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やり抜く力(グリット)を育む6つの子育て方法

子供が持てる力を発揮するためには何が必要でしょうか?欧米の教育界で注目されるのが「やりぬく力(グリット)」です。 いくら才能に恵まれていたとしても、すぐに心が折れてしまうようでは力を発揮できません。その力を育む6つの子育て方法をご紹介します。

長岡 真意子

執筆者:長岡 真意子

子育てガイド

「やりぬく力」を育む6つの子育て方法

「やりぬく力」を育む6つの子育て方法

子供が持てる力を発揮しこれからの世界を生き生きと駆け抜けていくためには、一体何が必要だと思いますか? 才能でしょうか、知能指数でしょうか、身体的強靭さ? それとも社会的知性? 昨今、欧米の教育界で注目を浴びているその答えが、「やりぬく力(グリット)」です。

 
<目次>
   

「やりぬく力(グリット)」とは?力を発揮する人々に見られる力

心理学者のアンジェラ・ダックワース氏率いる研究チームによると、公立中学校の生徒、陸軍士官学校の学生、スペリング競技会参加者、難関大学の学生、貧困地域の学校教師、企業のセールスマンなど様々な場で成果を出しトップで活躍する子供や大人を調査したところ、共通して見られたのが、「やりぬく力」だったと言います。そして驚くことに、才能や知能指数の高さとは、しばしばこの「やりぬく力」とは反比例していたと言うのです。(*)

想像してみてください、才能溢れ、頭が良く、体格や運動神経にも優れ、周りにも気配りができるといった子供や大人を。それでもそうした人々に、もし課題や仕事を「やりぬく力」が備わっていないとしたら、成果を積み上げることは難しいですよね。またそうした人々の中には、才能に恵まれることで、「やればできる」と努力を怠ったり、「すんなりできて当たり前」と少しうまくいかないことは途中で投げ出してしまうといったケースも見られるかもしれません。

逆に、才能や資質にぱっと目を引くものがなかったとしても、何度失敗しても粘り強く取り組む「やりぬく力」があるならば、結局は成果を積み重ね、学校でも社会でも活躍できるとは言えないでしょうか。周りを見ても、そうした事例に覚えがありませんか?

「グリット(grit)」とは、ダックワース氏曰く「ゴールに向けパッションと忍耐とスタミナを持ち続け、短距離走ではなくマラソンを走るように」物事に向き合う力とのこと。では「不屈の精神」や「根性」とも訳される、この「やりぬく力(グリット)」とは、どのように培っていくことができるでしょうか?
 

「やりぬく力(グリット)」を育む6つの子育て方法

「やりぬく力」は働きかけによって育むことができます

「やりぬく力」は働きかけによって育むことができます

「やりぬく力」は、次の1から6のような働きかけによって、育むことができます。

1. すぐに手伝わない
子供が何かに取り組み困っているようでも、すぐに横から解決してやらないことです。身に危険がないようでしたら、しばらく自分で試行錯誤する様子を見守ってやりましょう。例えば、ジュースをこぼしてしまったならば、すぐに拭いてやるのではなく、「どうしたらいいかな?」と聞き、自分で片付けさせることもできます。学習面で分からない問題があったとしても、すぐに答えを教えてしまうのは控え、「そのやり方はあってるかな?」「ママに説明してみて」など、その子自身で答えにたどり着くためのヒントを示してやります。

また何かを欲しがる場合でも、すぐに差し出すのではなく、「ミルクが欲しいのね、冷蔵庫に取りにいけるかな?」など、少しチャレンジを与えてみましょう。子供は、目の前の困難を前に、自分自身で考え工夫することで、「やりぬく力」を身につけていきます。

2.達成する喜び体験を積み重ねる
見て見て!こんなに速く走れた!あんなに高く飛べた!そう目を輝かせる子供達。こうした「できた!」という喜び体験こそが、「やりぬく力」を支えます。平均台の端から端まで歩けた! ジャングルジムのてっぺんまで登れた! 何でもいいのです、この難しい壁を越えれば、その先に「あの喜び」がある、困難の最中にもそう思い出し、よしっ頑張ろうと歩き続けていけるように、たくさんの「できた!」体験を積み重ねていきましょう。

3. 結果や評価ではなく努力を褒める
褒めることで子供は伸びていきます。それでも褒め方には少し気をつけ、「努力」を褒めるよう心がけます。例えば、「テスト満点だった!」には、「うわあ、賢いわね!」より、「一生懸命勉強して偉かったね!」と褒める。「ピアノコンテスト入賞した!」には、「すごい!あなた音楽の才能あるわ」より、「毎日練習続けたの本当にすごいと思う!」と褒めてみます。

「努力」より「賢さ」や「才能」を褒められることで、評価を損なうことを恐れ、うまくいかなくなると途中でやめてしまったり、難しいことに挑戦するのを避けるようになってしまうこともあります。「努力」という「頑張っている状態」を褒めることで、その子はより難しい課題にも生き生きとチャレンジし、粘り強く最後までやり通すようになります。

4. 能力とは筋力のようなものだと教える
賢さや何かができるといった能力は、少しずつ重いダンベルを持つ内に鍛えられる「筋力」のようなものだと教えます。難しい課題にウンウンと唸りながら取り組むほど、脳が鍛えられ、より難しい問題を解くことができるようになるのよと話してみてください。脳のこうした機能を科学的に説明することで、子供達のやる気がより高まり、粘り強く課題に向き合うようになったと示すスタンフォード大学教授キャロル・ドウェック博士の研究もあります。難しいと感じる時期こそ、力をつけるためのチャンス、そう励ましていきましょう。

5. 失敗から立ち上がる経験をさせる
失敗させないように先回りするよりも、失敗から立ち上がるためのサポートをしてやりましょう。失敗しても立ち上がり再び歩き始める時ほど、子供が「やりぬく力」を培う機会はありません。失敗に心が折れそうになっている時は、それまで失敗を繰り返した末、今はできるようになったたくさんのことを思い出させてみるのもいいです。自転車だって、スケートだって、あんなに転んでいたのに、今ではこんなに上手にできるわよねと話してみてください。

6. 伝記や親自身の体験談などを通し、「やりぬく力」を示す
子供は大人の真似をして成長します。1,000回近くも実験に失敗したエジソン、10回近くも選挙に落選したリンカーン、歴史に名を残した人々の伝記を読むことで、大成功を収めたとされる人々が、どれほどの失敗を繰り返したか、それでも立ち上がり「やりぬいた」かを知ることができます。

また身近に暮らす大好きなお父さんお母さんがどう失敗から立ち上り進み続けたかを知るほど、子供達にとってパワフルな学びはありません。こんな大失敗したことがあるけれど、それでも立ち上がり今こうして頑張ってるのよと、親自身の「やりぬく力」を示してやりましょう。

新しいスタートの春。親子で「やりぬく力」を磨くことを、新しい目標にしてみませんか!

(*)出典:「Grit: Perseverance and passion for long-term goals」by Duckworth, Angela L.; Peterson, Christopher; Matthews, Michael D.; Kelly, Dennis R. Journal of Personality and Social Psychologyより

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