ロックで飲めば超新星爆発のようなスモーキーな煌めき
前ページで気になる点を語ったが、麦芽乾燥時にピートを焚きしめて付着するフェノール値(『スモーキーモルトを楽しもう/スモーキー4の世界』記事参照)も蒸溜所によって異なる。それぞれの香味が重なり織り込められた香味にはいったいどんな特長があるのだろうか。ここからはテイスティングした、あくまで私感である。
まずストレートで飲むとユニーク、というイメージが先行する。
香りにシングルモルトのスモーキーさを求めている人には、優しい感覚に捉えられるかもしれない。穏やかな薫香といえるだろう。現行品の「碧Ao」にも感じられるパイナップルのようなフルーティーな香りがある。スモーキーモルトが主体であるのに、これはどうして生まれるものなのか。柑橘系の香りも感じられ、なんだか和の感覚もある。混和して生まれる不思議な世界である。
味わうと柔らかい甘みがしっかりと感じられとともにスモーキーな世界観が表出してくる。わたしは味わいのなかにボウモアのシェリー樽熟成モルトが潜んでいるような気がした。そして山崎モルトの感覚も見いだした。余韻にも心地よいスモーキーさがそよぐ。
ストレートではユニーク、という印象だったが、オン・ザ・ロックで味わうと、プレジャーはもちろん、アメージングな感覚に嬉しくなった。これがブレンドの魅力、不思議さなのだろう。おすすめの飲み方はロックである。
ロックにしてひと口含むと、超新星爆発のようなスモーキーな煌めきを覚えた。わたし自身、ガツンと目が覚めた。口中から鼻腔、そして脳天へ、スモーキーな星たちがスパークしていくのである。スモーキーファンにはたまらない歓びなのではなかろうか。
氷を入れるだけで、ストレートではガッチリとロックされていた香味が解き放たれる。氷がゆるゆると溶けていく時間経過での香味変化も楽しめる。
そしてパイナップル的なフルーティーさではなく、ストレートで感じた柑橘系の和の感覚は、ロックにして感じたのだが八朔(ハッサク)のようなニュアンスが立ってくる。これが実にいい。嫌味がない。そしてスモーキーさの余韻がとても長い。
長く語るのはよそう。読者の皆さんに先入観を与えるのは良くない。水割りにしてもスモーキーさだけでなくフルーティーな甘さが心地よい。
ピーティー(『ピートとは何か/スモーキーモルトを味わうために』記事参照)なスモーキーモルトばかりに目が向いてしまうが、「ジムビーム」のバニラ様の甘さだけではない芳ばしい独特のスパイシーさや、「アルバータ」のグレーンウイスキー的役割など、すべての香味特性が織り成すブレンドの妙味が「碧Ao<SMOKY PLEASURE>」にはある。
700ml・43%・¥5,000税別希望小売価格/数量限定品
Tasting Notes
色 明るい琥珀色
香り 柔らかな薫香につづいて、パイナップルやグレープフルーツのような爽やかなフルーティーさがつづく。バニラ様とウッディネスのアクセント
味わい 軽やかな飲み口。甘く柔らかく、複雑で充実したスモーキーな味わい
余韻 穏やかで心地よく繊細な燻製・煙・スモーキー
関連記事
「碧Ao」サントリーワールドウイスキー新発売ラフロイグセレクトカスク新発売
カネマラ/スモーキーなアイリッシュシングルモルト
スモーキーモルトを楽しもう/スモーキー4の世界
ピートとは何か/スモーキーモルトを味わうために