伝説的大麦優良品種ゴールデンプロミス

 
山崎蒸溜所ゴールデンプロミス

山崎蒸溜所ゴールデンプロミス

 新型コロナ禍、いまだ多くの地域が緊急事態宣言下にあり、酒場の営業ができない状況にある。新製品であっても料飲業界向けの限定品は極めて紹介しづらい。
 そんななか、いろいろと悩んだが、あえて、8月31日にバー業態を主体に発売された数量限定品を紹介しよう。
 それはサントリーの原酒つくり分けや実験的、挑戦的試みの一端を伝える限定品シリーズ、THE ESSENCE of SUNTORY WHISKY第5弾である。緊急事態宣言下にある地域の皆さんは、バーの営業再開を心待ちにしていらっしゃることだろう。再開されれば、是非お試しいただきたい。
 第5弾は「シングルモルトウイスキー山崎蒸溜所<ゴールデンプロミス>」と「シングルモルトウイスキー山崎蒸溜所<アイラピーテッドモルト>」である。今回はまず「山崎蒸溜所ゴールデンプロミス」(500ml・53%・¥8,000/税別希望小売価格)の味わいを評価してみたい。
 「山崎蒸溜所アイラピーテッドモルト」は次回にご紹介したい。


 まず、ゴールデンプロミスとは。モルトウイスキーの原料となる二条大麦の品種のひとつであり、スコッチウイスキーづくりにおいては1960年代から80年代にかけて大スター的存在であった。
 ゴールデンプロミスは救世主的な大麦として知られている。スコットランド産大麦は品質面で長らくイングランド産大麦に後塵を拝していた。これを打破するためにスコットランドの低温気象と風土での栽培に適応し、加えて最優良品種となるよう改良、開発されたものである。
 大麦は寒冷地でも栽培できるが、ウイスキーづくりで優良とされるのは、でんぷんが多く、アルコール収率の高い品種となる。このゴールデンプロミスの開発よってイングランド産を凌駕しただけでなく、スコットランドは大麦優良品種の一大生産地となり、さらには輸出までされるようになった。
 こうした歴史的背景に関しては、わたしが師と仰ぐ稲富孝一氏(元サントリーチーフブレンダーで「響」や「白州」などを生む)のバランタインホームページ『稲富博士のスコッチノート/第4章大麦』をご一読いただきたい。

 ウイスキーの原料となる二条大麦の最良品種を見ると、ふっくらとまるまると太っている。成分特長としては、でんぷんが多いことは大前提であり、しかも香味を損なうタンパク質や脂質が少ないものが求められている。
 そのため品種改良が活発にすすめられ、アルコール収率の高い新たな品種が次々と誕生してきている。現在、ゴールデンプロミスは伝説的品種となった。しかしながらこだわる蒸溜業者もいて、いまもゴールデンプロミスはスコットランドで受注による契約栽培がおこなわれているが、希少品種であることは確かだ。
 原料麦芽に、その伝説的品種のゴールデンプロミス種を使用したシングルモルトウイスキーが今回発売された「山崎蒸溜所ゴールデンプロミス」(ノンピーテッド)である。
 2009年に蒸溜されたもので、12年熟成。では次ページでその味わいについて述べてみたい。(次ページへつづく