ブルーオーシャンが終焉を迎える時

ブルーオーシャン戦略

QBハウスも他社のイノベーションでブルーオーシャンが終焉することも考えられる

ライバルが手を付けていない未開の広大な市場を切り開くために効果を発揮するブルーオーシャン戦略ですが、どのような場合に終焉を迎えるのでしょうか?

ここでは、これまでの任天堂に加えてブルーオーシャン戦略の生みの親であるキム教授とモボルニュ教授の著書『ブルーオーシャン戦略』の中で取り上げられている日本企業キュービーネットを事例に考えていくことにしましょう。

キュービーネットは、短時間で低価格のヘアカットを提供するQBハウスを運営し、「一般的な理髪店は時間がかかって高い」という不満を持つ多くの“非顧客層”を取り込んで成長を続けています。

つまり、QBハウスの主要顧客はもともとヘアカット業界に多くの不満を抱え、できれば理髪店でヘアカットをしたくないという顧客に対して「短時間で低価格」という価値を提供したことによって一般的な理髪店から顧客を奪う形になったのです。

ここで慎重に考えなければいけないのは、獲得した顧客がブランドロイヤルティの高い顧客ではなく、たまたま自分のニーズに合致したから顧客となったという点です。

仮説にはなりますが、恐らくQBハウスでなければいけない顧客というのはそう多くないということも考えられます。より短時間で低価格のヘアカットを提供する理髪店が自分の身の周りにできれば、そちらの店にスイッチすることも考えられるのです。

ただ、QBハウスは強力にバリューイノベーションを推進していますので、なかなかQBハウスを上回る価値を顧客に提供することも難しいといえるでしょう。

そうはいっても、QBハウスも悠長に構えているわけにはいきません。

たとえば、ヘアカットの分野でイノベーションが起こり、家電メーカーが理髪店に行くことなく、自宅で一人で5分ほどでプロ並みの理髪ができ、準備や後片付けにも手がかからない機械を安価で販売するようになったらどうでしょう?

QBハウスの多くの顧客はその機械を購入して、手軽に無料で自宅で理髪を行うようになることも十分考えられます。

つまり、ブルーオーシャン戦略で切り開いた非顧客をつなぎ止めておくことは非常に難しく、イノベーションが起こって自社製品を上回る価値を提供する企業が現れれば、たちまち顧客を失うリスクも高くなり、ブルーオーシャンの終焉につながっていくということになりかねないのです。

最後のページではブルーオーシャン戦略が機能しなくなった任天堂の復活への道筋を考えていきます。