慌ただしい師走も、クリスマスを過ぎると仕事やプライベートもひと段落。一気に年の瀬や年始のムードに変わります。十二月の間耳にしていたクリスマスソングが、二十五日を境に年末に向かい突然姿を消します。

日本の音楽の世界では、年末の定番と言えば、ポップスでは紅白歌合戦やレコード大賞があり、テレビで賑やかに行われます。そして、クラシックの世界では、何と言ってもベートーベン「第九」です。

この曲はこの時期、誰もが一度は耳にするはず。オーケストラと百人にもおよぶコーラスによる「歓喜の歌」には、一年の垢を全て浄化してくれるような効果を感じます。一万人の第九というイベントなども毎年のように行われ、もはや日本において年末の曲と言えばベートーベン「第九」だと言えるほど定着しています。

一方、年中行事には無縁な印象のジャズにも、実は年末に相応しい曲が沢山あります。今回は、年末に聴きたいジャズ(JAZZ)をベスト3の第三位からご紹介いたします。
 

第三位 ハーレムのビッグバンド王 デューク・エリントン「極東組曲」より「アド・リブ・オン・ニッポン」

Far East Suite

Far East Suite


デューク・エリントンといえば、二十世紀アメリカを代表する音楽家の一人で、作曲家でありピアニストです。ハーレムのコットンクラブの専属から始まりジャングルサウンドと呼ばれた強力なビッグバンドで活躍しました。1969年にはその栄誉を称え、当時のリチャード・ニクソン大統領から、アメリカ自由勲章を授与されています。

その二年前の1967年に出た「極東組曲」は、エリントン楽団がファーイーストと呼ばれる日本を含めたアジアに楽旅に出たときの思い出のアルバム。デュークが現地で見聞きした文化や音楽をそのままではなく、彼の中で咀嚼して、あくまでデューク・エリントンが感じたアジアを描いた作品です。

「アド・リブ・オン・ニッポン」はその中でも一番最後におかれ、演奏時間も十一分を超える大作です。デュークの並々ならぬ日本への思いを音世界に表現した芸術性の高い作品となっています。

デュークの感じた日本は、ありがちなドラが鳴り響くような中国文化と一緒になってしまったようなものでは決してありません。ここに描かれているのは、まさに日本の心ともいうべき姿。

デュークの文化大使としての洞察力は、さすがという感じがします。幽玄や凛としたジャポニズムといったような言葉がまさにハマる、墨絵のような濃淡の世界が繰り広げられます。

ここでの主役は、デュークその人のピアノとジミー・ハミルトンによるクラリネット。デュークのピアノは、あたかも二面の琴のように聴こえ、ジミーのクラリネットはまるで尺八のように響きます。アメリカ人による和の音楽が、強烈なスウィング感を伴って、見事にアメリカの音楽、ジャズとなっていることに驚かされます。

日本にいても、日本の文化に触れる機会が、ほとんど無くなってしまったかのような昨今。アメリカ人の手になるビッグバンドジャズによって、年末年始くらい日本の心を思うのも、オツなものかもしれません。

年末に聴きたいジャズ、第二位は次のページでご紹介いたします。

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