<目次>
仕事における人間性=「その人は信頼できるか?」
仕事における人間性とは?
皆さんにも、こういう経験は少なからずあろうかと思います。実はこれこそが「人間性」に起因するものです。
仕事の場はもとより、さまざまな議論の場面では、「意見の内容」よりも「誰が言ったか」がカギとなります。
先の例では、皆の信頼を得られていないAさんに対し、信頼されているBさんの意見はすぐに通ります。ここで問われるのが「人間性」です。
そもそも人間性とは?「人格」を考える
では、そもそも「人間性」とは何でしょうか?辞書には「人間を人間たらしめる本性。人間らしさ」(大辞林)とあります。
「人間を人間たらしめる本性」を「人格=パーソナリティー」と捉えてみましょう。
記事「リーダータイプの人はどんな人?エゴグラムで自分のタイプをチェック」にも記しましたが、人格とは
・遺伝に影響される「気質」=「活動性」「協調性」
・環境で培われる「論理性」
・教育で培われる「指導性」「共感性」
からつくられます。
人間理解の手法の一つである「エゴグラム」は心理学で有名な理論です。
「エゴグラム」では「人格」をつくる5つの要素を、
- 厳しい父親の心
- 優しい母親の心
- 冷静な子供の心
- 奔放な子供の心
- 従順な子供の心
- 厳しい父親の心 → 指導性
- 優しい母親の心 → 共感性
- 冷静な子供の心 → 論理性
- 奔放な子供の心 → 活動性
- 従順な子供の心 → 協調性
5つの要素は、遺伝による部分の大きい「活動性」「協調性」以外の部分は、環境や教育によって身につけられると考えられます。
「人間性」を高めるには「指導性」「論理性」に注目する
「人間性を高めよう」と言われても、何をやればいいかに迷ってしまいますね。
ここで、人格の構成する要素を分けることが活きてきます。
5つの要素のうち、「活動性」「協調性」は遺伝的な要素が大きく、開発が難しいとされています。
よって、残りの3つ、「指導性」「論理性」「共感性」にフォーカスしましょう。
さらに、日本人の特性として、「共感性」は多くの方が強くもっている傾向がありますので、「指導性」「論理性」を高めることに注力するとよいでしょう。
人間性を高める方法1:「指導性」を高めるアプローチ
下記のデータを見てください。これは「指導性」の役職別の平均値です。ご覧のように、役職が上がるほど高くなっており、部下を指導する経験が「指導性」を高めることがわかります。
一般職 9.9
係長職 10.3
課長職 11.1
部長職 11.5
経営職 11.7
(20点満点)
「ビジネスパーソン1万人調査」市場価値測定研究所より
リーダーの役職にない方でも、重要な場面においては、使命感や責任感を感じさせる「しなければならない」「すべきです」という断定的な口調を使ってみましょう。はじめは違和感があるかもしれませんが、使い続けると当たり前になってきます。
「指導性」は厳しい父親的な要素であり、場合によっては嫌われることもあるでしょう。
たとえば、元・サッカー日本代表の中田英寿さんは日本代表になりたての20歳の頃から、高い意識レベルと卓越した技術を有し、先輩にも敬称を使わず、チームの勝利のために指示命令を出したことは有名です。
「嫌なことを言う」のがリーダーの仕事であり、チームの目的のためにこの役割を担うことが「指導性」を伸ばすのです。
人間性を高める方法2:「論理性」を高めるアプローチ
指導性と論理性を高める方法
一般職 13.1
係長職 13.3
課長職 14.1
部長職 14.4
経営職 14.6
(20点満点)
「ビジネスパーソン1万人調査」市場価値測定研究所より
「論理性」がベースとなって、プレゼンテーション能力(文章と口頭の表現能力)が向上します。「論理性」によって相手にわかりやすく表現でき、理解を促進させるのです。
論理力を高めるために、仕事に限らず、プライベートな場面でも「なぜ自分はこう判断したのか」を考えるクセを付けましょう。「これが好き」「あれは止めておいたほうがいい」といった判断を下す際に、「なんとなく」で終わらせず、その理由を考え抜くのです。
この時に使える思考法の一つが、自動車会社のトヨタで長く使われている「なぜ5回」です。
「なぜ」と自分に問い、その答えをさらに問うことで考え得る選択肢を出し、それぞれを吟味するのです。
この「選択肢に分解して」「それぞれを考え抜く」作業が、論理性を高めることにつながります。
「人間性を高めたい」と思ったら、後から開発できる「指導性」「論理性」に着目し、それぞれを伸ばす機会を増やすようにしましょう。
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