フランス語の逆さ言葉「Verlan」
フランス語の逆さ言葉「Verlan」
<目次>
フランス語に「逆さ言葉」ってあるの?
いわゆる業界用語というのでしょうか、一時期、日本でも耳にすることが多かった「逆さ言葉」。好き嫌いは別として、「ハワイ」のことを「ワイハ」、「ピザ」のことを「ザーピー」などとふざけて口にした経験はみなさんおありだと思います。ところをフランスに移してみても、このような「逆さ言葉」は存在します。フランス語で「逆さ言葉」は、Verlan(ヴェルラン)と言うのですが、この言葉自体がすでにl'envers (ランヴェール)( à l'enversで「さかさまに」の意味)という単語の「逆さ言葉」というありさまですからハンパではありません。
元はパリ郊外に住む若者たちの言葉として登場したVerlanですが、その後シャンソンや映画、最近ではラップミュージックもその普及に一役かっており、中には辞書に載るまでに市民権を得たもの、またVerlanで書かれた詩なんてものまであるのです。それでは、いくつか紹介してみましょう。
これは簡単! 覚えて使える「逆さフランス語」 基本編
Verlanの基本は、まずは単語を音節で切り、そのまま順序を入れ替えて使うというパターンです。例えば、jourbon, un féca, le tromé 。さてお分かりでしょうか?これらはVerlanの典型的な例ですが、カタカナで読むと「ジュールボン」、「フェカ」、「トロメ」。日本語でもそのまま逆さまにしただけで答えが見つかるはずです。正解は、もちろんbonjour (ボンジュール/おはよう・こんにちは)、un café (アン カフェ/カフェ)、le métro(ル メトロ/地下鉄)です。楽勝ですね。
「逆さフランス語」ってどうやってつくられるの?
すべてのVerlanが基本編のように単純なつくりであれば、なんとか元の単語を探し当てられないこともないのですが、Verlanは、フランス人にとって「耳に心地よい」、「発音しやすい」などの条件をクリアした言葉でなければなりません(日本人が「発音しやすい」ということと、イコールではないのが問題ですね)。そのため、その作られ方は簡単ではなく、元の単語にはない音が付け加えられたり、語末の母音字が省略されたりと、いろいろなパターンのVerlanがあります。綴り字が元の単語と変わってしまうと、簡単な単語でもわたしたちにはお手上げ状態になります。ちょっと難しい問題にチャレンジ! 「逆さフランス語」応用編
それでは、最初にune teuf (ユヌ トゥフ)という言葉をみてみましょう。フランス語で車のエンジンの「ブルンブルン」という音を teuf-teufと表現しますが、それとは全く関係がありませんよ。まずは、基本に忠実に単語を音節で切り、そして前後を入れ替えてみましょう。「フトゥ」???? わかりましたでしょうか?カタカナフランス語では何のことだかさっぱりわかりませんよね。
さて、正解は……
Une fête (ユヌ フェット)。祭日やパーティを意味する言葉です。語末の発音されないeが、前後の入れ替えの際にeuに変更された例です。
2番目の例も同じパターン。une meuf(ユヌ ムフ)とは、une femme(ユヌ ファム/女性)のこと。この表現は、辞書にも結構載っている有名なVerlanです。
まだまだあるぞ! 有名「逆さフランス語」
最後に、よく使われるVerlanをほんの少しご紹介しましょう。Verlan / フランス語(スタンダード)/ 日本語
les keufs / les flics / 警官
c'est ouf ! / c'est fou ! / そんなばかな !
Laisser béton / Laisser tomber / 落とす
zarbi / bizarre / 奇妙な
Zyva ! / Vas-y ! / さあ、やって!
とまあ、覚えて使うかどうかは別として、シャンソンを聞いたり、映画を見ていたりして、「こんなフランス語あったっけ?」と思った場合は「Verlan」を疑ってみましょう!
これで、字幕なしフランス映画もばっちり攻略⁉