、Tetsuya’s(テツヤズ)
日本とポートランドの味のコラボ、自然食のお弁当カフェ
世界中が熱狂! クールな和食レストラン