アクティブ・ラーニングを用いた授業改革始動

アクティブ・ラーニング導入により授業のあり方が変わります

アクティブ・ラーニング導入により授業のあり方が変わります

これまで学校という場では、“教壇に立つ先生の講義を聞き、ノートに板書を書き写す”といった学習方法が主流でした。ところが、今後、こうした授業のあり方が、変わろうとしています。

文部科学省は、2017年の「新しい学習指導要領の考え方」(*1)にて、子供たちのニーズに合わせ、「多様な学習活動 を組み合わせて授業を組み立てていくことが重要」と発表しています。

そして、小学校では2020年度から、中学校では2021年度から、「主体的・対話的で深い学び」を促進する「アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善」を全面実施するとしています。

では、新しい授業のあり方とされる「アクティブ・ラーニング」とは、どういったものなのでしょうか。

 

アクティブ・ラーニングとは?

アクティブ・ラーニングとは、生徒が「能動的」に取り組む学習をいいます。先生が話したり書いたりした内容を、受け身的にノートに書き写すのみではなく、生徒自身の頭と心が活発に働き、学習過程に夢中となって取り組む学習のあり方です。

アクティブ・ラーニングの具体的な方法としては、ディスカッション、プレゼンテーション、ディベート、問題発見と解決、体験学習、他者への教授、ゲームなどがあります。

例えば、国語では随筆の内容についてグループで話し合い皆の前で発表する、社会科では実際に社会に存在する問題を追究し解決する活動、理科では観察・実験を通じ課題を探究する、また、算数や数学では解法を他の生徒に教えるといった試みができます。

アクティブ・ラーニングでは、教師が主体ではなく生徒が主体となります。生徒は、学習に取り組みつつ、自分が何をしているのか、そして、その活動にどんな意味や目的があるのかを考えることで、より高度な「考える力」を培うことができます。
アクティブ・ラーニングは、より高度な「考える力」を培います

アクティブ・ラーニングは、より高度な「考える力」を培います

 

アクティブ・ラーニングの効果

様々な研究が、生徒が「アクティブ(活発)」に「ラーニング(学習)」する方が、「主体的・対話的で深い学び」をもたらすと示しています。

例えば、教育学者スコット・フリーマン氏が、伝統的な学習とアクティブ・ラーニングを比較した225の研究を分析したところ、アクティブラーニングによって生徒の理解度や学習に対する姿勢が著しく改善されたと報告しています。(*2)また、「米国大統領評議会科学技術政策局 」による調査でも、アクティブ・ラーニングといった学習方法の改善により、生徒のパフォーマンスが著しく高まると発表されています。(*3)

また、日本でも、2018年に文部科学省によって開催された「教科等の本質的な学びを踏まえたアクティブ・ラーニングの視点からの学習・指導方法の改善のための実践研究」発表会において、京都市教育委員会をはじめ、10以上の公教育機関によるアクティブラーニングの実践結果が報告され、その効果と、ますますの展開が話し合われています。(*4)

こうして、アクティブ・ラーニングの効果は、世界中で認められています。

 

アクティブ・ラーニングが必要とされる背景

世界中で起こっている「伝統的な学習方法からアクティブ・ラーニングへの移行」には、時代の変化が大きく関わっています。今後、これまで人間が取り組んできた様々な仕事も、人工知能に取って代わられるだろうという予測もあります。(*5)

そうした中、人工知能にはない「人間の強み」とは何か、そして、そうした「強み」を伸ばすためには、どんな学習が必要かといったことが、世界中で議論され続けています。

日本の文部科学省は、人工知能がどれほど進化したとしても、それは「与えられた目的の中での処理」であるとします。一方、人間の強みとは、「場面や状況を理解して自ら目的を設定し、その目的に応じて必要 な情報を見いだし、情報を基に深く理解して自分の考えをまとめ たり、相手にふさわしい表現を工夫したり、答えのない課題に対 して、多様な他者と協働しながら目的に応じた納得解を見いだし たりすること」としています。

つまり、人間の強みとは、「与えられたことに従うだけでなく、自ら作り出すことのできる力」といえるかもしれません。

アクティブ・ラーニングの普及には、こうした「人間の強み」を、子ども時代から最大限に伸ばしていこうという期待が込められています。

 

家庭でできるサポート3つ

世界的に広がる教育改革の中、親として何ができるかを、3点整理してみましょう。

1.「疑問形」を取り入れた会話を意識する
例えば、「仲良くしなさい!」といった指示や命令より、「どうしたら仲良く遊べるかな?」と聞いてみます。親の言うことに従わせるだけでなく、子ども自ら考え、主体的に行動できるよう導くことも、家庭でできるサポートのひとつです。

2.物事の計画段階から関わるよう導く
例えば、宿題についても、「何が必要か?」「いつするか」といった計画段階から一緒に話し合ってみます。そして、「プロジェクトに必要な両面テープはいつ買いにいこうか?」「宿題はいつするって決めたんだっけ?」など、疑問形を用いて計画遂行を助けてあげましょう。

3.選択肢や決定権を与える
親が全て決めてしまうよりも、「テレビの後に勉強する?それとも勉強してからテレビをみる?」など、日常の端々に、子どもが決定できる機会を与えてあげましょう。
アクティブ・ラーニング

  子どもがより主体的に物事に向き合えるよう導いていきましょう。


子どもは、「させられている」と感じるよりも、「自分がしている」と感じるほど、より能動的に物事に向き合い、「やる気」も高まります。

世界中を席巻するアクティブ・ラーニングを取り入れた教育改革を見守りつつ、是非、家庭でも、サポートをしていきたいですね。
 
 

参考資料

(*1)文部科学省 (2017) 「新しい学習指導要領の考え方 -中央教育審議会における議論から改訂そして実施へ-」
(*2)Freeman, S. et al. (2014). Active learning increases student performance in science, engineering, and mathematics. Proceedings of the National Academy of Scientists, 111(23), 8410–8415.
(*3) President's Council of Advisors on Science and Technology. (2012). ’Engage to excel: Producing on million additional college graduates with degrees in science, technology, engineering, and mathematics. ’
(*4)文部科学省 (2018) 「教科等の本質的な学びを踏まえたアクティブ・ラーニングの視点からの学習・指導方法の改善のための実践研究」研究発表 in「アクティブ・ラーニング&カリキュラム・マネジメントサミット2018」
(*5) Carl Benedikt Frey† and Michael A. Osborne (2013)‘THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?’
 

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