受験直前に湧いてくるネガティブな気持ちとは?
受験は水もの、とよく言われます。実力は今一つでも、直前の気持ちのもち方一つで突破できる人もいれば、実力はあるはずなのに実力を発揮できない人もいます。受験を乗り越えるには、受験直前に湧いてくるネガティブな気持ちの波に流されず、それに打ち克っていくことが必要です。そのためにはまず、受験直前に生じやすいネガティブな気持ちにどのようなものがあるのかを把握しましょう。代表的には、次のようなものがあります。
- 不安……「模試の結果が悪かったから、落ちるかも」など
- 自己否定感……「どうせ自分なんて受かるわけがない」など
- 他責思考……「家族がうるさいから勉強できない」など
- 現実逃避……「今から頑張ったって無理」とゲームやスマホに逃げてしまう
<目次>
受験直前にネガティブな気持ちが生じるワケ
では、受験直前に生じやすいこれら4つの気持ちは、どのようなものなのかを心理学の視点から解説しましょう。1.や2.のように不安や自己否定感にとらわれ、極端な結論を出してしまうことを認知療法では「結論の飛躍」と呼びます。この「結論の飛躍」にとらわれてしまうと、悪い結果ばかりを想像し、直前でもっと伸びるはずの実力を制御してしまいます。
3.の他責思考は「外的帰属」といいます。一般的に、人間は自分の行為の要因を、自分の外に原因があると考える傾向があります。したがって、たとえば模試の結果が悪かったのは「あのときは不利な条件だった」「あのトラブルがなければ成功できた」などと考えがちになります。
4.の現実逃避は「逃避の防衛機制」といいます。防衛機制とは、強いストレスを抱えたときに心が壊れてしまう危険から回避しようとする、無意識的な心の働きです。現実から逃避することで、心がストレスに押しつぶされる危機を回避しようとしているのです。
これら4つは、すべて自分の心の安全を守るために無自覚のうちにとっている考え方や行動です。たしかに、このように考え行動すると、一時的に気持ちは楽になるかもしれません。しかし、そのままずるずると考え続けて、受験直前の貴重な時間を浪費していると、合格を勝ち取るチャンスは遠のいてしまうでしょう。
受験直前に実践したい! 不安な気持ちに打ち克つ3つの方法
では、上のような気持ちが生じたときには、どのようにして乗り越えるとよいのでしょう? 次の3つの方法をおすすめします。1. 「この気持ちは私だけが感じているわけではない」と自分に告げる
不安、自己否定感、他責思考、現実逃避。これらはすべて、受験生なら誰に生じている気持ちです。つまり、すべてのライバルがこれらの気持ちを抱えながら、受験に臨んでいます。「大丈夫、この気持ちは私だけが感じているわけではない」と自分に伝え、自分を安心させましょう。
2. 心理学用語でラベリングする
「今、『模試の結果が悪かったから、きっと落ちる』と考えたな。これは『結論の飛躍』だ」「『周りがうるさくて勉強に集中できない』と感じているな。これは『他責思考』だ」「漫画やゲームに逃げているな。これは『逃避の防衛機制』だ」というように、今自分に生じているネガティブな気持ちを心理学用語でラベリングしていきましょう。ラベリングすることで、自分の感情や思考、行動を客観的に見つめることができ、その感情、思考、行動にとらわれにくくなります。
3. 「資源」を見つめ、「ゴール」を明確にして「今やるべきこと」に取り組む
これまで取り組んできたこと、すでに身についている力など、自分が持っている「資源」をじっくり振り返ります。「模試の結果が伸びている」「この教科が苦手だったのにここまでできるようになった」というように、自分の努力で手にした資源を確認すると、不安が落ち着きます。次に、目指している「ゴール」を明確にし、ゴールに向けて「今やるべきこと」を具体的に決めましょう。やるべきことを決めたら、具体的に取り組んでいくしかありません。
受験は「心の力」を総合的に伸ばすチャンス
受験を通じて伸ばせるのは、学力だけではありません。プレッシャーに打ち克つことのできる「精神力」、ネガティブな気持ちを変えるポジティブな「発想力」、勝利に向けて粘る「忍耐力」、そして自分にはできるという「自信力」。こうした力も、受験直前にはぐんぐん伸びているのです。この受験という試練を乗り越えることで、人は学力だけでなく「心の力」も総合的に成長させることができます。受験は自分との闘いです。闘いがクライマックスを迎えている受験直前の今、ネガティブな気持ちに負けそうになるのも、当然のことです。そんな自分を勇気づけ、背中を押すことができる存在は、まさに自分自身です。ネガティブな気持ちに負けそうになったら、上の3つの方法を思い出し、ぜひ実行してみてください。
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