「ライフキャリアレインボー」で考えるあなたのキャリアとは?

多くの方が、「キャリア」と聞いて思い浮かべるのは、職業人としての経歴や経験、身に着けてきたスキルでしょう。

しかし、キャリア開発の分野で知られるアメリカの研究者ドナルド・E・スーパーは、人が人生の様々な時期に果たす役割(ライフロール)の組み合わせこそが「キャリア」であると考えました。

考えてみれば、今ある私たちの経験やスキルは、「会社」だけで得たものではありません。会社以外の社会生活やプライベートでの様々な経験や役割から積み重ねてきたものも多いでしょう。

また育児や介護など、「会社以外で果たしている役割」が、良くも悪くも働き方に影響するということは、誰しも経験することです。だとすれば、「キャリア=仕事人生」だけではない、というのもうなずけます。
 

「ライフキャリアレインボー」とは?

この考え方を説明しているのが、「ライフキャリアレインボー」という図です(下図参照)。この「虹」は、人生における代表的な役割の変化や重なりとその変化を表しています。
ライフキャリアレインボー、キャリアレインボーとは?

 

スーパーは、私たちが経験する代表的な役割として以下を紹介しています。

●子ども
●学生(学ぶ人)
●労働者(職業人)
●配偶者
●家庭人(家事全般をする人)
●親
●余暇を楽しむ人
●市民

人によって、これらの役割全部を経験する人、一部分を経験する人、これ以外の役割を経験する人、など様々です。最近では「年金生活者」などを加えることもあります。

例えば、「子ども」は私たちの誰もが経験する役割の一つです。
誕生からしばらくの間は「養育」される時期、反対に介護などで親をケアする時期もあります。その両方が「子ども」としての役割です。

特に多くの役割が重なり合うといわれているのが40~50歳代。

「職業人」としては、管理職として責任も負担も増える年代であり、同時に「配偶者」「家庭人」としての家事分担、「親」としての子育てや教育、「子ども」としての親の介護などの役割も無視できません。
つまり、それだけ役割間の調整が難しくなる年代だということです。

「職業人」に没頭しすぎて家庭内がギクシャクしたり、余暇を楽しめずストレスをためたりして、結果として、最も力を入れていたはずの仕事に支障をきたす……、という状況がなぜ起こるのか、この考えに照らして見てみるとよくわかりますね。
 

「ライフキャリアレインボー」から考えるあなたのキャリア

それでは、この「ライフキャリアレインボー」の考え方を、あなたのキャリアプランニングに活かしてみましょう。

<「ライフキャリアレインボー」を用いたワーク例>

まずは「今」を把握してみよう
現在のあなたの「ライフキャリアレインボー」を確認することから始めましょう。

今、あなたが果たしている役割は何でしょうか?

それぞれの役割に割いている時間や労力を、虹(レインボー)の各色の「幅」の違いで表してみるのも良いでしょう(上図参照)。

私(いぬかい)の場合、物理的に時間と労力を割いている順で並べると

職業人/家庭人/親/子ども(実母と同居中)/配偶者/余暇を楽しむ人

といった具合です。

精神的な労力だと、「親」と「子ども」が「家庭人」よりも上に来るかもしれません。現在は、「市民」と「学生」の役割はほとんどありません。配偶者が下位にあるのが少々後ろめたいですね……(笑)。

■過去~現在までの役割を振り返ろう
あなたのキャリアは、これまで経験したすべての役割の中で身に着けた知識、スキル、経験、人脈の組み合わせです。

ということは、「職業人」としての経験だけでなく、過去~現在までの役割を丹念に振り返ることで、これからのキャリア形成に活用可能な、見落としていたあなたの「武器」を発見できるかもしれません。

■〇年後の「虹」を描いてみよう
5年後、10年後などに想定される役割、あるいはこうなっていたいなあ、という希望を、将来の「ライフキャリアレインボー」として描いてみましょう。

例えば、育児がひと段落する5年後には「学ぶ人」の役割を再開して資格取得や大学院進学を考えたいとか、PTAや地域活動をしなければならないので「市民」の役割を追加するなど、現実的な課題から漠然とした夢まで、「虹」としてビジュアル化することで、〇年後のビジョンを明確にできます。

■役割の変化に備えよう
当然のことながら、あなたという一人の人が使える時間、労力は限られています。

複数の役割にかける時間や労力の合計を100としたら、おのずとそれぞれの役割に割ける時間や労力は決まってきます。

もしも、〇年後に役割を増やしたい(増えてしまう)のであれば、少しずつその他の役割を調整していく必要があるでしょう。

意外に忘れがちですが、ある役割には、必ず何らかの人間関係が存在します。

例えば、私が「学ぶ人」としての役割を追加したい場合、「家庭人」や「職業人」「親」「配偶者」など、その他の役割に割いていた時間や労力を調整していく必要があります。

私の役割の変化は、その役割の「影響」を受けていた「誰か」(家族、子ども、同僚など)にも変化をもたらすことになります。

誰しも急な変化に対応するのは大変なこと。

だから、〇年後に向けて、少しずつ家族の意識を変える(ex.娘や夫の家事負担を増やしてもらう)、仕事の役割分担の調整をするなど、備えていく必要があるのです。

もちろん経済的な準備も欠かせません。
 

「働き方改革」が叫ばれ、「ライフ・ワーク・バランス」を実現するキャリア形成が大きなテーマとなっている今、「ライフキャリアレインボー」の考え方を使って、あなたならでは「虹」を描いてみませんか?

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