世界遺産は大自然や歴史ある遺跡を保存するもの——世界遺産条約が発効した当初はこのような意識が根強かったが、次第に世界遺産はまだ100年と経っていない新しい建築物の普遍的価値も認めるようになり、現在もその登録数を伸ばしつつある。

今回は「文化的景観」「産業遺産」と並び新しい世界遺産として注目を集めている「20世紀建築」について解説しよう。最終ページに代表的な20世紀建築リストつき!

注目を集めた3つの価値分野

バウハウス、デッサウ校
ヴァルター・グロピウス設計のバウハウス、デッサウ校。最高のアーティストたちによる建築教育を行い、世界的なモダニズム建築の流れを築いた。
すでに文化的景観、産業遺産の記事で書いたとおり、1994年に宣言された「世界遺産一覧表における不均衡の是正及び代表性・信頼性の確保のためのグローバルストラテジー(The Global Strategy for a Balanced, Representative and Credible World Heritage List)」で、5つの分野の世界遺産が多すぎ、一方研究が進んでいる3分野の価値を持った物件を新しく見出し保護するよう促された。

■多すぎるとされた5分野の価値物件
・ヨーロッパの物件
・都市と信仰に関する物件
・キリスト教に関する物件
・先史時代と20世紀以外の物件
・優品としての建築物件

■新たに注目を求めた3分野の価値物件
・文化的景観
・産業遺産
・20世紀建築

多様な側面を持つ20世紀建築(20th century architecture)

シドニー・オペラハウス
ヨーン・ウッソン設計のシドニー・オペラハウス。1973年完成で2007年世界遺産登録。わずか34年で登録された最速の世界遺産。
20世紀建築とは文字通り20世紀(1991~2000年)に造られた建築物(人によっては19世紀末に建築されて20世紀に入って活用・注目されたものを含めるようだ)を示す。

すぐに一流アーティストの建築を最初に思い浮かべるが、ユネスコは美的価値を持つ建築物のみならず、人々の生活、仕事、技術などに大きな影響を与えた建築物もその価値を見出されるべきだという報告をしている。