子供の教育/アクティブラーニング・PISA型学力

子供の創造性を高める教育方法とは?7つの工夫

不透明な世界を生きるためには、「創造的に考えられる」ことが大きな強みとなります。この記事では、創造性の大切さ、そして、子供たちの創造力を育む教育方法を7つご紹介いたします。問題にぶつかっても、突破していけるような子に育てましょう。

長岡 真意子

執筆者:長岡 真意子

子育てガイド

<目次>

子供の創造性を育む教育での工夫とは

子供の創造性を高める教育方法とは…7つの工夫

「創造的に考えられる」ことは大きな強み

問題を前に、ひとつの解決策がうまくいかないと、すぐに途方に暮れ諦めてしまう子がいます。一方、「これがだめなら、あれはどうかな?」と、様々なアイデアを試し解決しようとする子もいます。こうした「創造的に発想できる子」は、問題にぶつかっても、周りが思いつかなかったような方法を考え出し、突破していきます。

今後、世界はますます複雑となり、先が読めない不透明な時代になると言われています。既成の方法では越えられない壁が、子供たちの前に立ちはだかることもあるでしょう。未来の世界を生きる子供たちにとって、「創造的に考えられる」ことは、大きな「強み」となります。

例えば、世界で活躍する190の企業を調査したところ、「創造性」こそがそれらの企業の成長の土台となっていたという報告もあります。また、米国特許取得数が23年間1位であり続けるIBM社も、未来のリーダーに最も必要とされる資質として、「創造性」をあげています。

これからの社会を生き抜くために不可欠な「創造性」。ところが、1990年代以降、子供たちの創造性は低下の一途という調査結果も出ています。なぜでしょう?

ひとつには、日常生活の中で、子供本人が自主的に自由に取り組むアクティビティーが減っているためとされています。現代の子供たちは、決められた方法で決められた課題をこなすことに、多くの時間を費やしているといいます。
 

現状の学校教育では創造性が育ちにくい?

心理学者によるこんな研究があります。学校の先生に、担当するクラスでの「好ましい生徒」と「好ましくない生徒」のリストを作ってもらいます。そして、生徒ひとりひとりの「創造性の高さ」と照らし合わせたところ、先生が「好ましい」とする生徒ほど創造性が低く、先生が「好ましくない」とする生徒ほど創造性が高かったといいます。

つまり、クラスという集団をまとめ、決まったことを期限内に一斉に終わらせる必要のある先生にとって、時に独自の方法やペースで物事に取り組もうとする「創造的な子」というのは、「好ましくないやっかいな存在」に映りがちだということです。米国では、創造的な子が適した学習環境に恵まれない場合、学校をドロップアウトする率が50%以上はね上がるとも報告されています。

創造性を育む方向へと学校教育のあり方が軌道修正されることを願いつつ、では、「待ったなし」で成長する子供たちのために、今、何ができるでしょうか?
 

子供の創造力を育むためにできる7つの工夫

自由な遊びに没頭できる時間と場を確保しましょう。

自由な遊びに没頭できる時間と場を確保しましょう。

1.自由に遊ぶ時間を確保する
心理学者が、高い創造性(上位5%)を持つ子供の家庭と、そうでない子供の家庭を比較したところ、興味深いことが分かっています。創造性がそれほど高くない子の家庭には、「○○時に○○をする」といったルールが、平均して「6つ以上」あったそうです。一方、高度に創造的な子供の家庭には、平均して「1つ以下」のルールしかみられなかったといいます。

ルールや指図やスケジュールに従うことから解放され、子ども自身が自主的に、自由に物事に没頭できる時間を、確保してやりましょう。自主的に探索し考え試しと繰り返すことで、創造性は培われます。取り組みに夢中になっているときは、横から口を挟むことを控え、親自身も、「つかの間のひとりの時を楽しむ」ぐらいの気持ちでいましょう。

2.先回りして失敗を防がない
周りが思いつかないような創造的なアイデアを試すことには、「失敗」がつきものです。そのため、失敗を恐れ過ぎる子は、創造的にはなりにくいとされています。親が先回りして失敗を防いでしまっては、「いつもうまくいかなくてはだめ」と、失敗を恐れる気持ちがますます強くなってしまいます。失敗を防ぐのではなく、失敗から立ち上がり解決しようとする姿勢をサポートしてやりましょう。

もし子供が失敗して落ち込んでいたら、「今度はどうしたらできるようにかな?」「どこを工夫したらいいんだろう?」と声をかけてやります。失敗は、創造性を育むチャンスと捉えましょう。

3.褒め方に気をつける
「上手に絵が描けたわね!」
→「たくさん違った色を使って描いたのね!」
「難しい問題が解けて賢いね!」
→「途中で諦めないで最後まで取り組めて偉かったね!」など、
成果ではなく、具体的な工夫や取り組む姿勢を褒めてやりましょう。「上手さ」や「賢さ」といった評価ではなく、創造的に取り組むことに興味や情熱を向けられるような言葉をかけてやります。

4.一時汚れることに目をつぶる
子供が創造的に物事に没頭する時というのは、散らかり汚れるものです。線路をつなげて床中に広げたり、玩具箱の中身を全部ぶちまけたり、洋服に絵の具のしみをつけることもあるでしょう。それでも、散らかり汚れて落ち着かないのも一時のこと。散らかしてもいい空間や、汚れてもいい服を用意しましょう。子供たちの気が済んだら、タイマーをかけて片付け競走するなど、整理整頓する方法も創造的に工夫してみましょう。

5.用途に広がりのある玩具を与える
使い方がひとつだけと決まっている玩具よりも、ブロックや工作グッズなど、子供自らが工夫して創造することのできる玩具や道具を与えましょう。創造性が育つだけなく、すぐに飽きてしまわず、より長く活用することもできますね。

6.答えを教えるより子供のアイデアを聴く
「あの木の枝は細いから登らないおこうね」
→「見てあの木の枝!登ったらどうなるだろう?」
「お友達の○○ちゃんへの誕生日プレゼントは絵本にしようね」
→「○○ちゃん何もらったら喜ぶかな?」など、
答えを与えるよりも、子ども自身に考えさせましょう

そして、子供が示すアイデアを聴いてやりましょう。「それは違う」「それは無理」と思ったとしても、頭ごなしには否定せず、「そいういう考え方もできるね」「面白いアイデアね」と、子供が様々な考えを示すことを励ましてやりましょう。

7.創造性を示す
親が創造的な活動を楽しむ様子をみることで、子供も創造的な姿勢を学びます。絵、ダンス、料理、楽器、歌、クラフト、ガーデニングなど、親自身が夢中になる姿を見せてやりましょう。また、日常生活でも問題にぶつかるたびに、様々なアイデアを試し解決しようとする姿を、示してやりましょう。

創造性を培うための工夫を、創造的に考え実践していきたいですね。

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