シングルモルト最多受賞歴を誇る、春のグレンフィディック
グレンフィディックのソレラシステム
グレンフィディックの製法は『グレンフィディック蒸溜所とグラント家の先駆』記事を、バルヴェニーの製法に関しては『バルヴェニー蒸溜所/古典ともいえるモルトづくり』を参照いただきたい。このページでグレンフィディック、次の2ページ目でバルヴェニーの製品を解説する。
では、世界のさまざまな酒類コンテストにおいてシングルモルトでは最多受賞歴を誇るグレンフィディックの味わいからご紹介しよう。
『グレンフィディック蒸溜所とグラント家の先駆』記事で、1887年12月25日のクリスマスの朝に最初の蒸溜の滴が誕生したと述べた。わたしはクリスマスウイスキーとしてどうぞ、とすすめたが、春とたとえられるのは、グレンフィディック蒸溜所のフラッグシップとして世界で愛され、モルトウイスキー市場を牽引しつづけてきた「グレンフィディック12年スペシャルリザーブ」である。
朗らかなフルーティーさ、甘い香りが魅力で、グリーンのボトルが物語るように、清々しい軽やかさにあふれている。これが春の感覚を想わせるのだろう。12年は、とくに食前、食中酒としておすすめだ。またシングルモルト入門者にもおすすめする。
しかしながら15年、18年とエイジングが増すほどに、深く重厚な熟成感を堪能できるのがグレンフィディックの面白味でもある。12年の春とは明らかに異なる。これは原酒のポテンシャルの高さを物語っている。わたしは「グレンフィディック15年」を好んで飲む。
Glenfiddich 12 Years Old SPECIAL RESERVE
グレンフィディック12年スペシャルリザーブ
先述したように、春の香味にたとえられる「グレンフィディック12年」。仕込み、発酵に由来するフルーティーさ、バーボン樽とシェリー樽熟成モルトのブレンド(ヴァッティング)による滑らかで繊細なコクを特長としている。洋梨やレモンを想わせる軽快さも合わせ持つ。
色 とても淡い金色
香り 洋梨・レモン・フルーティーな熟成香
味 甘くフルーティー・バタースコッチ・クリーム
フィニッシュ 繊細で軽やか
Glenfiddich 15 Years Old SOLERA RESERVE
グレンフィディック15年ソレラリザーブ
「15年ソレラリザーブ」は、シェリー酒の熟成で用いられるソレラシステムをはじめてシングルモルトに応用。バーボン樽、プレーン・ホワイトオーク樽、シェリー樽の3種の樽で15年熟成したモルトウイスキーを、ソレラヴァット(オーク材の大桶)に入れ、約6ヵ月後熟させて誕生する。
製品化(瓶詰)の際にはソレラヴァットから5分の1程度抜き取る。空いた分はまた補充。こうして香味の滑らかさと品質の安定性を保つ。
色 金色
香り 甘くフルーティー・はちみつ・レーズン
味 絹のように滑らか・バニラ・シナモン
フィニッシュ 長く甘い豊かな余韻
この他「18年」「21年」は、『グレンフィディック18年・21年(1月26日新発売)』の記事において「グレンフィディック18年スモールバッチリザーブ」と「グレンフィディック21年グランレゼルヴァ」をご紹介しているので、そちらをお読みいただきたい。
では、次ページで“秋のバルヴェニー”の味わい。(次ページへつづく)