ブレンデッドにはじまり、ブレンデッドに終わる

 
響JAPANESE HARMONY

響JAPANESE HARMONY

「ウイスキーはブレンデッドにはじまり、ブレンデッドに終わる」と言ったのは誰だったか。確か紀伊國屋書店創業者の田辺茂一(1905−1981)だったような気がする。なんせ1970年代の出版物に書かれたものを、わたしは1980年代に読んだ、という記憶があるだけだ。間違っているかもしれない。
ちなみに田辺は1950年代から70年代にかけて夜の銀座で最も名高い人だった。“夜の市長”とまで呼ばれていたそうだ。わたしが銀座の夜を知るようになったのは1980年代半ばで田辺はすでに他界していたのだが、酒場で彼の逸話を聞くことがままあり、その度に強烈な個性に驚かされた。

ブレンデッドにはじまり、ブレンデッドに終わる、とは名言だと思う。
いまの若い人たちのなかにはいきなりシングルモルトから入る人もいるだろう。でも世界で飲まれているウイスキーの90%がブレンデッドだから、日本でいえばやはり角ハイボールから入門という人が多いのではなかろうか。
はじまりと終わりの意味は、おそらくこういうことだろう。ブレンデッドでウイスキーに馴染み、それなりに味わいを知るとパンチの効いたシングルモルトへと嗜好は移っていく。そしていろいろと飲みこなしていくうちに最終的にはブレンデッドの柔らかさに戻っていく。わたしはこう解釈している。
年配者のなかにシングルモルトは少量でいいという人がいるのは、年齢を重ねていくと嗜好の変化、身体への負担などいろいろな要因があってのことながら、ブレンデッドが楽に長く愛せる味わいだとあらためて認識するからだ。
このサイトで何度も言っていることだが、シングルモルトは一杯の満足感である。モルト蒸溜所が生む強い個性をダイレクトに伝えてくる。パワーがある。
ブレンデッドウイスキーの良さは飲み飽きない美味しさであろう。多彩なモルト原酒の主張をグレーンウイスキーが巧く和らげて滑らかで飲みやすいタッチに仕上げたもの。ブレンダーの技の結晶でもある。
ただわたしがヤングだった1980年代まではスコッチのブレンデッドにはたくさんのブランドがあった。それが1990年代にブランド淘汰がつづいて、多くの名品が消えていった。古い飲み手にとっては淋しい限りである。
もし、という話はしたくはない。でも、いまの時代にあのいくつかのブレンデッドがあったら若い人にすすめたい、と思うことがしばしばある。
 

ジャパニーズハーモニーの香味を記憶しよう

 
麗しい日本のハーモニー

麗しい日本のハーモニー


かつて『角瓶とともにおすすめの美味しいウイスキー』という記事で、リーズナブルな価格のウイスキーを紹介した。スコッチでいえば「バランタインファイネスト」「ティーチャーズ」といったブレンデッドがいい。あの記事で紹介したブランドを試して、気に入ったものを自宅に常備しておくといいだろう。
そして、なんかいい日だったな、今夜はお祝いだ、といった日には是非とすすめたいボトルがある。
「響JAPANESE HARMONY」(700ml・43%・¥5,000税別希望小売価格)。「響」というブランドは世界が認めたジャパニーズブレンデッドの最高峰である。そしてこのおすすめボトルは、その名の通り麗しいハーモニーを奏でている。
エステリーと呼ばれる華やかな花のような香り、はちみつを想わせるしなやかな甘み、フィニッシュには繊細で穏やかな心地よさがあり、ミズナラ樽熟成モルトの独特の余韻が感じられる。
ホワイトオーク樽、シェリー樽、ミズナラ樽といった多彩な樽種で熟成したモルト原酒。そしてタイプの異なるグレーンウイスキーをブレンドした「響ジャパニーズハーモニー」は、芳醇な熟成感を抱きながらも清々しい透明感にあふれている。
わたしはいまこの麗しさを堪能することが多い。でも、あえて若い人たちにこういうプレミアムな酒質の高いブレンデッドウイスキーの香りや味わいを知って欲しいとも思う。入門ウイスキーとしてもふさわしい。そしてシングルモルトをはじめさまざまなブランドを満喫しながらも、今日はという日にはグラスを「響JAPANESE HARMONY」で満たそう。(『スーパープレミアムブレンデッドの魅力・私感2』へ)
 

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