ペヤング、再販

販売が再開されたペヤング

販売が再開されたペヤング

2014年12月、商品の一部に異物が混入している状況が確認され、生産・販売は中止された「ペヤングソース焼きそば」(以下、ペヤング)。2015年6月8日に販売を再開すると、そのニュースはすぐに話題となり、あまりの人気に関東1都6県以外の発売を7月以降に遅らせるという事態に陥った。

安全問題で叩かれたマクドナルド、品薄商法ではないかと言われたレモンジーナと比較し、なぜペヤングはここまで復活を歓迎されたのか、マーケティング視点で説明していきたい。

明暗を分けた問題発生後の対応

まず最初に、同様の安全問題を起こしたマクドナルドが叩かれて、ペヤングがそれほど叩かれなかった理由を考えたい。

ポイントは二つある。まず一つ目は「問題発生後の対応の違い」だ。ペヤングは2014年12月2日に異物の混入疑惑が発生しても、当初はこれを否定した。しかし12月11日に保健所調査で生産工程において混入した可能性が高いと判断されると、すぐに生産中止・販売自粛を決断した。そしてその後約半年間、ペヤングは市場から消えてしまったのだ。

自社に非があるとわかった時点で、すぐにペヤングの生産も販売もやめる決断を下した「まるか食品」。決して大企業とは言えない企業が、収益の大きな部分を占める自社の超看板ロングセラー商品の販売を中止するということは、企業存続にも関わりかねない重大決定だ。もしかしたら倒産するかもしれない可能性がありながら、生産中止・販売自粛を決めたのは、同社にとって英断だったと言えよう。

一方、昨夏の食肉消費期限問題もまだ尾を引くなか、今年に入って異物混入問題を起こしたマクドナルドは、事態が発覚してから1週間してカサノバCEOが会見に出てきた。この会見では、問題の根幹が解明されていなかったにも関わらず、自信に満ちた様子でマクドナルドの安全性をアピールした。

それまでのマクドナルドも安全面を疑問視する声はあったが、極端な表面化はしていなかった。この会見によって、パンドラの箱を開けたように一気に否定的要素が噴出してしまった。マクドナルドがここでやるべきだったのは、まるか食品以上のことだったのかもしれない。まず問題の理由はなんであれ会見で謝罪すべきだった。そして事実が明らかになり、対応策が決まるまで、全工場の生産・販売の中止くらいやるべきだったのだ。現状をみると、この問題発生後の対応の違いは大きかったといえる。

「メイン顧客層の違い」が与える影響


マクドナルドとの比較、二つ目のポイントは何か。それはメイン顧客層の違いだ。

マクドナルドのメイン顧客は長い間ファミリーで、一方のペヤングは40代以上の男性がメイン。子供を持つ母親は、価格面や味覚面以上に安全面を重視する。それは全世代の中でもっとも安全面にシビアだと言ってもいいだろう。

そもそも安全問題発覚以前より、マックカフェの推進などで、ファミリー層のマクドナルドへの気持ちは徐々に薄れてきていた。たとえば、座席配置やレイアウトの変更が象徴するように、ファミリーが来店しづらい雰囲気が増えていった。そこにこの安全問題が起きた。ファミリー層の気持ちは決定的に離れる主因となりえた。

マクドナルドのような「安全」というシビアな問題ではなくても、自社のブランドやお客様との信頼関係を守るためにビジネスを一時的にやめるケースもある。例えば、スターバックスコーヒーは、提供するコーヒーの質が低下した状況が確認されると、店舗を一時閉店し、美味しいコーヒーの淹れ方など再教育の時間を作ったこともある。

お客様のことを考えるならば、一時的な損失を考えるべきではなかった。安全問題に関しては、マクドナルドこそやり過ぎくらいに思われるほど厳しい対応をすべきであったのだ。