分かりにくいジャズ用語を解説!
ジャズ用語を解説!
<目次>
挨拶
会った時が何時であれ、挨拶は「オハヨー(ゴザイマス)」。帰りは「オツカレー」「シター」などなど。なぜか片言。アドリブ
即興演奏。ジャズの命。主にコード進行に則って取られることが多い。スウィング時代の人気者、グレン・ミラーは、「ジャズバンドを作るつもりはない」と言い放った。もしかしたら、グレン・ミラーのようにアドリブも譜面にした方が、ヒットするということなのかも。ドラマーのシェリー・マンは、「ぼくらは、2度同じ演奏ができない音楽家なのさ」と言った。これぞジャズメン!楽器編成
一人のソロから10人のテンテットまでをコンボ。それ以上をビッグバンドという。当然人数が増える分だけ、バンマスには著しい統率力と恫喝力が要求される。コード進行
楽曲のコードの自然な流れ。大体パターンが決まっている……はずなのに、どうしてうまくいかないんだろう。大方の初心者の心の中。コーラス
楽曲のテーマ部分。12小節、32小節などで括られることが多い。「じゃあ、アドリブは全員2コーラスずつな」などと言う風に使われる。そんな事無視していっぱい吹いちゃうのが、スタン・ゲッツとソニー・スティット。ジャム・セッション
あまり緻密なアレンジや、リハーサルを事前に行わない状態でミュージシャンが集まり演奏すること。ジャムと言う割に、全然甘くない。不用意に近づくと大やけどするので注意。昔、ピット・インのこれに近づいてそれ以来、鬼門に。スウィング
ジャンルのひとつ「スウィングジャズ」を指す場合と、演奏においてジャズ的に乗りが良いことを指す場合がある。「スウィングしなけりゃ意味がない」と言ったのはデューク・エリントン。若き日のアート・ペッパーやボブ・クーパーなど、猛烈にスウィングする楽団員から、今度こそスウィングしましょうよ! と助言されたのがスタン・ケントン。数字
ジャズでは、1から順にシー、デー、イー、エフ、ジー、エー、ビー、オクターブ、ナインス、シージュウ。
これが、クラシック畑だとツェー、デー、エー、エフ、ゲー、アー、ハー、となる。クラシック出身のバンマスとはよく三万円(エーマン)手渡されて、えっ! 六万円では? ともめる。
スタンダード(Standard)・ソング
主にアメリカにおいてレビューやショー、ブロードウェイや映画用に作曲された楽曲の内、長く世に歌い継がれているもの。つまりは、相当に古い曲。コール・ポーター、ジェローム・カーン、アーヴィング・バーリン、アイラとジョージ・ガーシュインなど超一流の作詞、作曲家が結集したブロードウェイやハリウッド映画。この映画の世界で、ビング・クロスビーやフランク・シナトラに負けないくらいに多くのスタンダードを歌った歌手といえばこの人。フレッド・アステア。
アステアといえば、ダンスとタップの第一人者。ジンジャー・ロジャースとのコンビで、華麗なダンスを舞い、世界中をとりこに。アステアはピアノも弾きこなし、ドラムも叩き、甘い高音を響かせるクルーナーとしても第一級の腕前。
アステアによって初演されたスタンダードは数多くあり、誰もが憧れた存在。その上アステアは、映画の中で、ローラースケートや、ゴルフを使ったダンスまで披露する真の意味での才人、エンターテイナー。
そのアステアの代表曲がコチラ!
The Astaire Story
アーヴィング・バーリンの名曲。ここでは、オスカー・ピーターソンらジャズ強者に囲まれながらもさすがの貫録。映画での情熱的な歌い方とはまた違う、お洒落で小粋な唄に。
映画では、ジンジャー・ロジャースとの極めつけのダンスシーンがあるこの曲。華麗にひらひらと舞うジンジャーの羽根の衣装が素敵!ところが実は現場は、この衣装がもとでアステアのくしゃみが止まらず、険悪な事態に。
お互いの心情とは別に、実に見事なダンスにうっとり。さすが、プロ中のプロ。大ヒット連発のコンビといった極上品。
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テイクとヴァージョン
同日同編成、同アレンジにおける何回かの録音が別テイク、同日でも編成やアレンジが違えば別ヴァージョン。何回重ねても一向に良くなる兆しが無い場合が往々にして。やっぱりチャーリー・パーカーって天才だと思う。テクニック
プレイヤーが、その表現したい音楽に見合った楽器の技術の事。「音楽は、テクニックじゃない」と言っているのは、嫌味なくらいうまい奴か、フール。4ビート(フォー・ビート、4/4、4/4 time)
ジャズがわかりにくいのは、そのリズム面での多様性が挙げられる。ロックと比較するとわかるかも。ロックといえば「8ビート」。では、ジャズは……?現状では、2ビート、4ビート、8ビート、16ビート、ワルツ、ラテン、ディスコ、R&B、フリー等、いろいろなリズムの音楽が、ジャズの棚に一緒に並んでいる。これが、一番ジャズを難解にしている元凶。
ex.「ジャズを一言で言い表すと、ズバリ、4ビートってことさ!」
「言うねえ」
「だから、一番好きな曲は、テイク・ファイブ」
「……」
ここで、相手がにやりとしたらしめたもの。「って、それ5拍子だよね」などというツッコミは大歓迎です。ツッコミが無い場合は、自分で「って、これ5拍子かー」とやりましょう。
ジャズで冗談が言える。これが通でなくてなんでしょう。
「テイク・ファイブ」は、ジャズの中でも最も有名な曲のひとつ。この5拍子の曲の大ヒットにより、ジャズ=4ビートとは言えない雰囲気に。「テイク・ファイブの功罪」は大きい。
作曲したのは、デイヴ・ブルーベック・カルテットのアルト奏者ポール・デスモンド。もっともポールは、サビの部分しか作っていないという噂もあるこの曲。このヒットに気を良くしたポールが、「テイク・テン」という曲で柳の下の2匹目を。それがコチラ!
テイク・テン
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ブルース
音楽ジャンルの「ブルース」と言う意味と、12小節1コーラスのブルース進行を指す場合とがある。日本では伊勢佐木町あたりの青江三奈が一番有名。フロントとリズムセクション
トランペットやサックスなどメロディ楽器は「フロント」、ピアノ、ベース、ドラムが「リズムセクション」。リズムセクションには、バッキングではうるさいくらいに聴こえるのに、ソロでは寡黙な奴多し。フロントは、曲中休んでいる時は一杯やりにいなくなる。ミュージシャン語
単語を逆に言うex.ロイトー(とろい)、シースー(寿司)、シクヨロ(よろしく)、テルホー(ホテル)、クリビツテンギョウ(びっくり仰天)など
クリビツテンギョウなことに、いまだに本当に使っている。
レーベル(Label)
レコード会社の持つブランド名の事。元々はレコードの真ん中の部分に貼られた紙。そこには音楽家、曲名、レコード会社のロゴなどがデザインされており、そこから転じてレコードのブランド自体を示すものとなった。ex.「私、ブルーノートが素敵だと思うわ。マイルス大好き」
「ははーん、キャノンボールと一緒にやった枯葉だろ」
「馬鹿ね、リード・マイルスよ。ジャケットが好きなの」
こんな風な大人の会話で使われる。
ブルーノートのジャケットデザイナー、リード・マイルスの
代表作はコチラ!
アット・ザ・ファイヴ・スポット・カフェ
バークス・ワークス 熱っぽく盛り上がるテナー、ティナ・ブルックスが掘り出し物。
リード・マイルスは、実はジャズにまったく興味がなかった。クラシック好き。そのジャズへの愛情のなさが、思い切りの良いトリミングに。好きなジャズメンを見切れさせるなんてことファンならばできない発想。
半分でも、ケニーのいい男ぶりはうかがえる。ブルーノートの特徴、得意のカラー一色刷りも、単にカラーの予算の問題と言う話。本当に何が幸いするかわからないもの。
今回のJAZZ辞典、また次の機会にも。ではでは「オツカレー」「シター」!
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