世界遺産豆知識3 全登録基準を満たす遺産(3ページ目)

自然遺産登録基準４つすべてを満たす世界遺産

自然遺産の登録基準４つをすべて満たす世界遺産は以下の20件があげられる。

■バイカル湖
ロシア、1996年、自然遺産(vii)(viii)(ix)(x)
2,500万年以上前にできた世界最古の湖で、水深も1,620m超で世界一、淡水湖としては体積で世界一で、その透明度と固有種の数でも世界一と言われている。通常、湖は川の流れが変わったり堆積物が積もったりして数万年以内に干上がるものだが、この湖は奇跡的に独自の景観と生態系を維持している。

■カムチャツカ火山群
ロシア、1996年、2001年、自然遺産(vii)(viii)(ix)(x)
4,750mのクリュチェフスカヤ山を筆頭に、100以上の火山が群れるカムチャッカ半島。ツンドラ気候の極寒地帯にあって多くの氷河を形成する半面、活発な火山活動が間欠泉や火山ガスをあちこちから噴出させ、独特の景観を生み出している。

三江併流の保護地域に含まれる虎跳峡。流れている川は長江の支流のひとつ、金沙江。©牧哲雄

■雲南三江併流の保護地域群
中国、2003年、自然遺産(vii)(viii)(ix)(x)
アジアを支える長江、メコン川、サルウィン川の３つの大河が約170kmにわたって並行に流れる渓谷地帯。周囲に6,000m級の山々を従え、特に梅里雪山は聖山として崇められている。その美しい景観から、この地こそジェームス・ヒルトン著『失われた地平線』に描かれた理想郷＝シャングリラではないかと言われる。

■グヌン・ムル国立公園
マレーシア、2000年、自然遺産(vii)(viii)(ix)(x)
ボルネオにある世界遺産で、標高2,377mのムル山の山腹には広大な熱帯雨林が広がり、深い森を川が大きく蛇行しながら流れている。森の下にはいまだ全貌が明らかになっていない巨大な洞窟群が張り巡らされており、数多くの固有種がここに暮している。

■グレート・バリア・リーフ
オーストラリア、1981年、自然遺産(vii)(viii)(ix)(x)
全長は2,000kmを超え（日本の本州が1,300km）、島の数は1,000に達し、400種以上のサンゴと1,500種以上の魚類が生息するという、世界最大のサンゴ礁。地球温暖化によると思われるサンゴの白化現象が進むなど、そのデリケートな生態系から地球環境のバロメータとしても注目を集めている。

■タスマニア原生地域
オーストラリア、1982年、1989年、文化遺産(iii)(iv)(vi)、自然遺産(vii)(viii)(ix)(x)
オセアニアは早くから他の大陸と分離したため、カンガルーやコアラのように動物たちが独自の進化を遂げている。際立っているのがタスマニア島で、森林や草原、氷河による大渓谷など、多様な気候が多くの固有種を育んだ。また、１～２万年前に描かれたロック・アートは、文化遺産として高く評価されている。

■クイーンズランドの湿潤熱帯地域
オーストラリア、1988年、自然遺産(vii)(viii)(ix)(x)
１億3,000万年前にできた世界最古と言われる森。恐竜の絶滅が6,500万年前と言われるから、かつては恐竜たちもここで育ち、固有種も数多い。海岸沿いに約500kmにわたって伸びている森林で、海側はグレート・バリア・リーフに隣接している。

■西オーストラリアのシャーク湾
オーストラリア、1991年、自然遺産(vii)(viii)(ix)(x)
生命の祖先とも言われるストロマトライトがいまだ成長を続ける神秘の湾。ストロマトライトはシアノバクテリアが少しずつ少しずつ砂などを取り込んで成長する岩で、古いものはなんと35億年前に遡る。大気中の酸素はこの時代に作られたと言われる。クジラやジュゴンなど大型哺乳動物も多数暮らしている。

４つの国立公園からなるテ・ワヒポウナムの一部をなす標高3,754mのマウント・クック。マオリの人々はこの山々に神を見た。

■テ・ワヒポウナム－南西ニュージーランド
ニュージーランド、1990年、自然遺産(vii)(viii)(ix)(x)
海を裂くフィヨルドから一気に3,000mを超えてそびえ立つサザン・アルプス。海から山岳の氷河まで多様な生態系を有し、その厳しい自然のおかげで、大航海時代以降ほぼ消滅してしまったニュージーランド固有の自然が残されいてる。入山は厳しく管理されているが、その歩道は「世界一美しい散歩道」と言われる。