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勉強の”やる気スイッチ”なんて実はない?! 本当のやる気の出し方

「やる気スイッチ」という言葉がありますが、やる気にはスイッチがあって自動で行動が起こるものではありません。やる気は"起きるもの"ではなく、"起こすもの"です。自学自習がはかどる、本当のやる気スイッチの入れ方とは?

伊藤 敏雄

執筆者:伊藤 敏雄

学習・受験ガイド

「しなさい」と言われなくても、誰もが熱中してしまうのがゲーム。一方、勉強は「しなさい」と言われても、なかなかやる気が起こらないもの。ゲームへのやる気スイッチは簡単に入るのに、勉強へのやる気スイッチは全然入らない……この違いはいったいどこにあるのでしょう?
勉強のやる気スイッチを入れる方法

"やる気スイッチ"なんて実はない?!「やる気」とひと言で言っても、ゲームのやる気と勉強をするやる気とでは、違いがあった!

<目次>  

"やる気スイッチ"というものはナイ!

一般には、やる気が先でそれで行動が起こると思われていますが、実は違うって知っていましたか。学習理論では、行動が先で次第にやる気が起こる、というのが正しい考え方なのです。

典型的な誤解が「やらないからできない」というものです。

ゲームを例に考えてみましょう。大人も子どももゲームが好きな人が多いですが、ゲームへのやる気が起こりやすいのは、それが楽しいからです。ただし、この場合の楽しいとは"できる"楽しさです。つまり、楽しいからできるのではなく、"できるから楽しい"のです。

勉強も実はこれと同じ理屈で、勉強しないからできないのではなく、そもそも人は勉強ができないからやりたくなくなるのです。

電気をつけるスイッチひとつとっても、リビングの電気を入れるスイッチや廊下の電気を入れるスイッチなど、いろいろな種類があります。これはやる気スイッチについても同じことが言えます。
 

ゲームへのやる気が出るには理由(ワケ)がある

例えば、「ゲーム」と一言で言っても、「スーマリ」のようなアドベンチャーゲームから、「ポケモンGO」のようなスマホアプリまで、ジャンルは様々です。

もし「ゲーム=勉強」と例えるとしたら、アドベンチャーゲームやロールプレイングゲームといった「ジャンル」は、勉強では「教科」と言い換えても良いでしょう。

アクションゲームはするけど、シューティングゲームはしないというように、ゲームをする人すべてが、すべてのジャンルのゲームをするわけではありません。同じように、勉強にも好きな教科とそうでない教科があります。

「ゲームはやる気スイッチが簡単に入るのに、勉強はやる気スイッチが全然入らない」のは、ゲームの場合はある特定のジャンルを指しているのに、勉強の場合は勉強全般を指しているからです。つまり、やる気と一言で言っても、ゲームと勉強とでは単純比較できないのです。

そして、ゲームはやる気スイッチが簡単に入るのは、それができた(上達した)という達成感があるからです。「レベルがあがった」「すごいアイテムを手に入れた」、これらは成功体験と言い換えていいかもしれません。

このようにやる気の根底にあるのは、「やった→できた→楽しくなってきたまたやろう」という成功体験なのです。やる気が行動を引き起こすのではなく、成功体験がやる気を引き出すと考える方が、シンプルに説明できるのです。
 

勉強でも「できた」という成功体験が、やる気へとつながる!

勉強 やる気スイッチ 入れ方

勉強のやる気スイッチの入れ方は、得意なことからやる、少しずつやる、途中でやめるの3つ

それでは、勉強のやる気の話に移りましょう。いくらゲーム好きといっても、すべての人がアクションゲームからロールプレイングゲーム、果てはシューティングゲームまで、すべてのジャンルを好きというわけではないことは、先に述べたとおりです。得意・不得意があって当たり前なのです。

ゲームは、好きなジャンル(だけ)をやるから、「やる気」が出るのです。

勉強についても同じように考えてみてはどうでしょうか。数学が得意な人もいれば苦手な人もいますし、英語が得意な人もいれば苦手な人もいます。中には5教科すべてが得意という人もいるでしょうが、それは、あくまでもまれなケースでしょう。
 

好きなから分量を決めてやると、勉強もやる気が出る

テスト勉強や資格の勉強をする場合、やる気のスイッチを入れるには、得意な教科、あるいは得意な分野からやると効果的です。あるいは、簡単なパズルや計算問題でも良いので、本当に勉強したいもの(=本命)とは関係のないことを2、3分で済ませてから、本命に取りかかるのも手です。やる気を出すためのウォーミングアップをしてから、取り組む工夫です。

最初から全てをこなそうと思わず、「何時までやる」「何分間やる」といったように、取り組む時間を決めてから取り組んでみるのも良いでしょう。また、「全10ページのうち、まず2ページだけやる」といったように、最低限できそうな分量を決めて、まずはその分だけやってしまうのも手です。
 

途中でやめる方が、次のやる気へとつながる

ゲームならきりのよいところで終わった方がすっきりしますし、後で再開するときもその方がスムーズだったりします。でも、それはあくまでゲームの話。

勉強は途中でやめた方が、後でやるときにやる気のスイッチが入りやすいのです。これは自動車で言うと、エンジンを切らずに、ニュートラルのまま待機している状態と言えます。完全には集中力を切らさずに、それでいて、またやろうと思ったときにいつでも動ける状態なのです。

問題集を解いている場合、後で再開しようと思ったときに、きりのよいところまで終わっていると、次の単元やページの最初から、つまり一から始めることになります。

一方、前回、途中で終えた場合は、途中から再開することになります。きりのよいところまではあとわずかですから、あと少しやるだけできりのよいところまで終わるという小さな目標ができます。そして、それをこなすことで、小さな達成感を味わうことができます。

このように、小刻みに達成感を味わうことも、やる気を維持するのに大切なことなのです。また、このような小さな達成感が味わえるような取り組み方をしている人ほど、次回、取り組むときに「勉強が苦痛ではない」というイメージを抱きやすくなり、次のやる気につながるというメリットもあります。

ほかにも、途中でやめることのメリットは、難しい問題に取り組んでいるとき、一度リフレッシュできるということが挙げられます。数学の問題なら、解き方を思い出したりひらめいたりする、なんてこともあります。これは解きかけだからこそのメリットです。

早速、このような点を意識して、取り組んでみましょう。

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