マーケティング/マーケティング事例

世界初!ウェアラブル眼鏡「JINS MEME」は売れるか?(3ページ目)

11月5日に世界初を謳ったウェアラブルメガネ「JINS MEME」が発売となりました。今回は『安部徹也のヒット診断“マーケティング・チェック!”』の第2回目として、「JINS MEME(ジンズ・ミーム)」を取り上げ、爆発的ヒットに導くマーケティング戦略を検証していきます。

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

「JINS MEME」の“クロッシング・ザ・キャズム戦略”を考える

JINS MEME

「JINS MEME」はどのような戦略で“キャズム”を乗り越えるのか?

ハイテク製品を爆発的なヒットに導くためには、新製品導入時に製品に“夢とロマン”を求める「イノベーター」や「アーリーアドプター」を満足させると同時に、製品に実用性を求める「アーリーマジョリティ」へのアピールも忘れてはいけません。

この特徴の違う2つの消費者層に同時にアプローチしていくマーケティングは、「クロッシング・ザ・キャズム戦略」と呼ばれています。

たとえば、今では世界中で爆発的な売上を誇るiPhoneですが、発売当初はやはりキャズムに悩み、「クロッシング・ザ・キャズム戦略」を駆使して現在の地位を確立したのです。(『販売不振?iPhoneがはまった深い溝とは?』参照)

「JINS MEME」も、恐らくこれからキャズムに悩まされることが予想されます。あのGoogleの「Google Glass」でさえキャズムを超えられなかったことを考えれば、「JINS MEME」がキャズムを乗り越えることは並大抵の努力では成し遂げられないのは誰の目にも明らかです。

「JINS MEME」がキャズムを乗り越えるために重要な鍵を握るのは、アンケート結果で浮き彫りとなったように、その価格設定といっても過言ではないでしょう。

価格が1万円以下になったときに、キャズムを超え「アーリーマジョリティ」が消費し始める可能性が高くなるのです。

そこで、当初は赤字でも大量生産を行ってコストを削減し、1万円以下の価格設定を実現して「アーリーマジョリティ」の消費につなげる「クロッシング・ザ・キャズム戦略」も考えられます。

ただ、この戦略がリスクが高いと判断するようであれば、実用性の高いアプリを開発して利用料をたとえば月額300円など有料にして、「JINS MEME」本体の価格を引き下げるという選択もできるでしょう。また、携帯電話のように、アプリの毎月の利用料を若干高めに設定して、「JINS MEME」の支払いは2年の分割とし、アプリと同時に2年契約をすれば、実質無料になるというビジネスモデルも考えられます。

いずれの戦略を採用するにしろ、爆発的なヒットを記録するためには「アーリーマジョリティ」以降の消費者層を魅了する実用性とコストパフォーマンスが重要な鍵を握るのは間違いありません。

今後「JINS MEME」を展開するジェイアイエヌがどのような「クロッシング・ザ・キャズム戦略」を繰り出すのか?

その一挙手一投足に注目していきましょう。
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