子供の教育/読み書き力

漢字が覚えられない、苦手な子どもにも効果的な勉強法

漢字が覚えられない小学生の子供などにおすすめの漢字の覚え方はあるのでしょうか? 国語や漢字テストの効果が上がる漢字の覚え方と正しい練習の教え方コツを紹介します。どうしても漢字を覚えられないという苦手意識を持つ小学生などの子どもが、読み書きを効率よく記憶する勉強法を解説!

西村 創

執筆者:西村 創

学習塾・個別指導塾ガイド

漢字が覚えられない……正しい勉強法は?

漢字が書けない!読めない!苦手な小学生の漢字力をあげるには?

漢字が書けない!読めない!と漢字に苦手意識を抱える子供には、無機質な「単語」を文章にしてあげることで、実生活とつながりのある「意味のある言葉」になり、記憶に残りやすくなります。

漢字の覚え方は「何回も紙に書いて覚えるもの」だと思っていませんか? この何回も書いて覚えるという漢字の練習方法ができず、結果、漢字が書けない、読めない……と苦手意識を感じる子どもは少なくないでしょう。しかし、漢字は何回も紙に書いて練習する方法よりも、効率の良い勉強法があります。本当に正しい漢字の覚え方と練習方法とは?
   

国語のテスト成績を上げるにはまず「漢字」から

国語の成績を上げるにはまず「漢字」の勉強から始めるのがポイントです。漢字は国語のテストに必ず出るうえに、100点満点中のだいたい20点程度の配点です。漢字で点数を取れるようになると国語で安定して高得点を取りやすくなります。

しかも漢字は勉強にかけた時間がテストの結果に表れやすい「得点アップ効率」の高い分野です。筋トレをするときには大きな筋肉からトレーニングすると体に変化が出やすく長続きするようです。国語においてまっさきに鍛えるとよいのが「漢字」なのです。

ところが漢字に苦手意識を持つ子どもほど、漢字の勉強をおろそかにしがちです。でもそれは自分に合った覚え方や練習方法ができていないからです。漢字は何回も紙に書いて覚えて練習するものだという「思い込み」を持っている人が多いようです。これが子どもを漢字嫌いにさせる原因になっています。漢字を覚えるためにひたすら紙に何回も書いて練習するのは、「ウサギ跳び」トレーニングのようなもので、今はあまりオススメできない勉強法です。

 

漢字の「読み方」から苦手を克服する

漢字が読めない、書けないと苦手意識を持つ子供が、それを克服するにはどうするか。まずは小学校低学年の配当漢字の「読み方」からスタートです。漢字が苦手でも、「読み方」ならできる難しくないものも結構あるはずです。しかも「書き方」と違って気軽に取りかかれます。

ポイントは「練習」するのではなく、「チェック」するだけだということです。漢字テスト帳などを使って、読める漢字にはマル、読めない漢字はバツをつけていきます。当該学年までチェックしていきましょう。

チェックが終わったら、数日おいて今度はバツがついた漢字だけをまた読めるかチェックしましょう。1回目のチェックをしたときに「正しい読み方」を確認しているので、読めるようになっている漢字が増えているはずです。読めない漢字には2つめのバツをつけていきましょう。
 

漢字を覚えられない子に教えるコツは、漢字の「意味」を解説

2つのバツがついた読めない漢字は子どもにとってなじみのない言葉、意味がよくわかっていない言葉であるはずです。ただ、ここで自分で辞書で意味調べをさせても上手くいきません。

例えば「客観」という言葉を子供が辞書で調べても、きっと書かれている説明を理解できないでしょう。そこでまず親が子どもにその読めない漢字の言葉の意味を分かりやすい言葉で教えてあげましょう。教えた後に、その言葉を使って例文を作らせるのがポイントです。無機質な「単語」を文章にすることで、実生活とつながりのある「意味のある言葉」になり、記憶に残りやすくなります。
 

読めない漢字の確認を繰り返す

読めない漢字の確認を繰り返し行おう

読めない漢字の確認を繰り返し行おう

読めない漢字の意味を理解できたら、再度、バツが2つついた漢字だけを読めるようになったかをチェックをします。今までと同じように、正確に読めなかった漢字にバツをつけます。この段階になる頃には読めない漢字がずいぶん減っているはずです。

後は、また数日後にバツが3つついた漢字を読めるか確認、読めなかったらバツをつけて……というように繰り返していくだけです。
 

攻略ポイントは「部首」にあり! 漢字を書いて記憶を定着

漢字の「書き方」は「部首」に注目です。漢字の部首にはそれぞれ意味があります。漢字が書けない子供が練習して覚える前に、部首の意味を知ると、漢字が「記号」ではなく「意味のあるまとまり」になって記憶に残りやすくなります。

漢字の部首の意味を確認したら、学年の配当漢字に縛られずに、同じ部首の漢字をまとめてみましょう。例えば「さんずい」の漢字シリーズ、「にくづき」の漢字シリーズというようにグループ分けをします。

記憶というのは他の事項との関連、結びつきが強いほど強固になります。まとまりのないバラバラの漢字を順番に関係なくひたすら紙に書いて練習するのは効率の悪い勉強法です。漢字を紙に書いて練習するのは最終手段です。

グループ分けをしたあとに、先ほどの漢字の「読み方」と同じように、漢字テスト帳で「書き方」の確認をしていきましょう。同じようにマルバツをつけることを3回くらい繰り返してください。3回書けなかったら始めて紙に書いて練習するのです。

ところで子どもが間違えやすい漢字はたいてい決まっています。「子どもが間違えやすい漢字ワースト3」を参考にしてみてください。間違えやすい漢字をあらかじめ知っておけば、漢字の問題でミスをする確率が大幅に下がります。
 

小学生の漢字勉強のコツ

小学生の漢字勉強のコツは、低学年は「楽しさ」重視、中高学年は「小分けに勉強」することです。

自制心の育っていない小学生低学年は、楽しくないと勉強しません。そこで、漢字の学習マンガや、タブレットの通信教材を使って取り組んだり、テロップ入りのYouTube動画を見たりするのも、じつは立派な漢字の勉強になります。

「今から漢字の勉強をしましょう」というように、「いかにも勉強」というスタンスで漢字を学ぶのではなく、漢字の勉強を日常に組み込んで、日々漢字に触れる機会を作りましょう。

中高学年、特に中学受験をめざす子は、相当量の漢字を学ぶ必要があります。ただ、そうは言っても、まとめて覚えた漢字はまとめて忘れます。

そこで、1日のなかで漢字を勉強する時間を30分などと決めて、その決めた時間だけ勉強する習慣化をおすすめします。時間制限があることで集中して取り組めます。決めた漢字学習時間のうち、最初の5分は前日勉強した漢字を復習することで、学んだ漢字がより定着しやすくなります。
 

中学生の漢字勉強のコツ

中学生の漢字勉強のコツは、学校の定期テスト、通塾している人は塾の漢字テストに合わせて漢字を勉強していくことです。高校入試の国語では多くの学校が漢字を出題し、10点から20点くらいの高配点です。漢字は安定した得点になる見返りの大きい勉強ですので、取り組む価値大です。

小学生の場合、漢字は書きよりも、読みを優先して勉強することをおすすめしていますが、中学生は、読み書き並行して勉強することをおすすめします。

というのも、公立高校の入試では、漢字の書きは小学生範囲の漢字からしか出題されないからです。漢字の書きは、意外と取り組みのハードルが低いのです。読みは中学生範囲の漢字からも出題されるものの、書けなくても入試に出されません。読めれば書けなくても問題ありません。

ただし、独自に入試を作成している公立高校、たとえば都立高校のトップ、日比谷高校の2021年入試では「有象無象」「寒心」など、小学生で習う漢字ではあるものの、言葉としては難度の高い出題がありますし、私立の難関校では中学生範囲の漢字の書きも出題されます。漢字の読み書きだけでなく、意味も辞書で調べて理解しましょう。読解力向上にもつながって一石二鳥ですよ。
 

高校生の漢字勉強のコツ

高校生の漢字勉強のコツは、漢字としてではなく、語いとして学ぶことです。なぜなら、大学入試における漢字の配点は高くないからです。漢字を漢字の勉強として取り組むのはコスパが悪いのです。

漢字を語いとして学ぶとはどういうことでしょうか?

たとえば「具体」「具象」「捨象」「抽象」、これらは漢字としては小学生学習範囲です。でも「具体」「具象」が「捨象」を経て「抽象」に至る流れを説明できる高校生は多くはいません。でも、大学入試の現代文読解では求められる基本レベルです。

「演繹」「帰納」なども、高校生にとってはむずかしくない漢字ではあるものの、意味を説明するのは、むずかしいですよね。このように、読み書きするうえでの漢字はむずかしくなくても、意味を説明するがむずかしい漢字の意味を理解していきましょう。

長文読解の基本は語い力にあります。漢字を語いとして学ぶことで、読解力を高めるのが高校生の漢字勉強のコツです。

さて、いかがでしたでしょうか。漢字は効率よく勉強すれば誰もができるようになります。紙に何回も書いて練習するような「苦行」をする前に、「おおざっぱに覚えること」を繰り返してみてください。漢字が書けない!読めないと苦手意識を持ち、練習を面倒くさがる子でも漢字が得意になる覚え方ですよ。
 

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