コーチング/人材育成・組織作り

叱っても絆が深まる、ガツンと言う技術

上司にとって「聴く」ことが重要視される一方、今も「上司は鬼となれ!」と厳しさを求める声も聞かれます。さて、上司はどうすればいいのでしょう? たとえ叱っても絆が深まるためのポイントを探ります。

宇都出 雅巳

執筆者:宇都出 雅巳

コーチング・マネジメントガイド


上司にとって「聴く」ことが重要視される一方、今も「上司は鬼となれ!」と厳しさを求める声も聞かれます。さて、上司はどうすればいいのでしょう? たとえ叱っても絆が深まるためのポイントを探ります。

《CONTENTS》●「いい人」になっていませんか?(1P目)●「怒る」と「叱る」は違います(1P目)●怒りを収めるために、叱っていませんか?(2P目)●徹底的に部下の可能性を信じよう(2P目)

「いい人」になっていませんか?

何でも質問すればいいと思っていませんか?

「ここは相手の話も聴いてやらなければ……」
「自分の意見ばかりを言ってはいけないし……」

コーチングとは「相手の中に答えがある」と信じて質問することだと思っている人は、こんなふうに自分の言いたいことを我慢しがちです。あなたはどうでしょうか?

部下が基本的なミスをしたり、仕事をどこかでなめているような態度を取っても、自分の中の怒りを抑えて、

「今回のミスから何を学んだ?」
「君はどう思うんだ?」


といった質問をしてしまう。こんな部下を叱れない「いい人」になっている上司も多いようです。

しかし、こんなふうに腰が引けた状態でいくら質問しても、本音の会話にならず、部下からなめられてしまうだけです。

「怒る」と「叱る」は違います

「そう言われても、これまで一方的に部下を怒り散らしてきたのを反省して、がんばってコーチングしているんです。元のように怒ればいいんですか?」

こんな疑問を持つ人がいるかもしれません。確かにこれまで一方的に怒ってきた人が、それを抑えて部下に質問することはプラスに働く部分はあるでしょう。部下が自分で考えたり、話したりするスペースができるからです。

しかし、上司が自分の本音を抑えていては、部下も本音を話す関係にはなっていきません。怒ることでも質問でもなく、時には上司が部下を叱ることが必要なのです。

「怒る」と「叱る」の違いはわかりますか?

その違いは「誰のためにしているか」です。「怒る」場合、それは「自分のため」に怒っています。たとえば、部下がミスをして、その不注意さや不甲斐なさに対して怒っているのです。

「何回言ったらわかるんだ!」
「おまえは仕事をなめているのか!」


怒りを部下にぶつけても、部下にとっては感情を投げられているに過ぎず、反発を招くだけです。

一方、「叱る」場合は、それは「相手のため」です。部下がミスをした場合でも、部下がミスをなくし、さらに成長をしていくために叱るのです。出てくる言葉としてはただ怒っているときと同じかもしれません。

「何回言ったらわかるんだ!」
「おまえは仕事をなめているのか!」


しかし、「怒る」ときは「意識が自分に向いている」のに対し、「叱る」ときは徹底的に「意識が相手に向いている」のです。怒りの感情を爆発させて終わりではなく、本当に相手が気づくまでかかわっていこうという本気の姿勢が見られます。上司が部下のために真剣に言っているのではあれば、それが厳しい言葉であっても部下に届きます。

「部下のため」と思っていても…… 次ページへ>>
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