世界遺産/世界遺産豆知識

世界遺産豆知識3 全登録基準を満たす遺産(4ページ目)

世界遺産に登録されるには、文化遺産に6つ、自然遺産に4つある「登録基準」を満たさなければならない。今回は文化遺産、あるいは自然遺産の登録基準をすべて満たすパーフェクト遺産を紹介しよう。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

■イエローストーン国立公園
アメリカ、1978年、自然遺産(vii)(viii)(ix)(x)
火山活動によって造られた深い渓谷や不可思議な色の断崖や湖、火山から発生する間欠泉や熱水で有名な自然遺産。1872年、この奇跡的な景観を守るためアメリカ大統領グラントが保護を決定し、世界初の国立公園が誕生した。景観だけでなく、バッファローや狼など特有の生態系を誇る。

グランド・キャニオン
深い渓谷がどこまでも続くグランド・キャニオンの壮大な景色。この瞬間も大地が削り取られている。
■グランド・キャニオン国立公園
アメリカ、1979年、自然遺産(vii)(viii)(ix)(x)
7,000万年前に隆起した土地が、川によって浸食されて誕生した、全長約450kmにもなる大渓谷。深さは最大でおよそ2,000mにもなり、剥き出された地層は最古のもので20億年以上前にまで遡る。現在も浸食は進んでいるが、削られるペースは1,000年で10cmにも満たないと言われる。

■グレート・スモーキー山脈国立公園
アメリカ、1983年、自然遺産(vii)(viii)(ix)(x)
その名のとおり1年中霧に覆われた森林地帯で、落葉樹による原生林が残る世界的に希少な国立公園。標高差はおよそ2,000mに及び、豊かな水資源と多様な気候から多種多様な植物が繁茂している。同時に、サンショウウオやクマなど野生動物の宝庫でもある。

■クルアーニー/ランゲル-セント・イライアス/グレーシャー・ベイ/タッチェンシニー-アルセク(アメリカ、カナダ共通)
アメリカ、カナダ共通、1979年、1992年、1994年、自然遺産(vii)(viii)(ix)(x)
アメリカ、カナダ国境にまたがって登録された世界遺産で、極地を除くと世界最大規模となる大氷河で知られる。雪と氷河に閉ざされた厳しい自然環境にもかかわらず、海から標高5,959mのローガン山まで多様な生態系を有し、特にグリズリーやトナカイで世界的に有名。

■タラマンカ地方-ラ・アミスター保護区群/ラ・アミスター国立公園(コスタリカ、パナマ共通)
コスタリカ、パナマ共通、1983年、1990年、自然遺産(vii)(viii)(ix)(x)
コスタリカ、パナマにまたがる大熱帯雨林地帯。もともとコスタリカは生物の宝庫と言われるが、その中でも際立っているのがこの世界遺産。見ると幸せになるという伝説を持つケツァールやホバーリングで有名なハチドリなど、500種を超える鳥類を見に世界中から観光客が訪れる。

■リオ・プラタノ生物圏保護区
ホンジュラス、1982年、自然遺産(vii)(viii)(ix)(x)
こちらも中米の熱帯雨林地帯で、マングローブが広がる海岸から標高1,000mを超える山岳までをプラタノ川が緩やかに蛇行しながら貫き、豊富な水資源が多彩な動植物を支えている。ケツァールやマナティをはじめ、希少動物が多数生息している。

■ガラパゴス諸島
エクアドル、1978年、2001年、自然遺産(vii)(viii)(ix)(x)
ダーウィンの『種の起源』で一躍有名になった島々。周囲に陸地がない隔絶された環境のなか、動物たちは同じような種でも島ごとに独特の特徴を持ち、これが進化論の着想につながったと言われる。実際に固有種が数多く存在し、「進化の楽園」と言われる。

■サンガイ国立公園
エクアドル、1983年、自然遺産(vii)(viii)(ix)(x)
赤道近くにあり、裾野部分にはアマゾンにつながるジャングルが広がる一方、標高4,000mを超えると万年雪や氷河が広がり、その間に多様な自然景観と生態系を有している。サンガイ山は標高5,410mにもなり、国立公園内の標高差は4,000mを超える。

エンジェル・フォール
高さ約980mを誇るカナイマ国立公園のエンジェル・フォール。水滴はほとんど雨のように拡散し、滝の下にいてもほとんど打たれることがない。
■カナイマ国立公園
ベネズエラ、1994年、自然遺産(vii)(viii)(ix)(x)
ギアナ高地のテーブル・マウンテンで有名な世界遺産。コナン・ドイル著『ロスト・ワールド』のモデル。テーブル・マウンテンは100以上存在し、1,000~2,000m以上も切り立ったその上はそれぞれ環境が異なり、いまだ人跡未踏の山も数多いという。

■メイ渓谷自然保護区
セーシェル、1983年、自然遺産(vii)(viii)(ix)(x)
セーシェル諸島に位置するプララン島の自然保護区で、不思議な形をした巨大な実をつけるココ・デ・メールの原生林で知られている。手つかずの原生林には多種多様な動植物が暮しており、固有種も確認されている。

■ンゴロンゴロ保全地域
タンザニア、1979年、自然遺産(vii)(viii)(ix)(x)
高さ700mにもなる崖に囲まれた20km×15kmほどのクレーターの中には、ゾウやライオン、チーターをはじめ2~3万頭もの動物たちがおり、彼らはほとんどこの外に出ることなく生涯を終える。なかにはマサイの人々もおり、土地を守りながら自然と共に暮している。
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