子供が持てる力を発揮しこれからの世界を生き生きと駆け抜けていくためには、一体何が必要だと思いますか? 才能でしょうか、知能指数でしょうか、身体的強靭さ? それとも社会的知性? 昨今、欧米の教育界で注目を浴びているその答えが、「やりぬく力(グリット)」です。

力を発揮する人々に共通して見られる「やりぬく力 (グリット)」

心理学者のアンジェラ・ダックワース氏率いる研究チームによると、公立中学校の生徒、陸軍士官学校の学生、スペリング競技会参加者、難関大学の学生、貧困地域の学校教師、企業のセールスマンなど様々な場で成果を出しトップで活躍する子供や大人を調査したところ、共通して見られたのが、「やりぬく力」だったと言います。そして驚くことに、才能や知能指数の高さとは、しばしばこの「やりぬく力」とは反比例していたと言うのです。(*)

想像してみてください、才能溢れ、頭が良く、体格や運動神経にも優れ、周りにも気配りができるといった子供や大人を。それでもそうした人々に、もし課題や仕事を「やりぬく力」が備わっていないとしたら、成果を積み上げることは難しいですよね。またそうした人々の中には、才能に恵まれることで、「やればできる」と努力を怠ったり、「すんなりできて当たり前」と少しうまくいかないことは途中で投げ出してしまうといったケースも見られるかもしれません。逆に、才能や資質にぱっと目を引くものがなかったとしても、何度失敗しても粘り強く取り組む「やりぬく力」があるならば、結局は成果を積み重ね、学校でも社会でも活躍できるとは言えないでしょうか。周りを見ても、そうした事例に覚えがありませんか?

「グリット(grit)」とは、ダックワース氏曰く「ゴールに向けパッションと忍耐とスタミナを持ち続け、短距離走ではなくマラソンを走るように」物事に向き合う力とのこと。では「不屈の精神」や「根性」とも訳される、この「やりぬく力(グリット)」とは、どのように培っていくことができるでしょうか?

「やりぬく力(グリット)」を育む6つのヒント

やり抜く力を育む

「やりぬく力」は働きかけによって育むことができます

「やりぬく力」は、次の1から6のような働きかけによって、育むことができます。

1. すぐに手伝わない

子供が何かに取り組み困っているようでも、すぐに横から解決してやらないことです。身に危険がないようでしたら、しばらく自分で試行錯誤する様子を見守ってやりましょう。例えば、ジュースをこぼしてしまったならば、すぐに拭いてやるのではなく、「どうしたらいいかな?」と聞き、自分で片付けさせることもできます。学習面で分からない問題があったとしても、すぐに答えを教えてしまうのは控え、「そのやり方はあってるかな?」「ママに説明してみて」など、その子自身で答えにたどり着くためのヒントを示してやります。また何かを欲しがる場合でも、すぐに差し出すのではなく、「ミルクが欲しいのね、冷蔵庫に取りにいけるかな?」など、少しチャレンジを与えてみましょう。子供は、目の前の困難を前に、自分自身で考え工夫することで、「やりぬく力」を身につけていきます。

2.達成する喜び体験を積み重ねる
見て見て!こんなに速く走れた!あんなに高く飛べた!そう目を輝かせる子供達。こうした「できた!」という喜び体験こそが、「やりぬく力」を支えます。平均台の端から端まで歩けた! ジャングルジムのてっぺんまで登れた! 何でもいいのです、この難しい壁を越えれば、その先に「あの喜び」がある、困難の最中にもそう思い出し、よしっ頑張ろうと歩き続けていけるように、たくさんの「できた!」体験を積み重ねていきましょう。

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