都会に住んでいると、あまり日常的に星を意識することはありませんが、いざ都会を離れてみると、ふと見上げた夜空のあまりの星の多さ、美しさに驚いてしまいます。そのきらめく多くの星には、古来より伝承や伝説があります。今回は星座にまつわるジャズの名曲名演をご紹介いたします。

ミステリアスなテナーサックス奏者 ウェイン・ショーター 「ナイト・ドリーマー」より「ヴァーゴ」(Virgo 乙女座)

 

Night Dreamer

Night Dreamer

1933年8月25日生まれの乙女座のテナーサックス奏者、ウェイン・ショーターによって1964年に吹き込まれたのがこの「ヴァーゴ」(乙女座)と言う曲です。この曲は、まさに神秘的なウェインのテナーと乙女座のもつイメージや雰囲気がよくでた名バラードと言えます。

乙女座は8月24日から9月23日生まれの人の星座です。こつこつと根気よく努力を続けることができるのが、この星座を持つ人の特徴です。そういう意味でも、ウェインは練習熱心でなければ大成できない楽器テナーサックスがピッタリなのかもしれません。

それにしても、この曲の持つ神秘的な魅力はどう表現したらよいのでしょう。それはやはり、メロディの持つ超然としたイメージが第一に、そして次にはやはりウェインの持つ音色が、影響していると思われます。

ウェインのテナーは、ジョン・コルトレーンの影響を感じさせつつも、独自の世界観を持っています。コルトレーンに見られる自己の内面への探究、研鑽というよりは、自然の神秘や超常現象を思わせる外へ向かったものです。

ライブハウスなどの狭い空間を支配するのではなく、ウェインにもっともぴったりするのが、屋外の大きなステージです。ウェインのフレージングは、いわゆるテナーサックスの系譜では語ることのできない、自然と一体化したスケールの大きなものです。

そういう意味でも、この「ヴァーゴ」はまさにハマり曲。ウェインの独特のこもったようでいてピュアな感性を感じさせるテナーの音色と、神秘的なメロディが、すぐに聴くものを星の世界へと誘ってくれます。

また、伴奏陣の好演も特筆すべき出来です。この伴奏陣は、当時のジョン・コルトレーン・カルテットのメンバー。ピアノのマッコイ・タイナー、ベースのレジー・ワークマン、ドラムのエルヴィン・ジョーンズという息もぴったりの面々です。

マッコイのピアノはコルトレーンの「バラード」を思わせる出来でとても美しく、エルヴィンのブラシはいつもながらのキレの良さ。そしてベースのレジー・ワークマンがいつも以上にメロディアス。そのクオリティの高さには、あらためて感嘆するしかないほど。

そして、この作品はジャケットも秀逸です。このジャケットを眺めながら、グラス片手に聴くひと時は、まさにナイト・トラベラー!当時のブルーノートのトータルなクオリティの高さに感心させられる作品と言えます。

また、CDになって、この「ヴァーゴ」の別テイクも聴くことができるようになりました。トータルな作品としては、ふつうはありがた迷惑な場合もあるこの別テイクが、ここでは甲乙つけがたい出来でうれしいサプライズです。

本テイクの方は、音色もソフト。テーマ部分の雰囲気は神秘的で、美しさが際立っています。別テイクは、サックスが鳴っており、よりアグレッシヴなプレイです。どちらも、捨てがたいので、このCDを購入される場合は、ぜひこの「ヴァーゴ」の別テイクが付いたものを購入する事をおススメします。

次のページでは、ウェイン・ショーターが別の星座をテーマにした作品が登場します!

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