算数のテキスト

小学校入学前にする算数の準備は?


年が明けるとあっという間に春がやって来ます。春は卒業と入学の季節。幼稚園を卒業する子どもたちは、集団保育の世界から集団学習の世界に入っていきます。新1年生が宿題をするようすをそばで見ていて気づくことは、算数で苦労する子どもが少なくないことです。

小学校低学年の算数は、加減乗除の四則計算ができれば良いと思っていたら大間違い。現在は計算の仕組み=なぜそうなるかを理解していることが重視されるから。したがって計算手順も、計算の仕組みに則ったやり方で教えるのです。そこで学習指導要領に算数学習について、どのように書いてあるかを確認してみましょう。
   

年長で勉強すべき算数の内容【小学校学習指導要領:算数の目安】

1年生の学習内容については、次のことができるように指導すると書いてあります。
 
  1. 一対一対応による物の個数の比較
  2. 個数を数えられる
  3. 順番を数えられる
  4. 数の大小を比較し並べられる
  5. 数の分解と合成
  6. 10を超える数の理解
  7. 2桁、3桁のちょうどの数が読める
  8. 10のかたまりで数を数えられる
  9. 足し算と引き算ができる
  10. 大きさ、広さ、かさを比べられる
  11. 時計を読める
  12. 物の形の区別ができる
  13. 前後、上下の位置関係がわかる

年長では1~6まではできていると良いでしょう。8の10個ずつ数えられるようにはしておきたいもの。12,13もおおよそはわかることが望ましいです。時計については読めなくても、日常生活のイベントが何時頃に行われているかは知っておきたいですね。お昼ごはんは12時頃、おやつは3時頃と。
 

年長の算数は「数のセンスをどう養うか」がポイント

1年生の算数学習の目安は?

1年生の算数学習の目安は?


ここで注意していただきたいのは、幼児向けの先取り学習プリントで、こうした勉強をして安心してしまわないことです。幼児期に必要な数のセンスは、実物に触れることで養われます。単純に3+2=5ができたら安心かというと、まったくそんなことはありません。

3+2=5ができる子どもに「3の次の次の数はいくつ?」とか「3より2こ多い数はいくつ?」と尋ねたら、答えられない子が続出します。3+2=5を暗記してしまっていて、+2の意味が解っていない子どもがいるのです。

小学生でもたし算はできるのに、文章題ができない生徒はしばしばよく見られます。それは計算手順を知っているだけで、内容を理解していないからです。

数の感覚は日常生活や遊びから身につきます。例えば数唱です。お風呂で湯ぶねにつかって100まで数える。反対に100から逆唱する。これで順序数の感覚や大きな数の基礎ができます。

他には次のようなことです。
  • お菓子を数える
  • お菓子を分ける
  • お菓子の数を比べる
  • 食器を配膳する
  • トランプで数に親しむ
お菓子を数える際は、ただ単に1個ずつ数えるだけでなく2-4-6-8-10と2個ずつ、5-10-15-20と5個ずつ、さらには3-6-9-12と3飛ばしで数えることにも慣れておきましょう。これは数列の学習で生きます。

今の子どもは少子化でトランプ遊びをする経験が少ないようです。1年生ですとババ抜きと神経衰弱ゲームくらいしか遊べない子どもが多いのです。トランプというのは数のセンスを養うのに最適のツールなのでもったいないと思います。

神経衰弱でとったカードを数えるのを基本として、7ならべで順序数の昇順と降順に慣れたり、大富豪で数の大小判定をしたりできます。算数が得意な生徒は、多くがトランプやオセロといったゲームでよく遊んでいる子どもです。
 

年長の算数では、数の合成と分解に慣れる

具体物で数の感覚を磨く

具体物で数の感覚を磨く


小学校の算数で最初に大きくつまずくポイントは繰り上がりのあるたし算と、繰り下がりのあるひき算です。その理由は今の小学校の教え方にあります。1年生では筆算をしないので、数を分解・合成して5の固まりを作ったり、10の固まりを作ったりして繰り上がりと繰り下がりの計算をするのです。

例えば5+7をするには、7を5と2に分けます。元の5と後からできた5を合わせて10、残っている2と合わせて12という手順を踏みます。

5+7=5+(5+2)=(5+5)+2=10+2=12

もしも式で書けば、このような計算です。

これを数字でやろうとすると、抽象的思考に不慣れな1年生は苦労します。数字を見て頭の中に具体物で数がイメージできないから、とても難しく感じるのです。具体物で数にたくさん触れるのは、こうしたイメージ操作ができるようになるためです。

さて、この計算を楽にできるようにするためには、数の分解と合成に慣れておけば良いことがわかります。つまり2~10までの数を2つの数で表すことができるというわけです。

これをたし算の九九と呼ぶ人もいます。就学準備としては5の合成分解ができれば良いと思いますが、10もついでにできるようになっても構いません。

5の分解合成
  • 0と5
  • 1と4
  • 2と3
  • 上の逆

10の分解合成
  • 0と10
  • 1と9
  • 2と8
  • 3と7
  • 4と6
  • 5と5
  • 上の逆

これだけですから簡単なゲームで覚えることができます。2人で向き合って先攻が1~5までの数の指を出したら、後攻は合わせて5になる指を出すのです。間違ったらアウト!両手を使えば10でもできますね。

もちろんお菓子やおはじきを分けるのでも構いません。数を目で見ながら分けるなら、どんな方法でも良いのです。

ここでご紹介したように、プリントを使った先取り勉強よりも、実物を使った遊びやゲームの方が、幼児にはより高い教育効果を上げることができます。むしろそうした体験が豊富なほど、その後の学習がスムーズに進むのです。

入学式までまだ3ヶ月もあります。遊びと生活の中で、十分に数のセンスを磨く時間があるので、ご家族で一緒に遊んではいかがでしょうか。

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