マーケティング/マーケティング事例

任天堂の不振で判明したブルーオーシャン戦略の弱点(4ページ目)

任天堂は1月、業績の下方修正を発表し、3期連続で営業赤字に陥ることが明らかになりました。かつてブルーオーシャン戦略を駆使して、急成長を遂げた実力も鳴りを潜め、打つ手打つ手が裏目に出ています。果たして任天堂の復活はありえるのか?その戦略に迫っていきます!

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

任天堂はどうすれば復活できるのか? 

任天堂

健康分野への進出で任天堂は復活するのか?

これまで大きな成功を収めてきたブルーオーシャン戦略が機能しなくなった今、任天堂が復活を遂げるにはどのような戦略が有効なのでしょうか?

もちろんいくつものシナリオが考えられます。

また新たなブルーオーシャン戦略を練り直すというのも一つの方法でしょう。他にも、ゲーム機メーカーとしてマーケテイング戦略を駆使してハードやソフトをとことん追求し、コアなゲームファンを魅了していく方法もあるでしょう。

ただ、この戦場では今やソニーのPS4やマイクロソフトのXboxが着実に存在感を増しています。いくら任天堂といえども、この両社と正面から戦って完全な勝利を収める保証はありません。PS4やXboxにはコアなゲームファンがついているからです。

さらに、全社戦略レベルで、任天堂の核になる強み(コア・コンピタンス)を武器に新たな領域にチャレンジする方法もあります。

岩田社長は1月30日の記者会見で任天堂の事業を「ゲーム」ではなく、「人々のQOL(生活の質)を楽しく向上させるプラットフォームビジネス」と再定義しました。

事業のコンセプトを、『万人が楽しめるゲームを提供する』という狭義なものから、『楽しみながら生活の質を向上させるプラットフォームを目指す』というより広義なものへと転換を図ってきたのです。

私自身これは非常に正しい方向性だと感じました。

日々の生活の中で、色々なものをゲーム化、エンターテインメント化することによって、従来は苦痛を伴うものが、逆に楽しみながら成果につなげていくことができることがあります。そのうちの一つが健康分野であり、任天堂はすでにWii Fitなどで、楽しみながら健康管理やダイエットを行う仕組みを提供し、成功を収めています。

記者会見で岩田社長は、まずこの健康分野をより深耕していくことからスタートすると発表しましたが、ゲーム化やエンターテインメント化で高い効果が発揮できるのは、他にも教育や美容などがあり、今後様々な分野への展開が可能となるでしょう。

自社の核になる強みを最大限に活用した新事業領域への進出で、任天堂は劇的な復活を遂げることができるのか? 今後の展開に益々注目が集まります。
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