キャリアプラン/自己分析の方法

キャリアビジョンとは?ゴールとの違いや仕事・人生における描き方

キャリアビジョンとは「自分の在りたい姿(理想像・目的地)を具体的にイメージすること」です。それを描くための方法を考えてみたいと思います。能力・キャリア開発をする上でも中核的なスキルです。今回は、ゴールとの違いも併せて解説します。

藤田 聰

執筆者:藤田 聰

キャリアプラン・リーダーシップガイド

キャリアビジョンとは何か? ビジョンの意味合いを確認

手帳はビジョンや戦略を練る最も身近なツールです

手帳はビジョンや戦略を練る最も身近なツールです

「ビジョン」と言う言葉を皆さんはどのように捉えますか? 方向性や夢、ロマンなど、伺ってみると様々です。明確な定義はないのですが、「自分のありたい姿(理想像・目的地)を具体的にイメージすること」と考えて下さい。

ライフプランは自分の人生のステージにおいてのイベント、就職、結婚、子育て、昇進、転勤、定年等のプランを指しますので、将来における理想像であるビジョンとは少々異なります。

では、どのくらい先に照準をあてるといいのでしょうか? ドックイヤー、マウスイヤーと言われる今日、30年、50年先を読むことは現実的に不可能。中長期の未来として、10年後が妥当でしょう。
 
<目次>
   

キャリアにおけるビジョンとゴールの違い

ビジョンをイメージしていく際、心がけるポイントは具体性。抽象的なものでは時間の無駄遣いとなります。なぜなら、次の戦略を描くことができないからです。戦略が描けなければ、ビジョンを実現することはできません。

では、皆さんはビジョンとゴールの違いは何かわかりますか? 少し考えてみて下さい。ゴールは「目標」です。つまり、ビジョンに数字を加えたものがゴール。

ゴール(目標、目的地)=ビジョン(ありたい姿)+数字

ビジョンに数字を付け加えたものがゴールです。ビジョンは定性的なもの、ゴールは定量的なものです。日産自動車のゴーンCEOは90年代後半、苦境に立たされていたこの会社に企業再生のプロとして舵取りを任されたのですが、定量的な目標設定をすることが戦略、アクションプランに繋がると考え、企業文化を変革していきました。

彼は企業再生計画を策定し、目標に辿り着くための道筋と期限を考え、社員一同、愚直に行動し続けた結果、今のような形に再生したのです。

つまり、皆さんもビジョンをイメージする際、定性的にではなく定量的にイメージしていくことが求められるのです。視覚的で明確なイメージであればあるほど、実現の可能性が高くなると考えましょう。

例えば、生活が不規則でメタボリック症候群に陥り、現在72キロとします。1年後の理想像を体重60キロに設定します。このように定量的に表現すれば、アクションプランが立てやすくなります。1年で12キロの減量なので、月1キロ落とすことが目標になります。歩数計で毎日1万歩、夜10時以降の飲食はしない、ゆっくり食べる習慣をつけるなど、計画・実行に移し、習慣化できるかどうかです。
 

ゴールは背伸びした設定こそ重要!

ゴールを設定する際に注意しなければならない点が1つあります。それは極めて現実的なイメージを持ってしまうことです。イメージできないことは現実化できません。イメージは結果を規定してしまうのです。

ゴール設定にはストレッチゴールという考え方があります。ストレッチの意味は、ジャンプしてぎりぎり指先が届くイメージです。

営業で数字を追いかけるときもそうですね。必達目標を100とした場合、150に自ら設定するものです。150をマイゴールに設定することで、8掛けで120%、7掛けで105%達成できます。このような目標設定が経験上望ましいと言えましょう。
 

キャリアビジョンは人生全体で! 仕事だけがキャリアじゃない

個人の価値はどんどん変わってきています。仕事がすべてというキャリアの考え方ではなく、人間力や人間的価値が重要視されてきています

個人の価値はどんどん変わってきています。仕事がすべてというキャリアの考え方ではなく、人間力や人間的価値が重要視されてきています

ライフキャリアという考え方があります。これまでは一人の人間の価値について考えるときに、仕事という経済的価値のみから見るという傾向にありました。けれど「仕事が一番で、他はどうでもいい」という滅私奉公的な考え方はもう古く、仕事という価値観だけではなく、社会的、文化的な側面も大切だという認識が進んできています。

ワークライフバランスとは、将来のビジョンを考える際に、仕事、社会的役割、教養の3つを調和させようという考え方。それらが調和されてできるのが人間的価値や人間力なのです。

経済成長を終え、豊かになった日本は「働き方革命」が急速に起こっています。量で稼ぐ時代から質で稼ぐ時代へ。時間当りの生産性が益々求められるでしょう。

経済面だけではなく、社会的にも、今は価値観の転換期に入りつつあります。こんな時代に人間力をアップさせるために、ビジョン設定は3つの価値観を調和させ て磨いていく必要があります。

3年後、5年後、10年後の理想の姿をイメージし、ビジョン設定することによって、人間力や人間的な価値は磨いていけます。そのためにも、まずはあなたの経済的価値、社会的価値、そして文化的価値のそれぞれについて、自分なりに考え拡げていって欲しいと思っています。
 

キャリアにおいてビジョンを持つことの重要性

ビジョンを持つことは能力開発上極めて重要!

ビジョンを持つことは能力開発上極めて重要!

能力開発をするうえで、原動力になるのはビジョンです。ありたい姿(理想像)を明確化することにより、戦略、具体的なアクションプランも策定できます。目指すべき志を持った人は、その目的以外のことを捨てることができます。

事業でいう「選択と集中」が個のレベルで実現して、全エネルギーが一定の方向へ向かうのです。ハードルを一段また一段と、目標を達成するたびに設定し、一流への階段に繋がっていくのです。

いま悶々としている人は、ビジョンを明確化する作業が必要です。短期の目標は会社から与えられているものと考えて下さい。中長期の目標こそが自分で描いていくものです。

いま入社5年目の27歳の人であれば、37歳になったときのありたい姿(理想像)を持つことになります。どうやってイメージを持つかというと、皆さんの近くにいるお手本を真似るのです。

職場の10年先輩で一番輝いている方を探し、その人をモデルにします。モデルが直属の上司であれば本当にラッキーです。一番身近な人が理想像ということはめったにないことです。素晴らしいところはどんどん盗みましょう。しかし、なかなか「ああなりたい」という魅力的な人に出会うことがありません。

遠くからあなたのモデルを観察し、現在の役職や仕事内容からおおよその年収を推論してみましょう。その他、自宅の場所、間取り、車、家族、趣味などなど、具体的なイメージを持つことが重要です。

モデルはどんなスキル(能力)を持っていて、どんなパーソナリティー(性格)であるかも確認する必要があります。性格部分はなかなか変えられないので、自分と同じタイプの理想の上司を選択する方がモデルとしては相応しいでしょう。魅力的な人は必ず何らかの卓越したスキルを持っています。

ビジョンを明確化し、そこに辿り着くためのアクションプランを作成、強い意志を持ってきちんと実行し続ければ、10年後にイメージした像に近づけることでしょう。言い換えれば、10年後のセルフイメージを持っている人と持っていない人では、10年後圧倒的な差になってくるのです。

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