テンションが高い人…わざと明るくふるまう躁(そう)的防衛かも

いつも明るく元気な自分でいたくて、ハイテンションで遊んでしまう……。もしかしたら「躁的防衛」かもしれません
臨床心理学に「躁的防衛」という言葉があります。わざと明るい自分や元気な自分を演じることで、沈んだ気持ちに打ち克とうとする無意識的な防衛行動です。緊張の多い集団生活やストレスフルな状況に、なんとか適応しようと頑張る際によく見られます。
たとえば、ストレスが増えるとテンションが高くなり、仲間と騒いで暴飲暴食に走る。忙しくしていないと自分を保てなくなると感じ、仕事や用事を抱え込む――。こうした場合、躁的防衛によってハイテンションな状態を無理につくりだし、ストレスに対抗している可能性があります。
躁的防衛のリスク…頼りすぎるとあらゆる面で支障が生じる
躁的防衛は、短期的なストレスを乗り越えていく際に、無意識のうちによく使う方法です。たとえば、新入生や新入社員は、新年度には環境が変わる緊張感から、テンションが上がってカラ元気になるものですが、3カ月もたてばたいてい落ち着きます。しかし、長期的なストレスに対してもその方法を用いていると、心身が疲弊してしまいます。たとえば、スケジュールに穴が空くと不安になり、常に用事を入れて忙しくする。嫌なことを考えないために、お酒で気分を上げる。孤立を避けるために、毎日仲間たちと騒ぐ。こうした行動を繰り返すと、精神だけでなく、体の健康や生活にも支障が生じてしまいます。
なぜ躁的防衛を用いるのか……まずは自分を知ろう

「躁的防衛に走るのはどんなときだろう?」―自分を振り返ってみましょう
新しい環境に入る際には誰でも緊張しますし、一人ぼっちになったり、傷つけられたときには、落ち込むものです。こうした一時的なストレスに対して、躁的防衛を短期的に用いるのは自然なことではあります。
しかし同じように、長期的なストレスに対してもハイテンションで乗り切ろうとしている場合、その理由を考えてみてください。一つには、「ある特定の刺激」に対して、躁的防衛を用いているのかもしれません。または、ストレス耐性が弱いために、躁的防衛に流れているのかもしれません。
自己理解を活かして、ストレス対処方法のレパートリーを広げる
次に、より適応的な対処方法を考え、改善を試みてみましょう。1)「ある特定の刺激」に反応している場合
たとえば、男女交際に慣れていない男性が合コンに行くと、躁的防衛でハイテンションになり、落ち着きがなくなることがあります。このように「ある特定の刺激」に対して躁的防衛が出てしまう場合、刺激のレベルを下げ、徐々に強度を上げていきましょう。
この例の場合、合コンからではなく、友達になる機会を探すことから、始めてみるといいかもしれません。勉強会、ゼミ、ボランティア、仕事、スポーツなどの共通の活動は、しばしばそうした機会になりくれます。女性とのコミュニケーションに慣れていくうちに、自然に男女交際に発展するチャンスが広がります。
2)ストレス耐性が低い場合
「テンションをあげて無理やり頑張る」のをやめ、長期的なストレス対処法を取り入れてみるといいでしょう。その際に役立つのが「コーピング」です。コーピングは『「攻める」「散らす」……ストレスに勝つ2つの極意』という記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
長い人生の中では、さまざまなストレスに何度も遭遇します。したがって、上記のような目標設定の変更やコーピングなどの対処法も試みながら、上手にストレスと付き合っていけるようにしていきましょう。
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