月餅は中華スイーツの王様!
美しい模様のほどこされた広式月餅は見ているだけでうっとり…
月餅と中秋節
蘇式月餅。同じ月餅と言えども、地域ごとに食感も味も全く違う
月餅の誕生と歴史
月餅の原型はおよそ3000年前、お供え物として誕生したと言われています。漢代(紀元前202~紀元220年)になると、餡に西域から伝わった胡桃や胡麻などを使ったので「胡餅」と呼ばれていたそうです。そして、北宋(960~1127年)では宮廷内で流行したことから「宮餅」と称され、後に民間に伝わると「小餅」や「月団」と呼ばれるように。その後、南宋(1127~1279年)になって「月餅」となったと言われています。月餅を月をめでながら食べるようになったのは、唐の時代(618~907年)からという説もありますが、中秋節と月餅の関係が文献に登場するのは、明代(1368~1644年)の『西湖游覧志餘』で最初。そのことから、月餅と中秋節が今のような密接な関係となったのは、明代になってからというのが一般的です。
月餅の種類・四大月餅
月餅は作られる地域によって、原材料や味に違いがあり、細かくみていけば、何十種類にもなるのですが、ザクッと大まかに4つに分類され、「四大月餅」と呼ばれています。さて、四大月餅のそれぞれの特徴を見ていきましょう。■広式月餅
広東一帯で誕生した最もポピュラーな月餅。中国国内だけでなく、外国でも“月餅”と言えば、このタイプを思い浮かべる人がほとんど。広式月餅の主な特徴は、皮が薄くしっとりやわらかで、餡がたっぷり濃厚なこと、円筒形に精巧な模様が施され造形が美しいことです。餡はあんこ、ナッツ、ドライフルーツ、叉焼、鹹蛋など様々です。
■京式月餅
北京・天津一帯で誕生した中国北方の月餅で、清朝の宮廷文化を伝える逸品です。皮と餡の割合が、広式は1:4なのに対し、京式は2:3と皮の割合が多いため、さっぱりとした味わいです。皮は“しっとり系のパイ”といった感じで、餡は広式よりも甘さ控えめ。形は様々ですが、お饅頭のような半円形がメインです。餡はあんこに胡桃や松の実などナッツを入れたものが一般的。
■蘇式月餅
蘇州一帯で誕生した長江流域の月餅。中国では広式月餅に次ぐ人気です。サクッとしたパイ生地のような薄皮が最大の特徴で、餡は薄味で、脂っこくありません。形は京式と同じく、お饅頭のような半円形がメイン。餡はあんこにナッツを入れたオーソドックスなタイプ以外、豚挽肉を摘めた肉月餅も。肉月餅はワンシーズン1000万個売り上げるという人気商品です。
■潮式月餅
広東省の東部、潮州一帯の月餅。他の月餅よりも平べったく、皮が白っぽいのが特徴です。形は様々ですが、毛糸の玉のような渦巻きパイのようなタイプが有名。餡は小豆、緑豆、黒豆、タロイモのあんこの他、パリパリした砂糖菓子を使ったものも人気です。
最近は、伝統的な月餅だけでなく、中の餡がアイスクリームやカスタード、チョコクリームといった西洋風のものも続々と登場。今後もどんなニュータイプが現れるか、楽しみです!
月餅を買おう・人気ブランド
老舗の中華菓子屋さん「稲香村」。店内には中国の伝統菓子がずらり勢ぞろい!
- 華美…広東省東莞市の月餅ブランド。広式月餅を主に扱う
- 元朗栄華…香港の老舗月餅ブランド栄華の新ブランド(※)。広式月餅を主に扱う
- 安【王其】…深センの月餅ブランド。広式、潮式月餅を主に扱う
- 美心…香港の老舗月餅ブランド。広式月餅を主に扱う。皮に餅粉を使った大福風「冰皮月餅」や「低糖月餅」など、毎年、新製品を誕生させている
- 元祖…台湾の菓子メーカー。広式、蘇式、台式月餅などを扱う。おすすめはアイスクリーム入りの「雪月餅」
- 利口福…広州の食品メーカー。広式、潮式月餅を主に扱う
- 杏花楼…上海の老舗レストラン。広式、蘇式月餅を主に扱う
- 稲香村…北京の老舗菓子ブランド。広式、蘇式、京式月餅を主に扱う
他にも、パン屋さんのチェーン店「好利来」や「米旗」の洋風月餅や、「ハーゲンダッツ」のアイスクリーム月餅なども注目です。
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