虐待からモンペまで、親が問題になっている!

親子のバランスが取れているウィニコット博士の「ほどよい母親」とは?

親子のバランスが取れているウィニコット博士の「ほどよい母親」とは?

ニュースやテレビの特集などで、問題児ならぬ「問題親」がよく出てきます。

ここ最近、虐待のニュースが次々と報道されていますが、つい先日は、夜間に東京・六本木のレストランに1歳6カ月の長男を置き去りにしたとして、母親が逮捕されたニュースが飛び込んできました。子供をその店に置いたまま、別の店に酒を飲みに行き、その間に男の子は店の外に出てしまい、付近を巡回していた警察署員に保護され、明るみになったのだそうです。

またこれとは逆パターンですが、ここ最近のドラマで、過管理、過干渉、過保護がテーマになったものが立て続いています。「過保護のカホコ」然り、「明日の約束」然り。ドラマの中の設定ではありますが、親のあり方が問題視されていることを反映した動きなのだと思います。

ここでは、問題視されている「親のあり方」を、イギリスのウィニコット博士が提唱した「ほどよい母親」と照らし合わせて見ていきます。

 

心理学でいうネガティブペアレンティングって?

海外で行われた児童心理学の研究レポートなどを読んでいると、よく目にするのが、「Negative Parenting=ネガティブ・ペアレンティング」という言葉。「ペアレンティング」は、「子育て」を指す言葉なので、ネガティブペアレンティングとは、子供に悪影響を与える子育てのことを指します。

心理学でいうネガティブペアレンティングには、次のようなものが挙げられます。
  • 虐待、ネグレクト、
  • 毒親、モンスターペアレント、ヘリコプターペアレント
  • 過保護、カーリングペアレント
ネグレクトや虐待はもちろんのこと、毒親系もドラマなどで問題視されているので、悪い育児の代表としての認知度は高いですが、「過保護」もここに入ります。他のパターンほど悪いイメージはないかもしれませんが、心理学ではネガティブペアレンティングの1つとされています。

どれも、親子のバランスが崩れているために、子供の現在、そして未来にも悪影響を及ぼす傾向が高いとされています。

 

ネガティブペアレンティングに共通するバランスの不均衡

親子のバランスと言いましたが、親が軸をどこに置くかで、子育てはすぐにバランスを崩してしまいます。

たとえば、
  • 虐待、ネグレクト⇒自分が可愛いパターン:
    親の「私が、私が」が強く、子供に目が行っていない。先に挙げた置き去り事件も、母親自身が、「お酒を飲みたいから」と子供を置き去りに。
  • 過保護、カーリングペアレント⇒子供が可愛いパターン
    「うちの子が、うちの子が」が過度に強い。子供がいつも「いい気分」でいられるようママが奔走する。
では、毒親系はどうなのか…? 実はこれは、自分も可愛くて、子供も可愛いという両方に当てはまるパターンです。自分も子供も可愛いのなら、普通は良いバランスになりそうなものですが、子供を親自身と同一化して捉えていることが多いため、不健全なパターンに陥ります。

たとえば、ヘリコプターペアレントは、子供のことを常に観察し、問題があれば急降下し、干渉します。この点では、子供可愛さにやっている行動に思えますが、その裏には、親が期待どおりの子に育てたいという強い思いがあります。「私の子なのだからこうでなくちゃ」と型にはめようとしてしまうのです。その点で、「子供のためを思ってやっているようで、実は、自分のためでもある」、つまり、自分可愛さによる行動でもあるのです。

 

ウィニコット博士の「ほどよい母親」

イギリスの小児精神科医であるウィニコット博士は、「発達段階理論」の中で、「Good enough mother」という言葉を提唱しています。「Good enough mother」とは、”ほどよい母親”のこと。

適度の心身の世話によって、快適な環境と、存在としての恒常性を与える母親を指します。言ってしまえば、普通のよい母親のことです。

”完璧とはいえないお母さんの子が、まずまずスクスクと育っていくことができるのは、そこには十分な「ほどほどによい子育て」があるからだ”
としていますが、子育ての絶妙なさじ加減というのは、まさにそこにあると言えるでしょう。

先ほど、親子のバランスが悪いと問題に至りがちだということを書きましたが、ウィニコット博士は、だからこそ、「ほどよい母親像」を提唱したのでしょう。実際、博士が、ほどよい母親になれない例として、
 
  1. 強迫的に自己に没頭して子供に関心を向けられない母親 
  2. 子供に過度に没頭しすぎて同一化してしまう母親
を挙げています。1は、ネグレクトや虐待、2は、ヘリコプターペアレント、モンスターペアレント、過保護を予期させます。自分に没頭し過ぎるのも、子供に没頭し過ぎるのも、ダメだというわけです。

目指すは、「ほどよい母親」。頑張るけれど、頑張り過ぎないのが、子供にとって居心地のいい環境なのです。

 

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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。