ヘアサイクルの乱れが薄毛の原因に!?
最近、髪がが薄くなったと悩んでいませんか? 薄毛が気になる人は、ヘアサイクルが乱れていることが考えられます。ヘアサイクルとは、一本の髪の毛が生まれ、成長し、抜け落ち、次の新しい髪をつくる準備までの周期のこと。その期間は、平均して4~6年。一本一本の髪の毛が抜け落ちる時期が違うため、頭にはいつも髪の毛がある状態ですが、それらの髪の毛の中には、生え始めた短い毛もあれば、1年経っているもの、4年経っていてもう少しで抜けるものなどが混在しています。
日本人の髪は平均して10万本あります。1日あたり50~100本くらいの髪が抜けますが、同じくらいの本数の髪が生まれ、常時同じくらいの髪の本数に保たれています。
しかし、髪の本数が減り、薄毛になったように感じることがあります。ヘアサイクルが乱れることにより、髪の毛の休止期(成長がお休みとなる期間)が長くなっていたり、成長期が短くなったりするためです。
休止期が長い髪の毛が増えると、抜けた状態の毛穴が増え、生えている毛の量が減るため、髪全体が薄くなったように見えてきます。また、成長期が短い髪が増えると、長くならないまま抜けていってしまう毛が増えるため、髪の量が減ったように感じます。
ヘアサイクルを乱すストレスに注目!
それではなぜ、ヘアサイクルが乱れてしまうのでしょうか。今回は、花王ヘアケア研究所の森田康治さんに聞いてきました。
「原因としては、病気、使用している薬の影響、妊娠中であること、加齢など様々ありますが、ストレスもその一つであるといわれています。ストレスにより頭皮の血流が悪くなると、ヘアサイクルが乱れることが考えられます」(森田さん)。
最近、目の疲れや肩こり、精神的なストレスがあって、そういえば薄毛も気になってきた……ということはありませんか? ストレスが溜まると全身の血流が悪くなってきます。おのずと頭皮の血流も悪くなり、そのためヘアサイクルが乱れて薄毛が気になってきているのかもしれません。
「血流量が多い状態のときは、細胞が活性化されます。髪の毛を作っているのは毛母細胞です。毛母細胞を活性化させるためには、できるだけ血流量が多い状態を保つことが重要となります」(森田さん)。
血流量が多い状態が保つことができれば、ヘアサイクルが整い、薄毛を予防することが期待できます。
重要なのは頭皮の「血流量」
血流量が多い状態を保つために、おすすめなのが頭皮の血流を促すヘッドマッサージ。それも、効果的に行う方法があります。ポイントは2つ。
血流量アップヘッドマッサージ
POINT1 頭皮を「押す」
頭皮をマッサージする方法のうち、代表的なものに圧迫法(押す方法)、強擦法(強くさする方法)、揉捏法(もむ方法)の3種類があります。
「この中でも、もっとも頭皮の血流量の上昇作用が強く、持続性も比較的高くなる方法は圧迫法(押す方法)であることが研究でわかりました。強擦法(強くさする方法)と揉捏法(もむ方法)も血流量の上昇は見られますが、やはりぐんと上昇したのは圧迫法です」(森田さん)【資料1参照】。
「頭皮は頭蓋骨を覆っており、毛母細胞や皮膚の血管は頭皮に存在していますので、下には硬い頭蓋骨が存在しています。圧迫法のような(皮膚への)垂直方向への刺激が与えられる場合は、皮膚・血管への応力がより強く加わり、反射反応として血流上昇が起こるのではないかと考えられます」(森田さん)。
そこで、森田さんは、薄毛などの対策として血流を促すことを考えている方には、押すマッサージを中心に、さする、もむ方法をミックスした『血流量アップ・ヘッドマッサージ』をおすすめしています。
「マッサージは気持ちいいことも大切だと考えています。リラックス効果が期待できるからです。リラックスすると副交感神経が優位になり、血管の収縮が緩和され、血流が促されるといわれています。押すだけでなく、さする、もむ方法も取り入れたヘッドマッサージは、気持ちよさを感じられるようなプロセスになっています」
「とくに押すときは、指の腹を使い、我慢できない痛みを感じるような強さではなく、むしろ弱くても気持ちいいと感じられる程度の強さで垂直に押しましょう」(森田さん)。
以下が3分間で行う『血流量アップ・ヘッドマッサージ』のプロセスです。
【ステップ1 ほぐす】 指を頭皮にしっかり当て、上下・左右に動かす
『血流量アップ・ヘッドマッサージ』
POINT2 1日3回を毎日続ける
「血流量を多くすることが期待できるヘッドマッサージも、1回限りではマッサージをした時だけの効果に過ぎません。しかし、これを日々続けることで、いつも血流量が多い状態を保つことができることも、実験によりわかってきました」と森田さん。
「研究では、朝、入浴時、寝る前の1日3回のヘッドマッサージ(上のイラストで示した『血流量アップ・ヘッドマッサージ』)を6ヶ月続けることで、ヘッドマッサージをしなかった人よりも頭皮の定常血流量が増えたという結果が出ました。髪の本数が増え、髪のハリ・コシが出たという結果も出ています」(森田さん)【資料2、3参照】。
【資料3】 毛髪密度の変化。ヘッドマッサージを6ヶ月続けた後の写真を見ると、マッサージを開始する前には生えていなかった部分の毛穴から毛髪が生えていることがわかる。休止期であった毛髪が、成育期となったことがわかる。マッサージによって、休止期が短くなっている可能性がある。
ヘアサイクルを整えるためには、血流量の多い状態を保つことが大切。そこで、ヘッドマッサージは1日3回、これを毎日続けることで、血流量の多い状態を保ちましょう。ヘアサイクルが整えば、髪の状態がよりよくなってきます。
朝は髪を整える時に、入浴時はバスタブの中で、寝る前はテレビを見ながらなど、『血流アップ・ヘッドマッサージ』を行いましょう。
「なかでも、全身の血流がよくなっている入浴時に行うヘッドマッサージは、より一層の血流促進が期待できます。またリラックス効果も高くなるため、ストレスを解消し、よい睡眠をとるためにも大変役に立ちます」(森田さん)。
肌を美しく保つためには、ターンオーバー(生まれ変わり)のサイクルを正常に保つことが大切ですが、髪も同じく、ヘアサイクルを正常に保つことが髪のアンチエイジングのためにも重要となります。
毎日のスキンケアを習慣にしているように、『血流アップ・ヘッドマッサージ』もぜひ毎日の習慣にしましょう。
ヘッドマッサージをより効果的に行うためのコスメ
『血流アップ・ヘッドマッサージ』は、道具を必要とせず、どんな時でも手軽にできるマッサージ法です。マッサージをより心地よくしたいときや、頭皮の環境をよりよくしたいときは、頭皮にプラスの効果をもたらすコスメを使うのもいいでしょう。おすすめは以下です。使うタイミングや目的に合わせて選びましょう。
シャンプーしながらのマッサージに
お風呂の中でヘッドマッサージを効果的に行うために開発されたクリーム。これ一本で、ヘッドマッサージからシャンプー、トリートメントまでできます。頭皮と髪にまんべんなく伸ばしたあと、ヘッドマッサージを。そのあと、髪を洗い、すすぐだけでヘアケア終了! 保湿成分が地肌にうるおいを与えます。
花王 セグレタ 地肌も髪も洗えるマッサージ美容クリーム
360ml 1200円(税抜)<編集部調べ>
シャンプー前のマッサージに
ビタミンEを含み、優れた保湿力と老化防止効果のある椿油。これをシャンプー前の乾いた頭皮に塗り、ヘッドマッサージを。頭皮の汚れが浮いてくるので、そのあとシャンプーとトリートメントをして仕上げます。頭皮がしっとりうるおいます。フェイスケアやネイルケアにも使えます。
グリーンフラスコ椿油
50ml 1200円(税抜)
髪を洗ったあとや朝、日中のマッサージに
薄毛、白髪対策としての植物成分も配合された頭皮用エッセンス。洗髪後、頭皮と髪の水分をよく拭き取ったあと、頭皮につけてマッサージ。そのほか、朝や日中などのヘッドマッサージにも使えます。乾燥しがちな頭皮にうるおいと栄養を与えます。シトラスハーブの香りで、リラックス効果も期待できます。
ラ・カスタ アロマエステスキャルプリペアエッセンス
120ml 3500円(税抜)
◯頭皮を温めながらマッサージしたいときに
頭皮が乾いた状態のときならいつでも使える、温熱効果のある頭皮用美容液。頭皮に塗ったあと、マッサージをします。配合されている温感成分の働きにより、頭皮がじわっと温かくなります。ほかにも、めぐりをよくし、頭皮にうるおいを与え、キメを整える天然由来成分を配合。頭皮の環境を整えます。ウカ Reセラムフォースカルプ
50ml 5,000円(税抜)
取材協力
花王ヘアケア研究所 森田康治
花王ヘアケアサイト
資料提供:花王