いろいろパターンが見られる世界遺産の名前。前回は物件名にもっとも頻繁に登場する「歴史地区」を解説した。今回は30以上の世界遺産の名前についている「旧市街」を紹介しよう。

範囲を登録する「旧市街」

ドブロヴニク
アドリア海の真珠ドブロヴニク。多くの人はこの外に広がる新市街に住んでいる。
「歴史地区」は60以上の世界遺産の物件名についていたが、30件以上の世界遺産についているのが「旧市街」の文字だ。

旧市街は建物を単独、あるいは複数で登録する文化遺産と違って、街のある一定範囲をごっそりコア・ゾーンとしている点が特徴だ。

たとえばクロアチアのドブロヴニク。海に飛び出した半島状の旧市街を約2kmの城壁が取り囲んでおり、この城壁内が世界遺産に登録されている。城壁内には民家や八百屋、公衆トイレなどもあり、普通に人々が暮らしている。

たとえばエルサレム。エルサレムの旧市街も1辺1kmほどの城壁に囲まれており、その中で約3万人が暮らしている。この中に岩のドームや嘆きの壁、聖墳墓教会などの有名な宗教施設があり、ホテルやレストランをはじめ、市場や土産物店もあったりする。

エルサレム
エルサレム旧市街の岩のドーム。このすぐ下に嘆きの壁がある。©牧哲雄
旧市街はこのように、城壁や大通り、海などで囲われている昔からの街並み一帯を登録する名称として使われている。