世間で問題になっている「毒親」とはどのようなものか、どんな子育てや考え方が毒親になりうるのか、心理学的アプローチやドラマの描写から分析するとともに、毒親から卒業する方法をまとめました。
あなたは「毒親」にあてはまっていない? 毒親の特徴・チェックリスト

あなたは「毒親」にあてはまっていない? 毒親の特徴・チェックリスト 

毒親とは?子供に悪影響を与える親のあり方

心理学では「Negative Parenting=ネガティブ・ペアレンティング」という言葉があり、子供に悪影響を与える子育てのことを指し、それには以下のようなものがあります。
  • 虐待、ネグレクト
  • 過保護、カーリングペアレント
  • 毒親、モンスターペアレント、ヘリコプターペアレント
どれも親子のバランスが崩れているために、子供の現在と未来に悪影響を及ぼす傾向が高いとされます。
そもそも「毒親」とは?

そもそも「毒親」とは?

「毒親」というものに明確な定義はありませんが、一般的には、子どもを支配したり、傷つけたりして、子どもにとって「毒」になる親のことを指して使われています。スーザン・フォワードの著書『毒になる親 一生苦しむ子供』(講談社刊、玉置悟訳)が話題となり、この本をきっかけに生まれた俗語だとされています。

親が軸をどこに置くかで、子育てはすぐにバランスを崩してしまいます。毒親系は、自分も可愛く子供も可愛いという両方に当てはまるパターンで、子供を親自身と同一化して捉えていることが多く、不健全なパターンに陥ります。子育てにおいては、子供に没頭し過ぎるのもダメなんですね。

▶参考
毒親やモンペはNG!目指すは「ほどよい母親」
毒親未満、でも親が苦手……30代からの実親ストレス対処法

では、どんな子育てや考え方、行動、親としてのあり方が、子供に悪影響を与えるのか見ていきましょう。
 

毒親チェックリスト・特徴1:子どもを管理する

学校生活から友人関係、身につけるものや読むもの聴くもの食べるものまで、必要以上の厳しさで子どもを管理したり、習い事を渡り歩かせて子どもを振り回し、期待に沿わない場合は責めたりしていませんか?

毒親が子どもを「管理」するのは、子供のためのようで実は自分のためでもある……子どもを「管理」するのは、子供のためのようで実は自分のためでもある……

家ではいい子なのに、外での態度を先生から注意された。そんな子どもの様子の原因は、親の理想像から外れないよう、厳しくしつけられていることへの反動の可能性があります。

子どもは親に愛されたいと「いい子」を目指しますが、なかなか親が望む「いい子」になれないとストレスを感じ、日常自分が受けている「命令」「指図」「禁止」を自分より弱い相手に向けて発散し、心のバランスをとろうとします。

いつも管理下に置かれていると、学童期や思春期に自暴自棄に陥ったり、自制がきかないほどの攻撃的態度や心を開かなくなるなどの問題行動に発展したりすることも。子どもが親に感じる小さな違和感や息苦しさは、積み重なることで、極端な拒絶をしないと親と距離を置けなくなってしまうのです。

▶参考
毒親・毒母の呪い!支配する母親と逃げられない子供達
「いい子」の抱えるストレスとは?
 

毒親チェックリスト・特徴2:子どもを支配する

「だって、心配なのよ。あなた◯◯だから」「あなたは◯◯できないから」。こんなことを子どもに言っていませんか?
毒親は子に、どのような影響を与えてしまうのでしょうか

命令や指図や禁止、監視により子どもを支配していませんか?

これらは言霊となり、子どもをいつまでも「できないまま」「心配なまま」に縛り付けます。「あなたはできない」と言われ、心を折られる日々を育った子どもは、親の言葉を疑わず、自分には母親の手助けが必要なのだと信じます。これは「支配—被支配」の構図です。

子どもが従順で、自分の期待に応えれば機嫌がよく、そうでなければ厳しい言葉で責め、何らかのペナルティを課す。子どもを怖がらせてでも言うことを聞かせようと命令や指図をする。

子どもの好奇心は困ったことと捉え、子どもの興味や行動しようとすることに対し、あれはダメ、これもダメ、触ってはダメと禁止する。無邪気な子どもらしさを容認できず、早くから大人のようにさせたいと、監視の目を光らせるのも支配です。

▶参考
毒親・毒母の呪い!支配する母親と逃げられない子供達
「いい子」の抱えるストレスとは?
 

毒親チェックリスト・特徴3:「あなたのため」と押し付ける

子どものため、孫のためと入れあげるのは、対象者のためではなく親自身のためではありませんか? 子どもの人生を自らの自己実現に利用していることに無自覚で、親子の間でどこまでが自分の領域で、どこから先が相手の領域なのかを意識できていないということ。
大人になっても毒母から受けた「呪文」から逃れられず、息苦しい人生を送っている人も少なくありません

それはあなたのため?自分のため?

しっかりやりなさい!負けるな、頑張れ!と子どもを追い立てるのも、親の願望や期待、世間体といったものを押し付けて努力を強要していることの表れです。

ヘリコプターペアレントは、子供のことを常に観察し、問題があれば急降下し、干渉します。一見、子供可愛さにやっている行動に思えますが、その裏には親が期待どおりの子に育てたいという強い思いがあります。「私の子なのだからこうでなくちゃ」と型にはめようとしているのです。その点で「子供のためを思ってやっているようで、実は、自分のためでもある」自分可愛さによる行動でもあるのです。

▶参考
毒親・毒母の呪い!支配する母親と逃げられない子供達
ドラマ「過保護のカホコ」から考える母娘関係
毒親やモンペはNG!目指すは「ほどよい母親」
 

毒親チェックリスト・特徴4:過保護となり必要以上にしてあげる

ちいさな子どもは無条件に親を愛しますが、思春期を迎えるとそうもいかなくなる。そこで、身の回りのことを「してあげる」ことで自分に依存させ、必要とされることで自己肯定感を得られる時間を長引かそうとするのは、過保護です。
毒親には、どのような特徴があるのでしょうか

過保護は、将来において親子の深刻な断絶をもたらす可能性も

また、親離れと子離れは、子どもの成長に伴い少しずつ進んでいくものですが、親のほうが子離れできてないと過保護になりがちです。

子どもが離れていくと、親としての自分が存在価値を失うという恐怖にとらわれて、子どもが親から自立しようと自分の思い通りにならなくなった時、自分が被害者かのように振る舞ってしまうこともあります。自分を頼ってもらえなくなるさみしさにどう対処していくべきか、は親自身が処理すべき問題でしょう。

自立に向かう我が子をあの手この手で引き留めようとするママの子離れのできなさは、親子の深刻な断絶をもたらす危険性が高くなります。

▶参考
ドラマ「過保護のカホコ」から考える母娘関係
 

毒親チェックリスト・特徴5:精神的な一体感を求め、過干渉になってしまう

夫婦関係に不満があれば、子どもとの強い精神的なきずなによって寂しさを埋め合わせたい気持ちが強くなることもあるでしょう。子どものために自分の人生を犠牲にしたという思いが強い人は、子どもとの生活になんとしても自分の生きがいを見出したいと思ってしまうかもしれません。

密着した関係を求めすぎてしまうと、子どもがいずれ親を負担に感じたり、子どもの自立心が育たなくなることもあります。
毒親は娘に精神的な一体感を求め、過干渉・過保護になってしまう……

精神的な一体感を求めすぎてもよくない

ゆがみやすく依存的になりやすい面がある、母と娘の関係について、精神科医の斉藤学氏が『「家族」という名の孤独』のなかでふれています。

母と息子となると、母はさすがに息子の男性性を感じて、たじろぐところがある。
-中略-ひとり娘や長女となると、母親はまるで自分の体の延長のように娘を感じてしまうようだ。
自分の喜びは娘の喜び、自分の嘆きは娘の嘆きと思うから、夫への愚痴などがあれば、思う存分たれ流す。娘がそれを聞いて、どのように感じるかに思いがいたらない。それほどの一体感の中に、入り込みがちなのである。

同性であることから「自分の気持ちと同じように感じてくれるはず」と過剰に期待してしまいやすく、自分の趣味や考え方を押し付け、夫婦間のいざこざや他人への悪口など何でも話して同じ気持ちを共有したいと思ってしまうのかもしれません。

▶参考「母と娘の関係に潜む危機
 

毒親チェックリスト・特徴6:子どもへ呪いの言葉をぶつける

「あなたさえいなかったら」という台詞や、結婚への後悔や自分が生きられなかった人生といった悩みを、子にぶつけるのも呪いの言葉になりえます。
母が娘のことを分身のようにかわいく思ってかける言葉は、いつしか呪文としての力を持ち、娘の人生を左右します

言葉は呪文として、長期間効力を持ち、子の人生を左右します

特に、母と娘の関係において、娘は「母の期待に応えなければ」と頑張り続け、母の寂しさを埋めるために「パートナー」や「親友」の役割を担おうとします。こうした娘の“やさしさ”は母の執着をエスカレートさせ、母娘双方の精神的自立を台無しにしてしまうのです。

母と娘であっても母と息子であっても、親子という関係は生涯変わりません。子どもは親のカウンセラーでもなければ、友人、親がわりにもなれないことを忘れてはいけないのです。

親の役目は、子どもが自分自身を肯定し、他人や社会も受け入れられるような愛情を与えてあげること。自立心の妨げにならないよう注意しながら、身につけていくべき基本的な知識を教えていくこと。また、可能なかぎり自由に人生の選択ができるような環境を整えて、自立を支えてあげることです。

▶参考
毒親・毒母の呪い!支配する母親と逃げられない子供達
母と娘の関係に潜む危機
 

毒親チェックリスト・特徴7:子を抑圧し、罪悪感をうえつける

子に「罪悪感」を抱かせるのも、毒親の特徴です。いつまでも自分の庇護が必要な子どもであってほしいため、ひとりの人間として子に向き合うのではなく、支配する親として君臨したいのです。

たとえば、「やりたいことを我慢して、あなたを育ててきたのに」。
これは母の希望と違う進路を選んだときなどに、ついてくる言葉ですが、「人生を犠牲」にした母のために、母の希望に添って生きることが正しいのでしょうか?

「お母さんができなかったことをあなたにしてほしいの」。
人格も興味も能力も違い、生きる時代も違う子が、なぜ「母のやりたかった夢」を叶えなければならないのでしょうか?
 
「あなたさえいてくれれば、もう何もいらない」。
これは「他の関係をあきらめたのだから、私のそばにいて」という大胆な要求を突きつけているわけです。

こんなことを言われては、子どもは罪の意識を伴うことなしに、自分の人生を生きることができません。

▶参考
ドラマ「過保護のカホコ」から考える母娘関係
“さびしい母”が娘を縛る「5つの呪文」
 

毒親チェックリスト・特徴8:大人になっても就職や進路に口を出す

子どもへの評価=自分への評価だと思い、就職は子育ての最終評価が決まる場所と捉え、子どもの就職セミナーに親が参加することも。異性関係や結婚生活、出産や孫育てまで、どこまでもアドバイスしたくて仕方がない、そんなことはありませんか?
毒母からの呪文に応えようと頑張り、子が精神的自立ができなくなってしまうケースも

親の期待通りに行動することで、精神的自立ができなくなってしまうことも

一人の人間として精神的に自立しきれずに発せられるさびしさから、親が子育てに執着してしまうと、子の人生に干渉し続けてしまいます。それを言うことが「子のためになる」と真剣に信じていますが、その気持ちは苦しいプレッシャーとなり、子ども自身の意志を狂わせていきます。

母にとっては、娘が自分と同じ道を歩めば、自分はいつまでも娘の上に立てます。自分の生き方を娘に肯定してもらった気持ちにもなるでしょう。「私のように生きなさい。但し、私より幸せになってはいけない」というメッセージを無意識に送り続けているのです。

「お母さんの言うとおりにしていれば間違いない」。
進路や人生設計をすべて「お母さんの言うとおり」にすれば、本当に幸せな一生を送れるのでしょうか? そうでなければ、不幸になるのでしょうか?

▶参考
毒親・毒母の呪い!支配する母親と逃げられない子供達
“さびしい母”が娘を縛る「5つの呪文」
ドラマ「過保護のカホコ」から考える母娘関係
 

毒親チェックリスト・特徴9:大人になっても恋愛や結婚に口を出す

恋愛に関する価値観や思考は、親に強く影響されます。恋人を否定され結婚できない人や、母親に過干渉で育てられたと感じている人が背負う苦しみは、恋愛や結婚に影を落とします。以下はある女性の例です。

小さいころ両親は仲がよく、いわゆる良妻賢母タイプだった母は料理、裁縫が得意で、子ども好きでした。歌ったり、絵本を読んでくれたり、お弁当を作っては公園に連れていってくれる反面、行儀や姿勢、言葉づかいに厳しく、テレビや服装などの選択権はありませんでした。母の美徳から外れる価値観は、すべて否定、批判され、感情を抑制されました。
「恋に溺れるのは、はしたない」
「(彼とくっつくと)汚らわしい」
という恋愛やセックスを否定する母の恋愛観に影響されました。
感情を出すことを嫌う母にとって、恋愛で心乱れる姿は、見るに堪えないもの。母は恋を否定し、彼を批判し、行動を制限しました。私を妊娠から守るためだったのかもしれませんが、私はいつも罪悪感を覚えながら恋をしていました。
家庭内離婚状態になった時、母は父を蔑み、憎みました。父親と不仲だった私は、男性不信を深め「男女の愛は続かない」「理想の男はいない」とあきらめるように。
仕切るタイプだった母に育てられた私は、男女関係に於いて受け身でした。
「良い子にしていないと嫌われる」
「かわいくしていたら優しくしてもらえる」
母との関係が、当時の彼や離婚した前夫との関係に、そのまま投影されていると気づいたのは離婚後のことでした。

▶参考
人生を壊された…母との関係に苦しむ、39歳娘の心情
母親との関係を見直して恋愛運アップ
 

毒親卒業対処法まとめ:「ほどよい母親」とは?

小児精神科医であるウィニコット博士は、「発達段階理論」の中で、「Good enough mother」=”ほどよい母親”という言葉を提唱しています。

これは、適度の心身の世話によって、快適な環境と、存在としての恒常性を与える母親を指します。言ってしまえば、普通のよい母親のことです。 ”完璧とはいえないお母さんの子が、まずまずスクスクと育っていくことができるのは、そこには十分な「ほどほどによい子育て」があるからだ”としていますが、子育ての絶妙なさじ加減というのは、まさにそこにあると言えるでしょう。

子供に没頭し過ぎることなく、頑張るけれど、頑張り過ぎない子育て。それが、子供にとっても居心地のいい環境です。
毒母は、無意識のうちに娘にあるメッセージを送りつづけてしまう

日本ではこれまで献身的に尽くす母親が「良い母親像」として強調されてきた

日本ではこれまで、自分を犠牲にして、子どもや家族のために尽くす姿が「よい母像」として強調されてきました。「いい子」を育てる「お母さん」は、賢母として社会的に承認されやすく、度を越した母親のヘドロのような葛藤も「頑張ってるわね」と褒められるタネになり、精神のバランスを崩せば「頑張りすぎて可哀相に」とねぎらわれる。

そのことが、子育てに没頭し、生きがいとする母親を生む土壌であったのかもしれません。

▶参考
毒親やモンペはNG!目指すは「ほどよい母親」
ドラマ「過保護のカホコ」から考える母娘関係
本当は怖い!「毒母ブーム」の裏にあるもの
 

必要であれば、専門的治療をうけよう

子どもが受ける親からの影響はとても大きく、自分の人格や価値観を否定されるなどの心理的虐待を受けていると、その影響は大人になっても続くことが多いです。
  • 異性関係を含めた対人関係で相手を信頼できない。常に相手の顔色を見てしまう
  • 自分の意見が分からない、自分がないとよく言われる
  • 自分に自信が持てない
  • 感情の起伏が激しい、怒りや不安に振り回される
  • 支配する・支配される関係でないと人間関係が築けない
このような影響は、頭では分かっていてもなかなか変えられないものばかり。親から刷り込まれた価値観にはなかなか気づきません。
毒親の影響が多きい場合、必要であれば専門的治療をうけよう

毒親の影響が大きい場合、必要であれば専門的治療も選択肢にいれよう

複雑性PTSDや解離性障害と呼ばれる精神疾患を発症してしまった場合は、医療機関やカウンセリング・ルームなどで、専門的な治療を受けていく必要があります。

治療としては、トラウマになってしまった記憶を過去の出来事にしていくEMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing)、自分の感情をコントロールし、人間関係のスキル等を学んでいく弁証法的行動療法などがよいでしょう。

最終的には、物理的にも精神的にも親と決別をしていく必要があります。そのためには、親と決別できる強さが必要です。時には誰かの手を借りて、親と何らかの形で決別しない限り、この問題は続きます。

毒親の元で育った子供は、毒親になってしまう可能性を持っています。毒親の両親も毒親の被害者かもしれません。毒親は後の世代に伝わっていくものですが、適切な治療を受けることで、この悪循環を断ち切ることも可能です。

▶参考「子供に悪影響をおよぼす毒親の行動と克服方法

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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。