文部科学省が管轄する国立教育政策研究所の「親の所得・家庭環境と子どもの学力の関係」レポート(2018年3月)によると、親の所得や学歴と子どもの学力との相関が認められるという結果が出ています。また学歴については子どもと接する時間が長い母親の影響が強いという……。
本当の意味での親の「学歴」、つまり「学習の歴史」が、子どもの学力に影響します。

本当の意味での親の「学歴」、つまり「学習の歴史」が、子どもの学力に影響します。

父親、母親、それぞれの学歴を High、Medium、Low に振り分けて、テストスコアの差を示したものである。これをみると、学年、教科問わず、母親の High-low Gap が父親よりも高い傾向にある。一般的に、父親よりも母親の方が子どもとの接触頻度が高く、教育達成への影響もより強く受けている可能性が考えられる。

        国立教育政策研究所「親の所得・家庭環境と子どもの学力の関係」

はたして、その結果はどれくらい実態に合っているのでしょうか。親、中でも一般的に子どもといる時間が長い母親の学歴が子どもの学力へ与える影響はどうなのでしょう?
 

1.高学歴の親が子どもの学力へ与える影響は限定的

親の所得が子どもの学力に影響するというのは、周知の事実です。経済力がある家庭ほど、子どもに質の高い学習機会を提供できるからです。

では親の、特に子どもと接する時間が一般的に父親より長い母親の学歴は、子どもの学力にどれくらい影響するのでしょうか。進学塾で約25年指導している経験から言うと、高卒か大卒、あるいはどこの大学出身かという、いわゆる学歴は、メディアで報じられているほどの影響はないように思われます。

確かに、国立教育政策研究所の「親の所得・家庭環境と子どもの学力の関係」レポートにもあるように、高学歴の親ほど子どもにも高学歴を求め、教育への選好が高く、遺伝的にも潜在的な能力を引き継がせる可能性が高いのでしょう。

しかし、それよりも、本当の意味での親の「学歴」、つまり「学習の歴史」が、子どもの学力に影響するという印象が進学塾の現場では見受けられます
 

2.学歴よりも、「学習の歴史」が影響する

親の「学習の歴史」が、子どもの学力に影響するというのは、どういうことでしょうか。これは、親自身が、勉強によって「わかった!」「なるほど、そういうことか!」「もっと知りたくなってきた!」というような、知的な喜びを勉強によって経験した歴史があるかどうかということです。

そのように、勉強本来の意義を見出した経験を持つ母親は、子どもに勉強を強制しません。どうすればわが子が勉強に関心を持つか、子どもの特性を踏まえて色々工夫して働きかけます。

一方、学生時代、勉強することに意義を見出せなかった親は子どもに、「いま大変な思いをして勉強したぶん、将来楽になれるんだよ」というような、勉強を「苦行」だと子どもに捉えられかねない発言をする傾向にあります。塾の保護者面談なども「うちの子は宿題がないと勉強しないので、たくさん宿題を出してください」などと講師に頼みがちです。

おもしろがって勉強する子どもと、仕方なく勉強する子ども。結果として学力に相応の差が出てくるのは、うなずけるのではないでしょうか。
 

親は勉強のおもしろさを味わえる働きかけを

学力には様々な要因が複合的に影響しますし、固定的なものでもありません。幼少期の子どもは親の影響が大きいですが、年齢とともに学校や塾の先生、周囲の友人の影響の方が大きくなる傾向にあります。教育に絶対的なものはないので、「うちの子は○○だから○○だ」などと決めつけず、広い視野で様々な方向からわが子を見てあげられるといいですね。

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