リーダーこそ必要な能力……あなたは周りに助けを求めるのが得意?
困った!そのときあなたは?
それは、経験のあるリーダーほど、そして、影響力の大きいリーダーほど、実は「助けを求める」ことに抵抗がなく、また上手であるということです。
逆に、リーダーになりたての人や、いまひとつ影響力を発揮できないリーダーのほうが「助けを求める」ことが苦手だったり、抵抗を感じるようです。
おそらく、その差は「助けを求める」ということに対するイメージの違いにあります。助けを求めるのが苦手な人ほど、リーダーは完璧でなくてはいけないと思う傾向が強く、そのため、助けを求めるのは、自分の不完全さを露呈することだと思っているようです。そして、自分で抱え込んでしまうのです。
また、完璧であるために(つまり、助けを求めなくてもいいように)、自分の弱点を克服したり、足りない部分を補うことに意識がいってしまい、本来の力や強みを発揮できないという悪循環にも陥っていくのです。
一方、助けを求めるリーダーは、その意義やコツを心得ています。
リーダーとして助けを求めることの意義
彼らは、リーダーだからといって、完璧である必要はないことを知っています。そして、適切に助けを求めることで、相手の力を引き出し、活躍の場を提供します。同時に、彼ら自身は自分の強みに集中し、自分らしいリーダーシップを発揮しているのです。そうして、それぞれが強みを発揮して連携すれば、メンバーたちも満足感と自信を持って、よりイキイキと仕事に取り組むようになります。結果として、成果は自然と上がります。
上手に助けを求めることで、メンバーを活かし、チームも成長するということを彼らは知っているのです。
もちろん、ただ単に助けを求めるだけでは、そううまくはいきません。効果的に「助けを求める」には、コツが必要です。
助けを求める際に必要な2つの視点
視点1:「あなたを見込んで」のタイミングまず大切なのは、助けを求めるタイミングです。ポイントは、早めに、事前に、です。「困ったから」、ではなく、「あなたを見込んで」助けを求めれば、相手は意気に感じます。
また、早め早めに予測し、必要な助けを求めるという姿勢が部下やチームにも広がります。クレームや問題が起きたとき、部下に「なんでもっと早く助けを求めなかったんだ!」という上司に限って、案外、自分自身も助けを求めるタイミングを心得ていないのです。
視点2:日頃から観察し、特性を理解する
タイミングを逃さないためにも、必要なのは「観察」です。自分自身について、そして、周りの人について、日頃から次の点を観察し、それぞれの特性を明確にしておきましょう。
<自分自身について>
- よくも悪くも自分のくせは何か
- 自分がしすぎてしまうことは何か
- 自分がうっかりしないことは何か
- 苦手なことは何か
- 今までどんなことに困ったか
- これまでに助けを求めなくてはいけなかったのはどんな状況か
- その人が得意なことは何か
- その人にあって、自分にはない長所、強みは何か
- その人は普段、どんなことで力を発揮しているか
- 自分の苦手なことをうまくこなしているのは誰か
- その人にはどんな風に助けを求めるといいか
苦手な人こそ、最大の助っ人!
違うからこそ、力強い助けになる!
たとえば、コントローラータイプは、目標や成果へのフォーカス力はぴかいちですが、その分、メンバーに気を配るのは得意ではありません。そんなときこそ、助けを求めるのです。
気配り上手なサポーターに、チームの「和」づくりをお願いしてみましょう。人を支援するのがもともと好きなサポーターは、喜んで力を貸してくれるでしょう。
もしくは、盛り上げ上手なプロモーターに、チームのムードメーカーになって欲しいと相談するのもいいかもしれません。周りに影響したいと思っているプロモーターにとっては、最高の役割なはずです。
アナライザーは一見、孤独を好むように思うかもしれませんが、案外、人が好きで、よく観察しています。ですから、メンバーの情報やタイプをよく把握しています。気になるメンバーとの関わり方について、よきアドバイザーとなってくれるでしょう。
そんな風に助けを求めていれば、やがて、相手もあなたの得意分野での協力を仰いでくるようになります。たとえば、コントローラーは決断し、スピード感を持って物事を進めるのが得意です。協調性ゆえに決断が苦手なサポーター、アイディアの豊富さが災いして焦点を絞るのが苦手なプロモーター、データと正しさを求めるあまり決断を先延ばしにしがちなアナライザーにとって、あなたは「決断」と「前進」の分野での力強い助っ人のはずです。
そうしたタイプの「違い」に普段はイライラしたり、ソワソワしたりしているかもしれません。けれど、「助けを求める」という観点で捉えなおせば、違うからこそ、力強い助けとなってくれるのです。
これを機に、自分自身はもちろん、ぜひ部下たちの「助けを求める」スキルも伸ばすこと、そして、チームに「助け合い」の文化を築くことにも意識を向けてみてください。
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